君を想う歌声 2 スイマセン。 見くびってました。 何がって? この学園の敷地面積だよ…… もう30分近く歩いてますが、 全く建物が見えてきません。 てか…………迷った……? おいおい……勘弁してくれよ…… 新に殺されるじゃねぇか…… 周りを見渡しても、 ひたすら木、木、木…… 歩けば歩く程に、 俺の心は 絶望感で埋め尽くされていく。 新に『迷子になったか?』って言われて、 誰がこの歳になって迷子になるか! って、思ってたけど、 これから怒れねぇよ…… こうなったら、 恥を偲んで新にまた電話して…… あぁ〜気重………… 「…………っ……」 俺が新に罵られるのを覚悟して 携帯を取り出した時、 どこからか声が聞こえた。 「………………ろ!!」 空耳かと思い首を捻ると、 今度は先程より大きな声が 耳に入ってくる。 何を言っているかまでは 聞き取れないものの、 怒声が混じっているような感じが する事から、 恐らくはケンカかなんかだろう。 俺は正に天からの助けだと思い、 声が聞こえる方へと足を向けた。 この選択が…… 俺の学園生活を 大きく揺るがす事になるとは…… 今の俺には全く分かっていなかった――。 . [*BACK] [戻る] |