俺は狂ってますか?
12
消え入りそうな声で語る裕は、
余りにも弱々しく感じた。
だからと言って、
俺は何も思わない。
ましてや、裕のものだけになるだなんて、
そんな事は絶対にあり得ない。
俺はあいつのものだから……
だから、裕のものにはなれない……
なのになんで……
「裕…………」
俺はどうして裕を抱き締めてるの?
「裕の気持ちは嬉しいよ」
なるべく優しい声で囁く。
「けど、裕の気持ちには答えられない。
それは前から言ってたよね?」
そう口にした途端、
裕の身体は再び強張った。
「その代わり、一番大事にしてあげる。
そういう風に言ったよね?」
背中へと腕が回ってくる。
「なのにどうして
それ以上を求めようとするの?」
「…………………………」
俺が問い掛けると、
裕はごまかすように
首筋に舌を這わせてくる。
止めさせようとするが、
背中にしっかりと回された腕が、
それを許さない。
仕方無いな……
「殺せば俺が裕のものになると思った?」
裕の動きがピタリと止まった。
.
[*BACK][NEXT#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!