NARUTO
四
花火が上がり始めて数分が立った頃、見上げていたナルトは今では下を向いていた。
低い重低音の音と共に聞こえる、濡れた音と控えめに聞こえる熱い吐息と声。
『な、らさ・・・っ、やだって・・・っ』
「誰かくるからか?」
ちがう、と言うように首を振るナルト。
綺麗に着つけられた浴衣は乱れて、片足が艶めかしく出ていた。
『だって、折角奈良さんがしてくれたのに・・・汚れちゃうの、やだ・・・』
それを気にしてたのか。
けれど着つけたのが奈良であるなら、脱がして直すのも奈良の務めだと言う事に、ナルトは気付いていない。
いないが、そうやって気遣ってくれる事が嬉しい。
「汚れねえよ。」
『んなこと、言ったって・・・っ』
月明りと花火の光に、ナルトは暗くても彼の目に見えてしまっえいる事が恥ずかしい。
身体を繋げてまだ浅いけれど、この行為になれる日が来るのだろうか。
『・・・っ、うあっ!』
「そう言って指、締め付けてんだろ」
違う。首を振っても説得力は無くて、彼の指がナルトの中で動く。
『やだ、や、あっ、ああ・・・っ』
膝が曲がりそうで奈良の腕に縋りつくと、そのまま首に腕を回されて唇が合わさった。
身体が密着すると嫌でも彼の昂ぶりに気付かされて、顔が痛いくらい熱が集まる。
キスだけでくらりとしてしまうのは間違いなく経験の差だろうと自覚しているが、時々悔しくなってしまう。
『やだ!奈良さ、やっ、無理だから!』
「そこまで非力でもねえよ・・・」
ナルトの膝を抱える奈良に、ナルトは嫌だと首をふるばかり。
熱く猛ったものがナルトの後ろに当てられ、少し入ればそのまま一気にナルトの身体を持ち上げた。
『っ、あ、ああああっ!』
チカチカする視界と、押し寄せてくる快感に、ナルトは声を堪える事が出来なかった。
抱っこをされながら揺すられるナルトは、落ちないように奈良の肩にしがみ付く。
「――入れたまま帰るか?」
『なんでそんな・・・やだ・・・』
それこそ誰かに、奈良の知り合いにでも会ったら大変な事になりそうだ。
もう花火所では無くなって、見たいのに見させてくれない奈良が憎い。
憎くて、視界に映る奈良の鎖骨をカプリ、と噛み付いた。
「・・・っ、のやろ・・・」
『花火・・・見るっていったのに・・・っ』
ううーと、恨めしそうな眼差しで奈良を見上げるナルト。そんな顔で見ても、奈良からすればなんの威力なんてない。
「そんなに足りなかったか・・・」
『足りないってなに・・・いっ!』
木の幹に背中が当たり、ナルトの眉が寄ると奈良は気にもせず腰を動かせば甘い声を漏らすナルト。
気持ちがいいと応えるように、ナルトの先端からは蜜がとろりと出て伝い落ちる。
『あ、あああ・・・っ、い、じわ、ああっ!』
「いじがなんだって・・・?」
言ってみ。
顎を掴んで聞き返す奈良の表情が煽情的で、見惚れてしまった。
「なに惚けてんだ、言ってみろって」
『・・・奈良さん、意地悪過ぎる』
視線を外して告げると、喉を鳴らして彼は笑う。
「昔から言うだろ。好きな奴には意地悪したくなるっ、って。」
『だ、から・・・あああっ!』
狡いんだって!言いたかった言葉は彼が腰を打ち付ける事で失われた。
悔しい。
そんな余裕の顔と言葉で自分を翻弄する奈良が。
耳元に顔を寄せて耳朶に吸い付いた。
「・・・っ!」
声を詰まらせ律動が少し緩まったのを感じて、ナルトはそのまま奈良が自分にするように舌先で舐め上げると、彼は中でぐりっと動く。
『・・・っあ、なに、奈良さん、耳弱いんだ・・・?』
今出せる精一杯の強がりで問いかけると、彼は片目を眇めてナルトの頬を抓った。
「うるせえな・・・わりいか」
『いや、俺は嬉しいよ。奈良さんの弱い所見つけられて』
だから此れからも知っていきたいと思うナルトだが、それを素直にこの男はさせてくれるのだろうか。
「それ、外じゃなくて家に居る時に聞きたかった台詞だな・・・」
『・・・なんで?』
外でするのは嫌だけど、別に何処でもいいような気がする。
ナルトは首を傾げて奈良を見上げると、溜息をついて肩に顔を埋める。
「・・・外だと色々あんだよ」
『しなきゃいいじゃん。』
「出来るか。そうさせんの、お前なんだから」
『そんなの言いがかりじゃん!堪え性の問題だってばっ!!』
自分のせいにされて感じたまま言葉にすると、奈良はこれでも堪えてる、と返された。
「大体、外だとしなきゃなんねえから嫌なんだ」
『しなきゃって何さ・・・』
なにかしてただろうか。
考えても思い付かなくて奈良を見ると、ゆるりと腰が動く。
「ゴム、つけなきゃなんねえだろ。」
『・・・汚れるからでしょ?』
それ以外は何時も奈良はゴムをしない。
ナルトがどんなに言ってもしてくれない。
「この薄っぺらいのに阻まれてるのが嫌いなんだよ。」
『良く今まで病気にならなかったね・・・』
意外な言葉にナルトは怪訝な顔を浮かべると、奈良は額でナルトの額をごつく。
『・・・痛い』
「俺は今までゴム無しでした事なんかねえよ。」
『してんじゃん』
初めての時から彼はゴムの着用なんてしていなかった。
「お前の事が好きなのに、そんな物必要無いだろ。」
『・・・っ』
そんな事を言われて言い返す言葉なんて無かった。
身体全体が喜んでいるように血液の巡りが良くなって、胸の鼓動までもが苦しいくらいに。
『ほんと、ずりい・・・』
「嫌なら最初からゴムしてるっての・・・」
額にキスをして無駄話しは終わりだと言うように腰を持ち直した。
「ゴムなんてしたくねえから、外の時はあんま刺激すんな・・・っ」
『そんなの知らな、っ、あ、あああっ!』
どうすればそう感じるのか教えてくれ!
頭の中で叫びながら花火の音と共に喘ぎ声が出た。
浴衣を着て、出店の物を買って、花火を見て帰る。
そんな楽しい時間になる筈だったのに、悉く打ち破られてしまった。
それでも、奈良の浴衣姿が見られただけましだと、ナルトは思う。
来年は、何処のお祭りに行こうか。
そう告げるのは一体どっちからなのだろうか。
見上げた花火は綺麗に夜空に咲き、静かに落ちる光。
前を見れば、その光に照らされ違う色を見せる愛おしい人。
ナルトの胸はまた、きゅんとしてしまった。
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