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NARUTO
二 

ナルトの部屋に行くとクシナが掃除機をかけてくれていてベッドが綺麗にされていた。

「じゃあ、始めようか」

『宜しくお願いします。』

こうなったら諦めるしかなくて、ナルトはカバンから教科書を取り出した。

ナルトの部屋には机が無くて、代わりにテーブルが置かれている。

奈良は真向かいに座ってナルトの答案用紙を眺めると、肩が小さく震えていることに気付く。

『・・・どしたの?』

「・・・いや、なんでこの文章で・・・っ」

え、なに。

ナルトは彼の方に行って覗き込むと、赤ペンで馬鹿!と書かれている文字と回答を見た。


「ゲームがしたくて夜明けまで眠いのを堪えて頑張ったけど、眠気に勝てずにそのままナルトは昼過ぎまで寝てしまった。」


『・・・これって俺の事じゃないんでしょ?』

ないな。

笑いを堪えながら言葉を返す奈良。ナルトはこの答案用紙が返された日の事は今でも鮮明に覚えていて、その日は散々友達に馬鹿にされた記憶が甦る。

「まあ、どうやったら自分の出来事になるのかは今は良いから、ナルトが何処まで理解しているのか試そうか。」


『・・・ん。』

馬鹿にされなかった事がナルトには嬉しくて、その気持ちを誤魔化そうと元の位置に戻った。

渡されたのは一枚のプリントで、ナルトはみた瞬間頭の中が真っ白になってしまう。

英文が何かの呪文のように見えて、どうしてかそう思うと頭の中に魔法陣じみたものが浮んでくる。

「無理とか思わないでまずやってみないとわかんねえし、見たら案外分かるかも知れないだろ?」

頑張れ。そう言われてナルトはシャープペンを取ってプリントを読み始め、その間に奈良は何かを書いていった。

十分程経過すると、ナルトはテーブルに突っ伏した姿に奈良は気付く。

「限界か?」

『もーわかんねえ・・・最後無理。』

奈良は用紙を取り、ナルトの回答を眺めると目を丸くした。

英語が苦手な割には随分と綺麗な筆記体を使い、翻訳の部分も出来ている。

「・・・・・・。」

なにが問題なのか。


奈良は最後の問題に目を向けると、それが分かった。

「いくつかの語があって、意味のかたまりがあるとこんがらがるんだろ?」

『・・・そう。』

名詞 副詞 形容詞などが一つの文章に入っていると整理が付かない。

奈良はナルトの前に用紙を置いて、赤ペンを持った。

「いいか、名詞はどれだか分かるか?」

『・・・different kinds of support?』

「随分発音良いんだな」

『なんでだろう?』

練習した訳ではないのに、発音はいいと中学時代から言われていた。なのに赤点常習犯。

「括弧をつけていくと分かりやすい。」

括弧の種類を決めてすれば少しは分かりやすくなるだろう。

奈良に教わりながら進めていくと、ナルトの携帯が鳴ったが、音で直ぐにクシナだと気付いて耳に当てる。

『かーちゃん何?』

「飲み物どうする?」

『あー・・・いまいく。』

奈良に説明してから部屋を出ると、階段を上がってくるクシナ。物を受け取って戻ると奈良に渡した。

『いつもなら下から呼ぶんだけど・・・さすがにかーちゃんも携帯使ったか。』

「まあ・・・気遣ってくれてよかったろ。」

そうですけど。

そう言うが、ナルトは部屋に居ても、友達が来ている時以外は余り部屋のドアは閉めない。

年頃だとしても、誰かが部屋に入っても怒りもしない。見られて困る物もないし、掃除してくれるなら逆にありがたい、と思っている。


「・・・普通に怒られるだろ、それ。」

『えー、だって暑いから仕方が無いんですって。』

ナルトはこの前友達と学校で水遊びをして怒られた事を話していた。

その日は暑くて頭がくらくらしてどうしようも無くて、ジャージだった事を良い事に、ホースで水浴びをした。

当然びしょ濡れで帰って来たナルトを見てクシナにも怒られてしまったが、楽しかったと笑みを浮かべる。

「まあ、確かに最近暑いからそうしたくなる気持ちは分かるな。」

『でしょー、もう本当に教室の中も暑いから、本当は脱ぎたくてしゃーないのに。』

プリプリ怒りながらナルトは氷をガリっ、と噛み砕いた。

「そんなに暑いなら、今度海にでも行くか?」

『そういうのって、大丈夫なの?』

家庭教師なのに。

そんな遊ぶ約束なんてしてもいいものなのか。ナルトは尋ねると、奈良は首を傾げる。

「人それぞれじゃね?」

『えー、聞いた事ないしー・・・』


でも海には行きたい。気持ちがいいだろうな、と思うとウズウズした気持ちが生まれてくる。

「海の日の前にテストあんだろ。終わったら車で連れてってやんよ。」


『俺ちょー頑張る!!』

普通こんな事、一日目でする約束じゃなかった。と気付かされたのはもう少し先の話し。

それからナルトは毎日頑張って、教わった括弧を使い教科書に書いて行くようになった。

それをするようになってから、少しずつ分かるようになって、ナルトは気分が良い。

けれど


この茹だるような暑さには敵わず、ナルトは今にでも倒れそうな体勢で友達とハンバーガーショップに入った。

「しっかりしろって、ナルー!」

「ほら、もう涼しいだろ?」

『・・・・・・。』

励ます友達の声に反応すらせず、ナルトはただ壁に寄りかかるだけ。

「ナルト、取り敢えず座るぞ」

ナルトの肩に腕を回してソファーのある所へと向かい、ナルトを寝転がせた。

周りは心配な眼差しを向けるが、声を掛けれない。

運んだ彼、前田がナルトの世話をしているから。

「だーから冷えピタ持って来いっていってるだろー?」

『・・・効くか、そんなもん』

荒い息を含ませた声は、まるで情的な事をしているかのようで、その薄く色付いた頬も、濡れた唇も魅力的で高校生には見えない。

「ナルトー、イモ食って塩分補給だぞー」

「お茶飲めるかー?」

『・・・わりい』

ナルトは起き上がろうと力を入れてゆっくり起き上がる。その動作までもが色めいていて、周りはちらちらと見る中でその近くに居る友人たちは慣れているのか至って普通だった。

「どうにかしないと帰りにぶっ倒れるぞ?」

『・・・この暑さがわりーんだ』

お茶を半分ほど一気に飲んでからナルトはポテトを口の中に入れながらソファーに凭れ掛かった。

『あー・・・だりい・・・』

「そんなんで今日の宿題出来そうなのか?」

『・・・なんだっけ?』

数学だよ!と皆に突っ込まれたが、ナルトは何も返さずただ黙った。

『まあ・・・余裕だな。』

「「「うぜえっ!!」」」

ふっ、と笑った顔と態度に三人は憎しみを込めて言葉を返すと、ナルトはケラケラ笑う。

「んだその余裕、英語ダメな癖に!」

「自分の出来事書いた癖に生意気な!」

「最近カテキョ付いたからってテストが上手くいくと思うなアホんだらが!」

ナルトの傷を抉り、馬鹿にする三人にナルトは更に笑みを浮かべるが、瞳が笑っていなかった。

『俺は英語に忙しいからお前ら、数学と化学頑張れ。』

「「「・・・・・・。」」」

意地悪な笑みを浮かべて告げた言葉は、三人の思考も動きも止めてしまう程強烈だった。

この三人はその二つが大の苦手でいつもナルトに頼んでいるからこそテストで赤点を免れてきた。

「すんません!マジすんません!」

「ナルちゃんなに食べたい!?」

「いやいや、ナルトお前さっきのは冗談だって!」

『・・・もう遅い。俺の傷口を抉った罰だ。』

「「渡部ーっ!!」」

この野郎!お前のせいだ!ナルトの傷を抉った彼に二人が責めると、本人もショックを隠し切れない様子だった。

『お前ら、煩い。』

一喝してから、チューとお茶を飲に干した。




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あきゅろす。
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