君を想う歌声 4 「着ろよ。その恰好じゃ いられねぇだろ?」 「え? あ……」 今更ながらに 自分の今の恰好を思い出したらしく、 恥ずかしそうに俯きながら、 ズボンを穿いている。 けれどブレザーとYシャツは ビリビリに破かれている為、 上半身は裸のままだ。 ズボンを穿き終わった所で、 その子の肩からブレザーを掛けてやる。 「あ! あの、これ……」 「いいから着ろって、寒いだろ?」 なるべく怯えさせないように、 優しく言ってやると、 男の子はようやく 俺のブレザーに腕を通した。 体格が全然違う為、 ブレザーはその子にはブカブカで、 思わず笑いそうになるのを、 俺は必死に堪えた。 さっきまで襲われてて、 傷ついてる奴の事を笑う程、 俺は不躾じゃない。 「あの……ありがとうございます……」 そう言って男の子は ペコリと頭を下げた。 . [*BACK][NEXT#] [戻る] |