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NARUTO


庭に出たシカマルはナルトに向けていた穏やかな表情ではなく、さめざめとした顔を浮かべ垣根の方へと視線を向けた。

「お前ら覗き見とは随分悪趣味だな。」


「い、いや、シカマルたまたまだって!」

「そうよ、たまたまよ!」

キバとイノは顔をひきつらせながら姿を表すと、シカマルはキバに視線を向ける。

「何が知りたかったか知らねえが・・・」

「いやいやいや、最初はナルトとサクラが話してるのを見かけたからだって!」

「そうよ。だって気になるじゃない、ただでさえアンタは爺臭い所あるんだから。」

心配するものよ、とイノはフォローするがシカマルからすればどうでもいい。

「全員が同じ考えだと思ってるのが頭腐ってる証拠だろ。」


「ほらナルトってどっちかって言うと行動的だろ?喧嘩になったりとかしねえのかなって。」


「それがお前らに対する態度が違うってのに結び付くってか?」


何処までも冷淡な声で確信つくシカマルに二人は目を丸くさせた。

「俺の心配より自分達の心配でもしたらどうだ。」

「なによ!シカマルなんてナルトとくっつく前なんて遊びまくってたくせに!」

「ちょっと自分だけ俺達よりはやく幸せになったもんだからって見下しやがって!」


このやろう、と二人は声を荒げて告げればシカマルは目を鋭くさせ空気をも変えた。

「イノ、それをお前がナルトに言うって?」


「なによ、自分がしてきた事じゃないの!私が言わなくても関係持ってた子は言うかもしれないじゃない!」

私は悪くないわよ!と胸を張って返したものの、本当に怒ったらどうしよう、とも思いながら。


『あれー、キバとイノだー。』


騒がしい声にナルトは起きてしまい、背を向けているシカマルは冷眼な眼差しを二人に向け、ぶるりと肩を震わせるキバとイノ。

「な、なんだナルト。お前昼寝かー?」


「そうよ、こんなに天気いいのにー」

今だせれる笑みを浮かべるがぎこちない。

『良いから昼寝するんじゃん。』

それよりもさー、そういいながらナルトはシカマルの隣に立つと、二人に笑みを浮かべた。

『シカマルが遊んでたの知ってるし、言われた事もあったから大丈夫だよ。』


意外な言葉に二人だけではなくシカマルですら目を丸くさせた。

『シカマルの噂ってアチコチ出るからそう言うの知ってんだ。イノとキバはその心配をしてくれてたんだろ?』


「そうよナルト!私達はそれが心配だったのよ!」

がし、と肩を掴んで力説するイノにナルトはただ笑みを浮かべるだけ。

『だから言ってるだろ、シカマルは優しいって。』


「「・・・へ?」」

どうやったらそう結び付くって言うんだろう。

『普通は後ろめたい事があると人は優しくなるもんだろ?でもシカマルは違うから。』

確かにそれはあるが、それだとシカマルが悪人みたいじゃないか、と感じてしまうし、違うとは何なのだろう。


「それじゃあ俺が悪人みたいじゃねえか。」

『ん?シカマルはさ、欲しいの手に入ったんだから俺には特に優しいんだよって言いたいの。』

「ナルトお前知ってたのかよ・・・」

キバが呟くように告げた言葉にナルトは頷いた。

『これ言っちゃうときっとシカマルは自分責めそうだし、もっと俺を甘やかしそうな気がしたから言わなかっただけだよ。』

辛かったけど。

その言葉は飲み込んだが、シカマルは気付いていた。無理に笑ってるのなんてバレバレだ。

『皆よりちょっと優しい理由、わかった?』

シカマルが優しい理由をナルトなりに告げると、彼は頭を撫でた。

誰だって愛おしい者には特別な扱いをするもの。

恋人だったり動物だったり、自分の子供に無償の愛情を注ぐ。


それ以外の者に同じようなのを注ぐものなんて余り居ないだろう。


『きっとさ、俺達が友達のままだったらキバ達と同じだったとおもうよ。』

それはそれで見たいけど。彼の瞳を見ながら告げると、掌で隠された。

「お前は後でじっくり話そうな。」

『んー?なんだろ、例えるなら浮気を疑われているような空気は。』


自分だって、彼にしか見せない一面だってある。

彼だけに向ける感情も、行動だってある。

お互い恋をしたらそんなものだろう。

他人の空似に見えてしまうのなんて当たり前なんだから。


「なんかよ、ナルトもナルトで俺達の知らない一面があったんだなー・・・」


「いいんじゃないのー。あの二人はあのまんまで。」

見てるだけで甘ったるくなっちゃう。

イノは呆れた顔を浮かべながらキバと共に去っていった。

ただ、意外だと思っただけ。

大丈夫なのかと心配になっただけ。

ナルトが案外しっかりしているのなら安心だと、イノは空を見上げて微笑んだ。








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