君を想う歌声
9
遥輔さんの言った事の意味が分からず、
俺は何度も瞬きをする。
「よ、遥輔さん……
そ、それって……どういう……」
「どういう意味って
そのまんまの意味だろうが」
そのまんまって…………………………
はぁぁぁぁぁぁ!!!!!?
「嫌、嫌、嫌、誰?」
「は?」
「そんな事言うなんて遥輔さんじゃない。
だから遥輔さんの
皮を被った誰かなんだ。きっと」
「あのなぁ……」
「聞こえません。あなたは誰ですか?」
俺は遥輔さん……嫌、遥輔さんの皮を
被った誰かを睨みつけた。
途端に遥輔さんの皮を被った誰かは
口元を引き攣らせ、苦笑する。
「和臣、お前には冗談も言えねぇのか?」
「え?」
冗談……?
「冗談なんすか……?」
「冗談以外に何があるってんだよ……」
その言葉に俺はホッと胸を撫で下ろした。
遥輔さんが遥輔さんで良かった……
「だってあんな場面見ちゃったし、
それに……」
「それに……?」
俺は森の中で剛志が
不良に襲われていた事を話した。
話を終えると遥輔さんは、
眉間に皺を寄せて、
何かを考え込むように腕を組む。
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