君を想う歌声
2
人間っていうのは、
自分に都合の悪い事は、
耳に入らないように出来てるんだと思う。
絶対にそうだ。
そうに違いない。
という訳で……
「此処の学食って美味いですか?」
「あ……?」
「はい?」
二人が目を丸くし、
間の抜けた声を上げる。
急な話題変換に
戸惑っているんだろうけど、
止める事は出来ない。
何故なら、そうしなきゃ、
大切な何かを
失ってしまいそうな感じがするからだ。
「和食より洋食派なんですけど……」
「和臣君……」
「オススメとかってあります?
俺、特にカルボナーラが……」
「和臣君!」
俺の話を理事長は大声で遮った。
その表情が余りにも真剣な為に、
それ以上、言葉が出なくなる。
「これは真面目な話なの。
真剣に聞いてちょうだい」
有無を言わせない口調の理事長に、
俺は誤魔化しが効かない事を悟った。
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