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NARUTO


空はすっかり茜色へと姿を変えて、子供や大人達は家路や店へと向かっていく。


『にしても・・・大丈夫かな』

昼みたいな姿になっていなければいいけど。

「よーナルト!なにしてんだー?」

『シカマル達と待ち合わせー』

里の者と会話を何度かしていると、背後から聞こえる我が子の声。

「「おかあさーん!」」

手を振りながら駆け寄ってくる二人を、ナルトはしゃがんで待ち構えると、そこに飛び込んでくる。

『お帰り、ヨリとチカ。』

ぎゅう、と抱き締めてから顔を上へとあげると愛しき人。

『お帰り、シカマル。』

「ああ、ただいま。」

言葉を返すと手をさしのべればナルトはそれを掴んで立ち上がる。

『三人とも昼みたいな姿じゃなくて安心した』

「あれはお父さんが僕を掴み飛ばしたからだよ!」

「そうだよ!チカ川にドボンされたんだから!」

「ヨリだってやってやりたいみたいな事言ってただろうが。」

頭を掻きながら告げると二人はナルトに抱き付きながら抗議を始める。

「もとはと言えばお父さんの馬鹿力のせいでしょ!」

「おいおい・・・高い所から飛び込みたいって言ったのチカじゃねえか」


『川なら自分で飛び込めれるんじゃないの?』

最もな事を言ったが、ヨリは首を横に振った。

「下流だったんだ。お父さんの影分身で修行してたんだけど・・・」

「川があって意識がそっちに行っちゃって、気付いたら僕がぽーんって。」

『ああ、それでか・・・ってずりいよそれっ!!』

俺もやってほしかった!

ジト目でシカマルを見るナルトに彼は苦笑を溢し、頭を撫でた。


「今度な。」

『狡いぞ子供達!』

お母さんもやりたかったぞ!と二人を見下ろすが全く怖くはない。

寧ろ可愛らしい。

「まあそれは置いといて行くぞ。」

『なに食べるの?』

ナイショ、と口許に指を当てて告げるシカマルの姿にナルトはきゅんとしてしまう。

何年たっても変わらない。

何年たっても好きが止まらない。

そのうち破裂してしまわないかと困ってしまう程に。

『・・・何かの間違えでしょうか。』

「「間違いじゃないでーす」」

ナルトとぐいぐい背中を押しながら入って行ったのは重鎮等が良く利用する老舗料亭。


此処が高い事ぐらい知ってるし、かといって来れない程ではない。

知っていたらもう少し格好を気にしていたのに、とそんな所しか考えて居なかった。

せいぜい焼肉とか居酒屋だとしか思ってなかったのだから。


何処を見ても内装は綺麗で下品さもなく、落ち着きがありながらも気品が漂う店内に入った。

「奈良様、お待ちしておりました。」

シカマルは仕事で良く利用すから顔馴染みではあるが、ナルトは初めてだった。

『俺やっぱ着替えてくる・・・』

「んなもんいいんだよ。」

がしりと腰に腕を回し逃げれないよう捕まえると、慣れた足取りで個室へと向かった。


シカマルが女将と話している間にナルトは外をぼうっと眺める。

仄かに灯された蝋燭の灯りが庭を幻想的にして、何処かで鹿威しの音や蛙の鳴き声。

日中は綺麗な花が咲いているのだろうと思うと、散歩したいな、と思ってしまう。


「そんな所に座ってないてこっち来い。直ぐに来るぞ」


『うん。』

シカマルの隣に座ると、チカがグラスを渡してくれて、ヨリがお酒を注いでくれた。

「今日はね、お母さんの日なんだよ!」

『・・・母の日はとっくに過ぎたよ?』

毎年食べに行くが、今日は至ってど平日。

ましてや過ぎたばかりの誕生日や結婚記念日でもない。

不思議な顔でシカマルの方を見ると、彼もまた柔らかな笑みを浮かべるだけ。

訳が分からないナルトは何か他にもあっただろうかと考えるが何も思い付かないまま、豪華な料理が運ばれてきた。

シカマルのグラスにビールを注ぎ、子供達はお互いに注ぎあい乾杯をした。







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