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俺は狂ってますか?
風海side
マンションを出て直ぐ……入口の所に、
赤いフェラーリが止まっていた。
俺を迎えに来た男の車だ。

どうやら携帯を弄っているらしく、
彼は俺に気付いていない。

それにちょっとだけ苛立ちを覚え、
サイドウインドウをコンコンと叩くと、
ようやく彼は視線を俺に向けた。

途端に笑顔になる彼に満足し、
俺も笑みを浮かべた。


「久しぶりだな」


サイドウインドウを開けて、
俺の頬に触れる彼の手を取る。


「あんまり遅いもんだから、
またすっぽかしかと思った」

「すっぽかさないよ」


この人は八木沢亮司(ヤギサワリョウジ)、
年齢28歳、身長178cm。
俺のセフレの1人。

ワックスで整えた黒髪に
ノンフレームの眼鏡、
シンプルな黒のスーツを、
上手く着こなす
大人の色気のある美形って感じ。

実は結婚してるけど、
男女問わず愛人が何人もいる。
繚蘭学園の教師をやってるらしい。


「乗れよ」


親指で助手席を指差してくる。

俺は反対側に回り、
車に乗り込んだ。

シートに腰を下ろすと同時に顎を掴まれ、
亮司は顔を寄せてきた。

重なり合う唇と唇。

そのキスは最初は軽く、
そして段々と深くなっていく。

角度を変え、
何度もキスをする。

車の中にくちゅくちゅと
舌を絡ませる音が響いた。

唇を離すと、
亮司は舌舐めずりをし、妖艶に微笑む。

普通ならこれで落ちない奴なんて
いないと思う。

でも俺は落ちない。
俺は普通じゃないから。


「昼間から盛んないでよね」

「厳しいなぁ……」


亮司は苦笑して車を出した。



――――――――――――――



俺は景色を眺めながら
これからの事を考えていた。

別に何か期待している訳じゃないけど、
つまらないよりは楽しい方がいい。


「繚蘭ってどんな感じ?」


俺は唐突に口を開いた。


「気になるか?」

「ん、まぁね」

「お前にしては珍しいな」


酷い言われようだよね。
まぁ確かに今まで
何かを気にするなんて、
あんまりなかったけどさ。


「理事長から聞いてるんだろ?」

「偏差値がかなり高い全寮制男子校、
その実態はホモとバイの巣窟」

「もう少し、
オブラートに包んだ言い方をしろ……」

「本当の事じゃん」


亮司は顔を引き攣らせ、
ため息を吐いた。







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あきゅろす。
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