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NARUTO


木が生い茂り、見晴らしが余り良くない場所に三人はいた。

全ての戦いが、拓けた場所ではない。

こういう障害物がある場所で実戦する事が多く、どう切り抜けれるか考えさせる為にと此処を選んだシカマル。

「いいか、相手がどう動いて仕掛けてくるのか。行動も、癖や軸足、情報は幾らあっても損はねえ。」

シカマルは印を結びそれぞれ違う影分身を出した。

「状況判断も忘れずにな。」

そう言ってシカマルは何処かへと飛んでいった。

「朝の絶対気にしてるんだ。」

「大人げないってこう言う時に言うのかもね。」

チカは不貞腐れた顔を浮かべ、ヨリは呆れた顔を浮かべながら二体の影分身に視線を向けた。


「ちゃんとやってんな。」

高い所から息子達を眺めるシカマル。


アカデミーでは強いと言われるこの双子だが、スパルタでそうなった訳ではない。

シカマルの教え方が上手で、ナルトはどちらかと言えば実戦で教えるのが上手かった。

子供の頭の出来は母親のを受け継ぐと良く言うが、ナルトは何時も二人の良さに驚いて迷信だと思っている。

俺はこんなに頭の出来が良くない。

計算なんて大嫌いだ、と今でも言うほど。

「・・・・・・。」

気付かれないよう物影に隠れ、ポケットに入れてある物を取り出した。

「・・・今更なんだがな」

ほんと、いまさらだ。

けれど見違ってはいないはずだと確信もしている。


「あ、ヨリあそこに川がある!」

「・・・ほんとだ。」

泳ぎたい!修行そっちのけで遊びたい気持ちが膨れ上がってしまったチカ。

「あいつ等・・・」

眉間にシワを寄せ息子達を眺めるシカマルになんで気づくわけもなく、そちらのほうへと走り寄る二人。

「あ!滝もあるよ!飛び込める所ないかな?」

目をキラキラさせるチカにヨリも遊びたくなってしまう。

「絶対楽しいに違いない!」

まだまだ子供で、楽しいことに意識が行ってしまうのは仕方のない事で、二人に忍び寄る者にも気付かない。

「・・・え、ええええっ!?」

「チカ!?」

しまった、と思っても既に遅い。






今日のお昼は三人が大好きなオムライスを包むだけとなり、帰りを待っていると玄関から疲れた声を発する二つの声。




『おかー・・・ええ!?』

ナルトの目が真ん丸になって三人の姿を凝視した。

『ちょ、なにこのびしょ濡れは!?』


「ナルト、わりい先にシャワー入ってくる」

「「お母さんごめんね」」

『いや、何にごめんねなのか分からないんだけど・・・』

修行なんだから汚れるのは当たり前だし。ただ珍しくて驚いただけのナルト。

『服なんて洗濯すれば綺麗になるんだから。風邪引くのが一番の辛いんだからな。』

入っておいで。頭を撫でてやると二人は瞳を細めて靴を脱いでバスルームへ向かった。

『どんだけ激しくしたのさ・・・』

「修行、だったんだがな・・・」

川で遊んじまった。

その言葉にナルトは頬を膨らませシカマルを見上げた。

『俺も川遊びしたかった!』

「怒るのそこかよ・・・」

呆れるシカマルだが、ナルトの良いところは子供と同等になって遊ぶ所だと彼は思っている。

眺めて言ったりするのではなくて、共に遊ぶ所は中々出来ない親も居る。

バスルームでは子供達の賑やかな声がリビングまで届き、ナルトはオムライスを卵で包んでいった。


「「オムライスだーっ!」」

出るやいなや二人の声が聞こえてナルトはクスクス笑いながらサラダとスープを並べた。

「「オムライス!オムライス!」」

「わーったから頭ちゃんと拭けっての!」

キャラキャラとした笑い声と、シカマルの言葉にやはりナルトは笑う。

こんなヒトコマでさえ幸せを感じてしまう。

当たり前な日常の中にある小さな幸せ。

胸が暖かくなってしまう。

ドタドタ走る足音。

見た瞬間笑顔を浮かべ、その匂いを嗅ぐ姿。

一口入れたときの、綻んだ表情。

「「おいしー!」」

笑顔を向けて告げてくれる言葉。

ああ、なんて幸せなのだろうと。

「ナルト、今日の夜なんだけどよ」

『ん?何か食べたいのあった?』

「「お母さん今日は外で食べるんだよ!」」

何処までもシンクロするこの二人。

双子ならではの何かがあるとは聞くけれど、ナルトは何時も凄いと感じてしまう。

『そうなの?』

「ああ、だから待ち合わせして行こう」

待ち合わせ。

さっきみたいな姿になっていなければいいのだが。

ナルトの頭の中は先程の事が焼き付いてしまっていた。

「お母さんは少しお洒落してきてね!」

「でも足だしたらダメだよ、寒いから!」

チカの言葉よりも、ヨリは時々変わった事を言うな、と思うがなんせシカマルと似ている所があって、彼もまたヨリと同じ事を言う時がある。

「最近は気温の変化も激しいし、今日は冷えるらしいぞ。」

『そうだった?まあ、寒くない程度にしとく。』

納得はするものの、ナルトは違う事に引っ掛かりがあった。

修行した後は良く昼寝するのに、と。


遊んだから昼はちゃんと修行すると言う事なのだろうか、とも。

一人悶々と考えながら昼食が終わった。

三人は着替えを持って修行へと向かい、ナルトは乾いた洗濯物を取り込んで畳んでしまうとやることが無くなってしまった。

何時もなら夕飯を何にするのか考えるのだが、今日はしなくてもいい。

『とうしよう・・・』

取り合えずシャワーでも浴びるか。

それからどうしよう。

寝たら起きられるかな。

巻き物読んで眠くならないかな。

そんな事を考えながら時間は過ぎていった。



午前中遊んでしまい、次は余り汚れない所へ向かっているとき、ヨリが口を開く。

「お父さん、どうしてあそこなの?」

「あー?・・・まあ、あれだな」

けじめだ。そう言ってシカマルは公園の中へと入って行った。

「けじめ・・・?」

なにそれ、と首を傾げるチカにシカマルは二人をベンチに座らせる。

「お前達に、一つ聞いてもいいか?」

なに?

蒼と黒の瞳がシカマルを見上げた。






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あきゅろす。
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