NARUTO 七 研究所に向かう為にトウシと二人で歩いていた。ナルトは任務の為共にいけない事を悔やんでいたが、シカマルは居てくれた方が楽だった、と感じる。 「シカマル、そこにメスが沢山いるから行って来い」 「牝って、お前なあ・・・」 明らかにシカマルに対する態度が酷く、どこか不良めいたいたのだった。 「好きだろ、女。だからナルトは俺が貰う。」 「おまえ、鹿に戻ったらどうすんだよ」 「問題ない、また人の姿になるだけだ」 顔は誰が観てもいい男なのに、発する言葉が偉そうだったり片言だったり。 シカマルは溜息をついて歩く。 「薬なんて飲ませるかよ、お前が苦しむことになるだろうが。」 ばーか。頭を軽く叩けば、仕返しと脚を蹴られる。 それが地味に痛いから嫌になる。 「シカマルはまたナルトを泣かせる悪い奴だから、俺がナルトを守るんだ。」 「だからもうんな事・・・」 「シッカマールさーん!」 ぎゅむ、とシカマルの腕に抱きつく女。 「ほらな、シカマルはそうやって居ない所でそう言う事をしてんだろ?」 「だからちげーって言ってんだろ!離せっつうの!」 「やーだー、離したくなーい!」 谷間に腕を挟めて左右に振る女に、シカマルは眉間の皺を深くした。 「――離せっていってんだろ」 「・・・シカマルさん?」 シカマルの様子に怯えて離れる女。 「トウシ、お前が守りたいのは分かるが、それは俺が不甲斐無かったからだろ」 「不潔。」 どうしてそんな言葉が出て来るんだ。 シカマルは呆れてものが言えない。 「女に手を出しまくる不届きもの、女泣かせのサイテーヤロー、とも言ってた。」 「・・・誰がだ」 「・・・秘密に決まってんだろ、尻尾頭。」 「あの・・・シカマルさん?」 様子を見ていた女は覗き込むと、びくり、と身体を大きく震わせて走り去った。 「・・・?」 トウシは気になって覗き込むと、彼もまたびくりと肩を震わせる。 「――好き勝手言いやがって・・・」 ぶっ殺すぞ。 ぎろり。切れ長の瞳は怪しい色を帯びてとある方向を向いた。 「・・・その髭、毟り取ってやる」 トウシに吹聴したのが父親である事は明白。シカマルはトウシの首根っこを掴んで研究所へと向かった。 (怖い、シカマルこわい!シカクの嘘吐き!) その日の昼下がり、研究所から誰かの悲鳴が木霊した。 ********* それから数日後にはトウシが本来の姿に戻ってしまい、会いに行くと相変わらず頬にキスをしたり、くっついたりとしていた。 けれど、ナルトが大好きなトウシからすれば傍にいるシカマルが腹正しくて、観ていない所で攻撃を仕掛けたりするようになった。 ある時は足で ある時は角で 懐いてると見せかけて袖を破いてみたりと、姑息な嫌がらせをした。 『モモ、あんまりシカマル苛めたらダメだぞ?』 「・・・や。」 「「・・・は?」」 いま話したよな? 互いの顔を見て、トウシを見れば、なに? と返答があり驚きの声をあげた。 鹿は賢い生き物。 そのシカが人の姿になって言葉を覚えた。 本来の姿になっても、言葉を忘れることは無く、出るまでに時間が掛かっただけだった。 「シカマル、じゃま。」 「おまえなあ・・・」 かわいくねえ・・・。 ひきつる口端。 それを見てくすくす笑うナルト。 ほんと、思わぬ所で強敵が出来たものだ。 それでも二人仲よくトウシに会いにいくのだから。 「ナルト、愛してる」 『えっ、モッ・・・ええっ!?』 頬に口付けされ、顔を真っ赤にするナルト。 「・・・はあ。」 ほんと、人でないからどうする事も出来ない。シカマルは呆れと諦めを感じて青い空を見上げた。 [前へ][次へ] [戻る] |