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NARUTO


背中がひやりとするのは床のせいで、決して自分の体温なんかじゃない。

ドクドクするのはきっと知らないシカマル祭りのせいなんだ。


落ち着かないのはやっぱり知らないシカマル祭りばかりだからなんだ。

頭の中でそんな事を自分に言い聞かせているナルトの頭はもはや正常な機能はしていな
い。


「確かに今年からお前に対する態度は変わった。」

『・・・っ。』

俺のせいだ。

自分が悪い。好きになってしまった自分が悪い。

それだけの言葉で悲しくなってくる。

「話すことも減ったし、遊ぶことも無くなった。」

『もういいって!ほんと俺がわ・・・っ』

悪かった。

いいかけた言葉を止めたのはシカマルの大きな手の平。

「いいから、聞け。」

真剣な眼差しでナルトを見るシカマルに、じわりと視界が滲んだ。

「お前と距離を置いておけば大丈夫だと言い聞かせて、お前が傷付いてんのも知ってた。」

素っ気ない態度をする自分にナルトは悲しそうな顔をしていたのを今でも覚えてる。

傷付けて傷付けて、悩ませて困らせて。

それでもまだ挨拶はしてくれる事に何時も安堵していた事も。

「次は大丈夫だって決めてても、ぶっ飛んしまう。」

口許にあった手のひらはするりと撫でるようにナルトの首筋へと移動した。

『・・・っ』

それがくすぐったくて肩を竦めてしまう。

「もう結構前から無理だった。」

お前に触れたくて。

『・・・・・・。』

囁いた言葉と同時にまた唇が重なった。

『・・・っ。』

小さなリップ音が静かな教室の中で響き、耳に残響して恥ずかしい気持ちにさせてしまう。

何度も啄まれている内に、震える指先がシカマルの頬に触れた。

『・・・お、なじ・・・?』

「俺のはお前よりも深いぞ。」

手を出してしまいそうになる自分がいたから。

だから距離を置いて、冷静に話そうとしても裏目にでてしまい、ナルトを傷つけた。

『俺は・・・好きだって知られたからだっておもって・・・っ』

なんだよそれ

ぼろり、と涙が出てきた。

好きだから距離を置こうとしたシカマル

好きな気持ちを知られて距離を置かれたと思ったナルト


「悪かったな、辛い思いさせちまってよ。」

『俺・・・俺・・・っ』

驚きと嬉しさがない交ぜになってどうしていいのかわからない。

「ほら、起きろ」

ぐっ、と腕を引かれるとそのままシカマルの胸元へと引き込まれた。

『うー・・・っ』

ぎゅ、とシカマルのシャツを握り胸元近くは涙の染みが出来る。

子供をあやすように小さい背中をゆっくりと撫でるシカマルの表情は優しかった。


「まあ・・・取り敢えずいまは」


『・・・へ?』

触らせて。

ずっと触れる事を我慢してきた。

本当はもっと話していたかった。

意識してしまうと上手くいかず、距離が出来てしまった。

離れてしまった距離を、時間を埋めていきたい。



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あきゅろす。
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