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NARUTO


生徒会室にたどり着くとサクラはシカマルに声を掛けた。


「少しだけ手伝ってもらってもいいかしら?」


「・・・好きにしろ」


パソコン作業をしているシカマルは、目線だけ上げて告げるとまた作業を始めた。


「じゃあここに座って」


『う、うん・・・』


本当に大丈夫なのだろうかと不安になりながらも、ソファーに座った。


「計算お願いしてもいい?私書類作るから何かあったら言ってね。」


『こんなにあるの?』

量の多さに驚き、毎日これは大変だと実感した。


「あー、ナルトがいるー」


『イノちゃん。サクラちゃんの手伝いだよ』


「お前できんのかよ」

喜ぶイノと馬鹿にしたように尋ねるサスケ。


『計算だけなら出来る。』


大きな目でサスケを見上げるナルトに、彼は鼻で笑って席につく。


それぞれが作業を開始する中、一人だけペンの音が早いのがナルトだった。


「ナルト、終わった?」


『うん。電卓でもう一回確認する。』


暗算だけで計算をしていたナルトは、電卓を使うとスピードが落ちてサクラは苦笑する。


「あんたが暗算間違えた事あるの?」


『・・・でもテストとは違うから確認しないと駄目でしょ?』


「電卓なら私のが早いから、ナルトはこっちお願いできる?」


イノが肩をぽんと叩くと、パソコンで入力をする文章。


それなら大丈夫だと頷いて場所を交換した。

「・・・確かにするわ、花の匂い。」


ぽつりと呟いたイノの呟きはナルトには届かない。


一人増えただけで作業速度が速くなり、イノとサクラは表情を緩ませる。


生徒会の仕事ばかりで遊ぶ時間が無かったせいか、もしかしたら今日は早く帰れるかも、と淡い期待を抱いていた。


何時もの笑顔は無く真剣な眼差しでパソコンを打つナルト。


「早いわねぇ」


「おじいちゃんの手伝いで良くパソコン打つのよ、ナルトは。」


器用に動く両手と、上下する瞳。


ほんの数分でプリントする書類を打ち終えたら、ぐっと背伸びをした。


『できたよ?』


「じゃあ会長に渡して」


ん。と頷き印刷された書類を持ってシカマルの所へ向かう。


『確認お願いします。』


「・・・悪いな、手伝わせて」


書類を見ていたシカマルは顔を上げ渡されたのを受け取る。


『平気です。』


嫌な顔を浮かべず笑うと、ナルトは何かに気付く。


『・・・消しゴム落ちてる』

ころりと転がっている消しゴムを屈んで取り、机の上に置いた。


『サクラちゃん、区切りついた?』


「うん、もう少し。もしかしてお茶淹れてくれるの?」


『うん。それ終わったらサクラちゃん教えて』


ナルトは机に戻り使った物を片付け始める。


「計算バッチリだったわよー!」

電卓作業が終わったイノはブイサインをナルトに送る。


「ナルトの暗算凄いわねぇ」


『計算しか出来ないよ、俺』


数学が少し苦手なナルトは、苦笑を浮かべこたえた。


サクラから教わり皆の飲み物を用意して休憩を始めた。


「休憩とかいいわぁー」


「ナルトのお陰で助かったわ」


『今行事近いから皆大変だよね。』

一年生の行事、部活や委員会の活動費や嘆願書類等が多かった。


「人手足りないのよ。」


『なら今日は手伝えて良かったよ』


サクラとの会話を黙って聞いているのは、そうしていろと言われたからでナルトを引き込むつもりなサクラ。


「ほんと助かった、帰りとか遅い時あるし時々怖かったのよ。」


『・・・空き地の所?』


薄暗い場所で人通りが少なく、女の子の独り歩きは確かに怖いかも知れないと考えるナルト。


「たまには遊びたいし、宿題とか勉強とか睡眠とか・・・全部遅くなっちゃうし」


『昨日のサクラちゃん、疲れた顔してたよね。』


そうなのよ、とため息をついて俯くサクラ。


「ナルトみたいな人がいればいいのに・・・そうしたら皆余裕が出来るもの。」


『──・・・俺、手伝おうか?』


にやり、と俯いているサクラの口元は笑っていた。


「でもナルトだって遊びたいでしょ?少なくなるわよ」


『週末遊べばいいし、人手が足りないなら俺手伝うよ?』


「ナルト・・・っ」


俯いていたサクラは顔をあげ、にっこりとした表情を浮かべていた。


「じゃあ生徒会、入ってね。」


『・・・は?』


目を丸くして前に座るサクラを見遣るが、口端が引き攣る。


これ知ってる。


頭の中で呟いた。


「手伝うイコール生徒会よ、ナルト。」


『サクラちゃん、最初からコレだった?』


勿論。

サクラの表情は満面な笑顔を浮かべ、策に嵌まったナルトはがくりと頭を下げた。




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