君を想う歌声 2 フロントの奥から出て来た男を見て、 俺はギョッとした。 その男は俺のよく知る人物だったからだ。 肩程まで伸ばした金髪を いつも無造作にセットし、 赤いカラコンを必ず着用、 耳にはこれでもかっつー程に 大量のピアス、 身長は俺より少し高い位、 見た目は不良、中身も不良の男前、 梶本遥輔(カジモトヨウスケ)だ。 俺が昔ヤンチャしてた時に 散々世話になっていた人だったりする。 ぶつかって来た男の子の事は すっかり忘れ、 俺は遥輔さんの事を見ていた。 遥輔さんの方も俺に気付いたらしく、 一瞬目を見開いた後、 バツが悪そうに俺から顔を背ける。 その瞬間、俺は気付いてしまった。 遥輔さんの今の恰好は Yシャツの釦が全開、 俺にぶつかってきた子の恰好も これまたYシャツの釦が全開…… そして同じ部屋から出て来た2人…… 思考が考えたくない方へと 転がってしまい、 思わず現実から目を背けたくなった。 . [*BACK][NEXT#] [戻る] |