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俺は狂ってますか?
13
片桐潤という名前には聞き覚えがあった。

今日マンションを出る時に、
愁が教えてくれた弟の名前だ。

こいつが愁の弟か……
あんまり似てないかも……

兄弟揃って美形なのは共通してるけど、
顔立ちや性格は似てると思えない。

潤を見つめる俺を見て、
大輝が顔をニヤつかせる。

そんな大輝に腹が立ったのか、
潤は先程と同じように脛に蹴りを入れた。


「〜〜〜〜〜〜っ!!」


今度は更に容赦なかったらしく、
大輝は脛を抑えて蹲る。

涙目の大輝を潤は鼻で笑い、
踵を返し、部屋から立ち去ろうとする。


「あ……待って」


俺が呼び止めると、
潤はピタリと動きを止め、
ゆっくりと此方に振り向く。

そして目が合った時……
ゾクゾクとした昂揚感が背筋に走った。

射竦めるような眼光に
声を出す事も忘れ、
思わず見惚れてしまう。







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