NARUTO
44444hitキリ番 感じていたもの
*このお話は独りで抱えるよりも、の続編となっております。
あの騒動から数日が過ぎたころ、ナルトは毎日朝から格闘している事がある。
今日も目覚めれば――
『・・・ううっ』
目の前にシカマルの寝顔でいつも朝が始まる。
あの日からシカマルとナルトは共に寝るようになり、ナルトがいくら平気だと言っても、彼は聞き入れてはくれない。
それだけじゃなく、この忙しなく動く胸の鼓動にいつも悩まされている。
少し触れただけで胸が高鳴り、腕を掴まれてしまえば顔が赤くなって呼吸が苦しくなる。
なのに起きて直ぐに彼の寝顔と、自分を抱きしめる逞しい腕に抱かれてしまっているナルトは、寝起きだと言うのに血圧が上がるように耳まで真っ赤になり、呼吸すら上手く出来ない。
(このままじゃ俺、死ぬ、間違いなく死ぬ!)
ナルトは綱手の所に向かい、いい物件がないか尋ねると彼女は眉間に皺を寄せて無い、と返す。
『なんでだよー・・・』
「別にシカマルの所でも問題はあるまい」
問題ありありなんだって。
そう言い返す事はしないで、ナルトは尤もな事を言葉にする。
『だってそれじゃあシカマルが彼女とか色々・・・来難いじゃん』
以前の事が記憶に強く残っているナルトは、自分のせいで好きな事が出来ないのではないかと考えている。
自分がシカマルに頼りきっているから、あの子は言いに来たんだろう。
『・・・まいったな』
あの日からシカマルは何時も優しく抱きしめてくれる。
それがとても安心して、良く眠れたりもする。
胸元を抑えて、ナルトは瞼を閉じた。
すると直ぐに浮んでくるのはシカマルの声。
『・・・っ!』
ぱちりと目を開いて、ナルトは自分の頬に手を当てた。どうしてこんなにも熱くなってしまうんだ。
『もう、やだ・・・っ』
苦しくて、切なくて、ナルトはしゃがみ込んでしまった。
「渦巻上忍、どうかされました?」
若い男の忍がナルトに声を掛けると、ナルトはびくりと肩が震える。
『え・・・あ、いや、考え事・・・』
「大丈夫ですか?なんだか顔色が悪いみたいですけど・・・」
こわい。何でもないようで、何かをされそうで。
ぬっ、と伸びてきた手がナルトの額に触れようとした。
『・・・っ』
「あいたたたた!」
触れられる事は無く、代わりに相手の痛がる声にナルトは目を丸くする。
『・・・シカマル?』
「その手に仕込んでんのなんだ?」
「な、何もしこんでなんか・・・っ」
ぎりぎりと腕を締め付けると、何かが地面に落ちた。
それは小さな針で、ナルトの表情は固まる。
「まだ、こりてねえ奴がいんのかよ・・・」
「いっ、はなせ、離せってーのっ!」
逆切れをおこした相手を気にもせず、シカマルは簡単に手を離すと、男は体勢を崩しそのまま消えてしまった。
「――ご丁寧に薬仕込んでたか、おいナルトだいじょう・・・」
『・・・・・・っ』
ぎゅっ、とシカマルに抱きつくナルトに、彼は背中を撫でた。
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