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俺は狂ってますか?
5
 

「何処行くんだ?」


部屋を出て鍵を鍵穴に差し込んだまま、
エレベーターへと向かおうとしたら、
不意に声を掛けられた。

此処は高層マンションの最上階。

声を掛けてきたのは隣の部屋の男。
俺と関係がある奴の内の1人。
名前は片桐愁(カタギリシュウ)、
年齢23歳、身長は182cm。

金髪のウルフカット、
耳に付けられた大量のピアス、
見た目はチャラい不良って感じ。

唯、かなりの美形でもあるから、
俺と出会う前は結構遊んでたみたい。

でも、俺と出会ってからは
付き合ってた人達全員と手を切って、
俺だけを好きだって言ってくれてる。

なんでなんだろうね。
俺なんて最低なのに……


「その格好……」

「今日から新しい学校なんだ。
だから此処出てくの」


愁は困惑と驚愕が入り混じった
複雑な表情を浮かべた。

当たり前か……
いきなりだもんな……


「マジかよ……
その制服俺の弟と同じ学校だわ……」


へ……?


「それ本当……?」

「嘘じゃねぇよ。
つか、嘘つく意味ねぇし」


愁の話を俺は信じられないという
面持ちで聞いていた。

だって失礼な話だけど、
繚蘭学園はかなり偏差値の高い
全寮制男子校。
愁はお世辞にも頭が良さそうに見えない。
そんな愁の弟が繚蘭に通ってるなんて、
信じろっていう方が
無理な話な訳で……


「まぁもし弟に会ったら、
よろしくしといてやってよ。
ちょっと変な奴だけど、
俺と違っていい奴だから」


そう言うけど愁だっていい奴だ。
俺は愁は嫌いじゃない。


「名前は片桐潤(ジュン)、覚えとけよ。
後それから……紙とペンねぇ?」

「あるけど……」


バッグから紙とペンを取り出し、
愁に渡す。

愁は何かを書き、俺に渡してきた。
それは電話番号とメールアドレスだった。


「お前が携帯壊した時の為にな。
お前携帯壊すと連絡つかなくなるから」

「てゆうかもう壊した」

「マジ……?
じゃあ買い替えたらかけてこいよ?」

「分かった」


俺の言葉に愁は、
はにかんだように笑う。


「じゃあね」


俺は一度も振り返らずに、
エレベーターへと乗り込んだ。







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あきゅろす。
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