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NARUTO


緩まることの無い腕にナルトは戸惑いを隠せなかった。

『シカマルなに寝ぼけてるんだよ!』

シカマルの息が首にかかってくすぐったくて、離れたかった。


「なあ、何で脱ごうとしてたんだ」


『寝れそうにないから散歩しようかとおもって』


本当は帰ろうか、外で寝るか、で迷ってました。


とは言えない。言ったらシカマルと一緒が嫌って思われる


嫌ってるって想われたくない。


「お前よ、気付いて無いようだから言うがよ、お前何時から顔反らして話すようになったんだ」


恥ずかしくて見れませんでした、なんて言えるか!


『し、してないって!』


「なら見て言ってみろ」


──・・・鬼。


『だったら腕外してくれってば!なんでギュッてすんだよ』


やめてくれ、小さな動きでも大変なんだ。


「お前逃げそう」


『逃げるか!』


薄暗くて、月明かりの光しかない室内は明るかった。


『だから腕はず・・・っ』


びくり、とナルトの肩が震えた。


首筋に生暖かさと、ぬるりとしたものと


腹部にかんじる人の手に



『シ、シカマル何してんだよ!』


「お前、好きって誰に言いたい訳」


『お、起きてたのかよ?!』


シカマルの問い掛けに目を丸くし、ナルトの声は震えてしまう。


それを聞かれてしまった事に恥ずかしさが生まれ、顔に熱が集中した。


『あ、なに・・・っ』


シカマルに顎を掴まれ後ろへと向かされると、息を詰まらせた。


月明かりの光がシカマルの姿をはっきりと照らし、真摯な顔でこちらを見ていた。


「サクラか?」


『ち、ちが、俺は・・・』


何時もと全く違う、ましてや成長した知らないシカマルの姿や雰囲気にとまどい、ナルトは瞳を泳がせる。


「他に好きな奴でも出来たか?」


『・・・っ、なんでシカマルにそんな事言わなきゃならないわ・・・っ、んぅ』


知られたく無さでむきに返せばシカマルに唇を塞がれ碧い目を丸く揺るがせた。


『シ、カ・・・っ!』


何とか離れようにもシカマルはそれを許さず、ナルトの舌を絡めた。


『ふゃ・・・あ、んぅ・・・っ』


徐々にナルトからの力が抜けて床へと落ちながらも、シカマルはそれを続けた。


「他の奴になんか言わせねえよ・・・」


『シ、カマル・・・ぁ、ま、って、待って・・・』


シカマルの胸元によりかかり、されるがまま口づけをされ

腹部にあった手はナルトの胸元へあがり、小さな突起を指の間に挟めた。



『シカマルやだ・・・っ!』


震える手でシカマルの頭を押し退けた。


『何でこんな酷い事すんだよ!!』


ボロボロと一気に溢れ出した泪は止まらず


「同じだろ」


『何が同じなんだよ、全然同じなんかじゃねえよ!』


胸が苦しくて呼吸さえ難しくて、なにより痛い。



『俺はシカマルの事が好きでたまらないのに、俺の事が嫌いならハッキリ言えばいいだろ!』


悔しくて
苦しくて
悲しくて


『・・・っ、先に帰る!』


シカマルの側に居るのが辛くて


大声で泣き叫びたくて


大声でシカマルが好きだと言いたいのに



「待てナルト!」


『やだ、離せっ!』


立ち上がろうとする前に帯を引っ張られて、俺はまた床に座らされた。


「お前いま何て言った」


『俺の事が嫌いなら・・・っ』


涙でぼやける視界で、こんなに焦って大きな声を出すシカマルは珍しくて


「その前だ!」


『だから、俺はシカマルが好・・・っ、俺帰る!』


ぼん、と一気に顔が赤くなった。


恥ずかしくて居られない。


シカマルに嫌われるのだけは嫌だ!


「ふざけんな、誰が帰すかよ!」


『や、やだ離せ!』


逃れようと暴れても、体格差のせいですっぽり覆われた。


「好きでも無いやつにするとでも思ってんのか!」


『今したってば!』


泪をボロボロ流して混乱しているナルトに、シカマルは舌打ちをした。


「俺はお前が好きだからしたんだがな」


『──・・・なっ』


頭をかきながら話すシカマルに、俺は一気に涙が止まった。


「止まったな、涙」


ナルトの目元にシカマルの指が伸びてきた。


涙を指で掬われて、そのまま舐めたシカマルにナルトは口をぱくぱくさせた。


「俺はナルトが好きだ」


す、と両手が伸びて顔を近づかせられて、シカマルの真剣な顔が視界一面に広まった。


「ずっとこの言葉が言えなくて、お前と距離を保とうとしてたんだ。」


『シカ、マル・・・?』


親指の腹で唇をなぞられて、くすぐったさで肩を竦めるナルト。


シカマルの言葉が信じられずにただ


「お前は誰に好きって伝えたいんだ?」


『俺は、俺はシカマルに・・・ずっと言いたかった』


そうか、と返されて頬を撫でられた。


その時のシカマルの顔はどこか安心したような顔をしていた。


『シカマル、俺シカマルが好き、大好・・・っ』


ぐっ、と強く抱きしめられた。


「離さねえ。絶対離してやらねえ」


ナルトは嬉しくて、両手をシカマルの背に回した。


気付かない内に大きくなった背中


気付かない内についた逞しい筋肉



『シカマル・・・』


「ん?」


『キス、してもいい?』


「いくらでも」


気持ちを伝えられたら、さっきまでウジウジしていた自分がとてもおかしくて


『もっと顔見せてってばよ』


「さっきから見てるだろ」


『ずっと恥ずかしくて見れなかったんだよ。』


「好きなだけ」


『うん』


気持ちが伝わると、幸せ過ぎて


「お前ね・・・」


『キス、したかった。』


これからしたかった事を一緒に出来るといいな。


「俺相当我慢してんだよ」


『?』


我慢していた、という意味を知るのは、あと少ししてから。



今はまだ、幸せ気分をご満悦していたいからさ。





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