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俺は狂ってますか?
???side
 

「そうか……まだ行ってないか……
あぁ、分かってる。
こっちは上手くやってる。
………………元気にしてるよ。
大丈夫だから。
問題は俺が起こさせない」


気怠い体をベッドに横たえたまま、
部屋の窓の側で外を眺め、
携帯で誰かと話している男を
俺は横目に見ている。


「心配しなくても、大丈夫だよ。
あいつももう子供じゃないんだから」


男の口調から、
電話の向こうの人物が
誰なのか、予測がついた。

でも、そんな事は俺にはどうでもいい。

今はその電話が、
一分一秒でも長く続いてくれる事を、
俺は祈っている。

電話が終わったら、
また地獄が始まるのだから……


「うん。ありがとう。
今度俺もそっちに行くよ。
勿論水樹も連れて……」


そう言って、
狡猾そうな視線を俺に向けてくる。

電話の相手に対する口調と
裏腹のその目に、
思わず恐怖から身震いしそうに
なるのを必死に堪えた。

少しでも怯えているのが分かれば、
男は更に俺を手酷く扱うだろう。

それだけは避けなくてはならない。


「それじゃあ、そろそろ切るよ。
ペットが悪戯しても困るからさ」


クスクスと笑って電話を切ると、
窓の側の一人掛け用のソファーに
携帯を放り投げ、近付いてきた。

髪の毛を鷲掴みにされ、
無理矢理顔を上に向けさせられる。

痛みから顔を歪ませるが、
俺のこの表情を見ているのが
楽しいとばかりに
更に力を込めてくる。


「風海…………
まだ理事長室に行ってないらしい」


風海…………
もう二度と会う事も
ないかもしれない俺の大切な人……


「何処に行ったんだろうな?
もしかしたら、
また誰かと寝てるのかもな」


俺がそれを言われるのを
嫌がるのを分かっていて
こいつはいつもこんな風に言ってくる。

せめてもの抵抗とばかりに睨みつければ、
鼻で笑われ、頬を思い切り張られた。

もう何度殴られたかなんて分からない。


「お前はまだ躾が足りなかったようだな」


男が俺の上に覆い被さってくる。

あぁ……また地獄が始まる……
誰か……風海……俺を助けて……







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あきゅろす。
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