俺は狂ってますか？
7
一瞬何を言われたのか、
分からなかった。
今まで俺が演技したら、
どんな奴だって引っ掛かった。
涙なんて流せば、
あっさりと皆騙される。
けれど確かにこいつの視線には、
明らかな軽蔑が含まれている。
初対面の奴に
こんな目で見られたのは、初めてだ。
今までの奴らは俺に必ず、
憧れや好奇の目を向けてきた。
面白い。
俺は唯純粋にそう思った。
もう見た目だけで、
寄ってくるバカな奴らには
飽き飽きしてたんだよ。
だから、君には俺の暇潰しに
なってもらおうかな？
俺は大輝の腕から抜け出し、
飛びっきりの作り笑顔で微笑みながら、
そいつに声を掛けた。
「不愉快な気分に
させちゃってごめんね？」
普通なら皆この笑顔に
ｺﾛｯと騙されてくれるのに、
金髪君は俺が笑顔を向けると、
益々不機嫌そうに眉を顰める。
「キモい」
生まれてこの方一度も
言われた事のないような事を、
そいつは言ってきた。
そして次の言葉に
俺は思わず自分を偽る事を忘れた。
「その作り笑顔止めろ」
．
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