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NARUTO
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父親の出張でクシナも着いて行き、ナルトは当分一人の生活になった時、それは訪れた。

最近暑さが増してナルトの食欲は落ちて、食べても半分残してしまう事が多い。

余り胃に負担をかけたくなくて、冷たい飲み物を我慢したりもするが、どうしても求めてしまう。

今日はどうしてか身体が重たくて、身体の熱が取れていない気がした。



「今日はテストしてみるか」

『出来るといいんだけど・・・』

なんか不安過ぎる。

奈良は携帯を出してアラームを設定すると、時間は20分と言われ、ナルトはテストに取り掛かった。


最初は四択問題をやって、次は短い文章問題に、和訳や英文に書き直していくと、少しずつレベルが上がっていくのを感じながら、ナルトはぼーっとする頭で解いていく。

テーブルに肘を付けて、手の甲で額を抑えながらやるナルトを見て、奈良はじっと眺めた。


今日はやけに顔が赤い、と。

「・・・ナルト」

『――ん?』

なに?顔を上げるナルトに、奈良は額に手を当てた。

それに驚いたナルトは思わず肩が引いてしまう。

『え、なに・・・どしたの?』

「お前、いつからだ?」

『何が何時から・・・?』

分からないという顔を浮かべると、奈良は更に首元に手を当てると、やっぱりな、と呟かれる。

「体温計、どこにあんだ?」

『体温計・・・え、うそ!?』

いまかよ!ナルトは自分の頬に触れるがさっぱり分からない。暑いのは気温のせいだとしか思っていなくて。

ナルトはサイドチェストに手を伸ばすが、ぐらりと床に倒れた。

「ナルト!」

奈良は立ち上がってナルトを抱き起すと、不謹慎と思いながらもナルトの胸が強く高鳴った。

「その中にあんのか?」

『一番上の中・・・』

ああ、どうしよう。

なんだこの恋した女みたいな感情は。

『・・・・・・っ!』

そう頭の中で感じれば、ナルトは自覚してしまった。

好きになる要素なんてあったのか?奈良の背中を眺めながら考えると、体温計を渡されて熱を計り始めた。

「気付かなかったのか?」

『んー・・・気温のせいとしか思ってなかったから』

なんでいる時に熱が出んだよ。頭の中で文句を言いながらも電子音が鳴って見るのが嫌になる。

奈良が気付いたくらいなのだから、高い筈なんだ、と。

「何度だった?」

『まだ微熱だから大丈夫。』

体温計は38度なのに、ナルトは誤魔化した。

切ろうとすればその腕を掴まれて、驚いて体温計を床に落としてしまった。

『あ、ちょっと・・・だめ!』

拾おうとした奈良の手を邪魔するようにナルトは使える脚を使って体温計を蹴った。

「・・・てことは嘘なんだろ。」

『違いますー本当に微熱なんですー』

早く表示が消えろ!と願いながらも、奈良はそれを取って眺めると眉間に寄った皺。

美形はそれだけでも怖いです。

奈良が離れたのをいい事に、ナルトはサイドチェストの方に寄ってしまう。

「これの何処が微熱だって・・・?」

あの穏やかそうな空気は無くなり、今はもう雷雲が立ち込めているんじゃないかと思う程、奈良の空気は怖かった。

本当、美形の怒りは怖い。

『いや、ほら気温のせいで体温計の機能が可笑しくなったんだよ!』


あはは、と空笑いを浮かべるナルトに彼は近づいてナルトの顎を持ち上げる。

「薬、どこにあんだ?」

『・・・黙秘権使いたいんですけど』

嫌がるナルトに、奈良はその顎を少しだけ力を入れると、ナルトの眉間がぴくりと動く。

「どこにあんだ?」

『硬く閉ざされています。』

そうか。奈良はそう返して顎から手を外すと、ナルトの身体を持ち上げてベッドに投げ捨てた。

『ちょ・・・俺荷物じゃねえ!』

ナルトの言葉を返さず、奈良はチェストを開けると薬があった。

「熱に鈍感だと聞いてはいたが、此処までとはな」

『誰に聞いたってさ』

クシナさんだよ。

その言葉にナルトはベッドに沈んだ。

まさかそこまで言われていたなんて思ってもみなくて。

ナルトは虚弱ではないが良く熱を出す。

もともと体温が高いから気付く事に遅れてしまいがちで、なんか怠くて暑いな、としか感じない。

熱以外の症状が余り出ないのも一つの原因なのだが。

起き上がって薬を飲むとナルトはそうだった、と気付く。

『奈良さん、移るからもう終わりにしよ、母ちゃんから預かってるから。』

「帰れると思うか?」

『帰れるって、移ったら奈良さんが辛いっしょ。』

けれど奈良は首を縦に振らずにナルトの頬を抓る。

「一人に出来るかっつーの。」

『えー、金曜の夜だよ、遊びたい年頃じゃん』

「お前、俺にどんなイメージ持ってんだ」

怪訝な顔でナルトに尋ねる奈良に、ナルトはんー、と唸り声をあげる。

『・・・合コンするイメージ無いし、なんかバーとかで呑んでそう。』

「だとしてもいっつも行くか。」

ぺちん、と額を軽く叩かれてナルトはそこを摩った。

引き出しの中には冷却シートがこれでもかと入っているのが気になる。

「なんでこんなにあんだ?」

『友達がくれんの。俺暑さに弱いからこれしろって。』

あんま効かないって言ってんのに。不貞腐れ声で返すと、奈良はそれを取ってナルトの額と首筋に当てた。

『つっ、めて・・・っ!』

「リンパ腺冷やすのが一番いいんだよ。」

ぺりぺり剥がして反対側にも張られて、なんだか変な感じがする。

「さっさと中に入って寝ろ。」

『いや、寝たらダメじゃん!鍵締めれない!』

誰が閉めるのさ、と慌てて告げると、奈良はじ、とナルトを見てまた胸がトクリとナルトの胸を打つ。

「俺が面倒見るのは、嫌か?」

『・・・歯が浮く!奈良さんそれ俺に言わないで!』

恥かしい!と両手で顔を隠すナルトに、奈良は口許を笑わせた。

「ずっと面倒見てやる」

『ちょっと本当に止めてって!ハズくて隠れたい!』

ぐりん、と身体の向きを変えるナルト。心臓はバクバクしていて、顔に熱が集中してしまう。

「隠れたいのか?」

『今すぐ隠れたい!』

そうか。奈良はタオルケットを手に取ってナルトの頭から被せたが、直ぐに背中に違和感を感じた。

『・・・へ?』

なに。首を後ろに向けると奈良の顔があって目を丸くしながら離れようとした。

奈良に抱きしめられている事にナルトはもうどうしていいのか分からなくて、ワタワタしてしまう。

「熱、上がるぞ」

『ひいっ!』

耳元で囁くように告がれてナルトはそこも赤く色づく。

「海、行きたいなら早く治せ。」

なんだこの甘い空気は!

言いたくても言えないヘタレなナルト。けれど言葉にすると恥ずかしくて出そうにもない。

自分は性癖はどうであれ、こんな人を好きになってしまったのか、と不甲斐無く感じてならない。

見込みなんて無いのだから。

家庭教師と生徒

ただそれだけの関係。

それ以上なんて、ありはしない。



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