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NARUTO
大切な月

ーー・・・ねえ、ヨリ君とチカ君のママって


子供はとても素直で純粋

それ故、どの言葉で他人を傷付けてしまうのかも理解出来ない。

大人だってそうだ。

他人の痛みやキズ、苦しみなど物差しみたく簡単に図れない。


傷付けられた言葉も、消ゴムで簡単に消せる訳じゃない。







今日は朝から太陽が降り注ぎ、カーテンの隙間から朝日が入り込みすやすや眠る二人の子供の瞼を刺激した。


ぱちり、と瞼が開き視線が重なれば青い瞳と黒い瞳が弧を描き互いにおはよう、と挨拶をする。

「おはよう、チカ」

「おはよう、ヨリ」

お互いの遺伝子がふたりの双子に分け与えられ、すくすくと素直で優しく元気に育っていた。


「今日からお母さん当分休みだね」

「うん。お母さん少し痩せちゃってたね。」

ベッドから降りて二人はリビングへ足を向けながら話した。


「ストレスで荒かったって九喇嘛が言ってた。」

「うん。けど九喇嘛も楽しそうだった。」

九喇嘛の力が二人の中にもあり、最近チャクラの使い方を覚え良く会話をするようになった。

「ねえ、ヨリ・・・」

「・・・ん?」

リビングに入る前に、チカがヨリの袖を掴んで止めた。

お互い性格も違うのだが、話し方が似ているせいで、声だけだと区別が付かない。

「ヨリ、僕は思ったんだ・・・」

「チカ?」

神妙な顔で告げるチカの姿に、兄であるヨリは何となく気付いたが、言葉を待った。

「僕は・・・僕達はーー・・・」





いい香りが鼻孔を擽り、それに釣られてお腹の虫がぐう、となる。

「「お父さん、お母さんおはよう。」」

リビングに行くと父親のシカマルは新聞を読み、母親のナルトは朝食の用意が終えた所だった。

「おはよう、ヨリとチカ」

「おはよう。二人とも歯磨きしてこい。」

ナルトとシカマルの言葉に返事をして、二人は洗面所へ向い歯磨きと洗顔をしに行くとシカマルはふと時計を見上げる。

「・・・・・・。」

シカマルは新聞をテーブルの上に置いて、ナルトが居るダイニングテーブルへと足を向けた。

「ナルト、今日は二人を修行させに行ってくる。」

『だったら俺も手伝うよ。』

アカデミーの中でこの双子が一番強く、大人でなければ身体を余してしまう程の成長をみせた二人。

一人で二人を相手すろより二人の方が効率はいいが、シカマルは首を縦に降らなかった。

「いや、いい。どうもお前がいるとあいつ等は張り切り過ぎて直ぐスタミナ切れになっちまうからよ。」

身体は成長していっても、まだ母親が大好きな二人。

良いところを見せたくて張り切って、チャクラ切れになるのは良くある事で、ナルトは苦笑を溢す。

『じゃあ、美味しい昼御飯でも作って待ってるか。』

そうと決まれば買い出しだ!とナルトも張り切る。

そこへとことこと双子がやって来ると、シカマルの方へと視線を向ける。

「張り切るのは僕達だけじゃないよね。」

「うん。お父さんも張り切っちゃうよね。」

チカの呟きにヨリも頷き呟くと、シカマルの眉間が寄り二人を見やった。

「何処をどう見たらそう見えるのか、今日は見物だな・・・」

ずもも、と背後から暗雲のようなものがたち混むのを感じた二人は顔をひきつらせる。

あれ、もしかしてこれはヤバいかな、と。


修行となればシカマルとて容赦はしないが、ナルトが居ると手加減をしてしまう。

双子はこの後の事を不安に感じながらも食事へとついた。


三人が修行へ向かうと、ナルトも買い出しに商店街へと向かう。


随分と専業主婦が板につき、値切りすらも出来るようになった。

インスタント生活だった子供の頃、今思うと不健康極まりない。

けれどそれは仕方がないと言われるし、自分でも思う。

誰も居なかった。

出迎えてくれる人も

見送ってくれる人も。

用意をして待ってくれる人も。

暖かな光が部屋中に照らされているのも。

怖かった。

自分の歩んだ人生に、暖かな生活が無かった事もどうやって築き上げていくのかも。

なによりも、拒絶されてしまうのが恐ろしかった。

恐ろしくて恐ろしくて堪らなかった。

子供は純粋だからこそ、純粋が故に言ってしまうのだ。

゛生んでほしくなかった゛

゛生まれてこなきゃ良かった゛

゛お母さんの子供じゃなければ良かった゛

それが本心なのか、ただの喧嘩などの勢いなのかなんて分からない。

分からないけれど、大切に育てこの世に生み出し愛を注いできた我が子にそんな事を言われてしまったらどうしようと何度も考えてしまった事もあった。


本来なら有り得ない事なのだから尚更不安だった。

変化で女の姿になれるが、まさか子宮まで出来ているだなんて、あの時は思っても見なかったのだから。

愛おしい人と一緒になれて、その間に出来た我が子達。

それ以上幸せな事なんてナルトにはない。

こうして好きな人と家庭を持てたこと事態、幸せなのだから。


「ねえねえ見たー?奈良親子が修行してたの!」

「みたみた!奈良上忍かっこよすぎるー!」

きゃっきゃと話すくの一達の会話を聞いて、ナルトは最早耳にタコが出来る程耳にしている。

勿論、自分が邪魔な存在だと言う者もいる事も。

「昔からかっこよかったけど、今は大人の色気だよねー!」

「子供も可愛いしねー!」

邪魔な俺が産んだ息子ですが、と脳内で突っ込みをいれるが、嫌われて居ない事に安心する。

忍なんていつ死んでしまうのか分からない。分からないからこそ、自分の昔を重ねてしまう。

けれど、あの子達は一人じゃない。

何時も愛情を持って接してくれるシカマルの両親が居るのだから。

そして、自分の仲間達がきっと支えてくれる。

『・・・早くご飯作らないと』

聞き耳を立てていたって仕方がない。

修行を終えてお腹を減らして帰ってくるもの達の為に、美味しいご飯を作らなくてはならないのだから。


「・・・ほんと、お似合いの夫婦で家族の理想像だわあ」


そう言うもの達が居る事なんて、ナルトは余り知らないだろう。



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