俺は狂ってますか?
18
涙が滴り落ちる目元に口づけ、
ペロリと舐めあげる。
すると裕は驚きに目を見開いた。
「泣き虫は嫌いだよ?」
フフッと笑いながらそう告げれば、
裕は慌てて目元を拭う。
これはこれは……
「裕ってば本当に俺の事好きだねぇ……」
「…………っ、当たり前だっ!!」
感慨深く呟くと裕は声を荒げ、
詰め寄ってきた。
先程までの儚さ等、
最早微塵も感じられない形相だ。
「だから俺は……!」
「はい。ストーップ」
語り出しそうな勢いの裕の唇に
人差し指を当て止める。
長い話は嫌いなんだよね。
「俺ねぇ……お腹空いた」
「は?」
「だからお腹空いた」
食事(カップ麺だけど)をする間もなく、
裕の部屋に来た為、
俺は昨日の夜から
何も口にしていないのだ。
お腹空くのも当たり前。
「風海……っ」
「俺がお腹空いたって言ってるのに、
裕は無視するの?」
「…………!」
まだ先程の話を引き摺っているらしく、
裕はかなり不満げだ。
肝心な事何も言ってないから、
当たり前と言っちゃ当たり前だけど。
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