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NARUTO
45000キリ番 微熱は誰のせい 現代シカナル

今日も蒸し暑い日が続いて、頭の中はぼうっとしている。

そんな中で授業なんて聞いても、頭の中にうまく入ってこない。

暑くて我慢出来なくて、ワイシャツのボタンを全て外すと、薄ピンク色のランニング。

『あーっ、ちいーっ!』

だらりと椅子に肘をのせ、深く座るのは綺麗な金髪を靡かせ、美しい碧眼は暑さで自然と潤んでいた。

黙っていればいいものの、出てくる言葉は乱暴でいて、性別が男の渦巻ナルト。

すらりとした足を惜しみなくだし、同年代には無い色気があり、クラスの男子は溜まったもんじゃない。

男と分かっていながらも、後ろから見れば女。

黙っていれば男装した女に見えてしまう。

そんな事を気付かない本人は、暑い暑いとランニングを仰ぎ、動かす度に肌が露わになる。

『・・・はあ』

頬に集まる熱はうっすらと色づき、憂いを孕んだ瞳は伏していて長い睫が陰影を作り

唇から零れる吐息すら・・・


「お前ら団扇持ってこおおおおいっ!!」

サーイエッサ―ッ!!


我慢出来なくなったクラスメートが断ち切るように大声をだして指示を出した。

この際団扇でも下敷きでもいい、この空気から脱出できるのならばそれでいいのだ。

『・・・前田、おまえどうしたよ?』

「きにするなナルトッ!」

ばっ、と顔は向けずに手だけを出して告げる前田。

ナルトはよく分からない騒ぎに首を傾げるが、直ぐに窓の外を眺めた。

高校生活二度目の夏。

対策は色々考えてあるらしい、級友達。

そんな事をなにも知らない呑気なナルトに、なんとも言い難い出来事が起こる日でもあった。



***********

ナルトが自宅に帰宅すれば母クシナが冷たい麦茶を出し、ナルトは訝った。

(何かありそうだな・・・)

こんな事をする母では無い。

ましてやこの機嫌の良さ。

ナルトは冷たい麦茶を飲んでグラスを唇につけたまま言葉にする。

『――なに企んでんの?』

「なによー、企むだなんて人聞きの悪い」

『でなきゃその機嫌の良さと、帰って直ぐ麦茶何か出ねえってばよ』

バッサリと告げた言葉に、母の笑みは消え舌打ちが聞こえた。

(やっぱそうかよ・・・)

面倒そうな顔を浮かべて母を見れば、エプロンのポケットから何かを取り出してテーブルの上にばん、と叩きつけた。

「これ、ナルトが隠してた答案用紙だってばね・・・」

『おー。良く見つけたね、母ちゃん!』

すげえ!ケラケラ笑うナルトを、クシナはぎろりと般若のような顔で睨みつける。

「高校二年は大事な時期で、大学の進路も決めなきゃならないって時に・・・何だってばねこの点数はっ!」

『だっておれ英語苦手だし。ほかは良いから大丈夫だ・・・』

「ああ?」

胸倉を掴まれ凄まれては言葉の続きなど言えそうにもない。

おそらく今に始まったことでは無い。

英語の点数が悪いのはとっくに知っているし、二年となった今、母として見過ごす事が出来ないのだろう。

「だから家庭教師に来てもらうことにしたってばね。」

『――・・・はい?』

いま何とおっしゃった?

ナルトは母親の言葉に耳を疑い、もう一度聞きなおすと耳朶を掴まれて良く聞こえるよう近くでもう一度同じ言葉を繰り返した。

「今からくるから、大人しくしてなさいね。」

『じょっ、じょーだんじゃねえっ!!』

ナルトはリビングから走り出し、玄関に向かうとクシナも追い掛けてくる。


「待つってばねナルトーッ!!」

ドタドタ足音を響かせながらナルトは玄関のドアを開けて飛び出すと、何かにぶつかった。

『うぶっ!!』

「・・・いっ!」

頭上から聞こえた声に驚いて顔を見上げると見知らぬ女にもてそうな男性。そして、その背後からはクシナの声。

「ナールート―・・・って、先生!!」

『先生・・・?』

「随分、元気がいい息子さんですね。」

うそだ、と信じられない顔を浮かべるナルトに、柔らかな笑みを浮かべる家庭教師。

『すいません、ぶつかって・・・それじゃあっ!』

「あ!ナルトッ!!」

頭を下げてまた逃げ出そうとする行動にクシナは動こうとしたが、彼によって止められた。

「どこに行くって・・・?」

『俺は現実から逃げたいんだーっ!!』

「それは寝てる時にするってばね!!」

むんず。クシナはナルトの首襟をつかみナルトを捉えると、子猫のように背中を丸めるナルト。

『くっそー・・・っ』

なんだよこのコントみたいな一コマ。

ナルトは逃げる事を諦めて、家の中に入って行き、家庭教師で来た男性の紹介をクシナが始めた。

「ナルト、今日から教えてくれる奈良シカマルさん。ちゃんと教わりなさいよ。」

「よろしく、ナルト君。」

『・・・もう、俺ゼツボー・・・』

がくりと頭を下げると、クシナが頭を叩く。

どうせなら、こんな外見のいい人じゃなくて、もう少し顔のレベルを下げて欲しかった。

だなんて言える筈なんて無く、ナルトは自室へと向かった。


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あきゅろす。
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