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俺は狂ってますか?
愁side
俺が『電話かけてこい』って言った時、
風海は確かに『分かった』って言った。

本当は踊り出したくなる程
嬉しかった。

でもきっと電話はかかってこない。
あいつはそういう奴だから。

風海に出会ったのは一年前、
Jというクラブでだった。

俺はその頃マジで最低な奴だった。
来るもの拒まず、去るもの追わず、
相手が傷付こうがお構い無し、
泣かせた奴の数なんて数え切れない位。

これから先も
こんな生活は変わらないんだろうって、
そう思ってた。

そんな時に風海に出会った。

出会いは衝撃的で……
頭を鈍器で殴られた位のショック。

俺はそれまで
数多くの女と付き合ってきたけど、
風海以上に綺麗な奴なんて……
見た事なかった。

何より風海のその瞳が印象的だった。
この世の何も信じていない……
そんな事を感じさせる瞳。

隣にいた女の事も忘れ、
俺は周りの雑音が聞こえない程
見入ってしまっていた。

そして風海は俺に目線を寄越し……
微笑んだ。

心臓がドクンと跳ねたのが
自分でも分かった。

一目惚れ……

男だとかそんな事関係無しに
風海に一瞬で引き込まれた。

そして風海は俺に近づいてきて……
















キスをしてきた。

隣にいる女が何かを言っていたけど、
そんな事に構う事が出来ない位、
風海のキスは心地よくて……
気持ち良かった……。

それがきっかけ。

会ったその日の内に
体の関係は持ったけど、
俺は所詮、
風海の数多くいるセフレの一人。

俺は風海を必死で口説いた。

今まで女に不自由してなかった俺が、
風海一人の為に
必死になってるの見て
ダチはマジで驚いてた。
当たり前の話だけどな。

でも……
結局、風海は
誰の物にもならないのが
分かっただけだった。

風海はいつも笑顔を振り撒いているけど、
俺は知っている。

あいつの笑顔は仮面……

だからたまに驚く程無表情になる。
俺が見てるのに気付くと、
すぐ笑顔に戻るけど……

風海は一度言っていた事がある。
自分は既に狂ってると、
だから歪んでしまったと……

俺は風海の闇を拭えなかった。
救えなかった。
それがどうしようもなく悔しい。


「本当の笑顔……見たかったな……」


俺は最後にそう呟き、
自分の部屋へと戻った……。







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あきゅろす。
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