NARUTO 不安だった サスケが里に戻ってきた。 反対する者もいるが、共に戦い世界を救ったのは紛れもない事実。 監視の目はあるが、それでもサスケはこの里に戻った。 戻ったのに、ナルトはサスケに会えなかった。 話したい事がある。けれどそれを言ってしまうと彼はどう思うだろうか。 また、居なくなってしまうんじゃないか。その不安は消えない。 里が団扇にした事を許す事なんて出来ないだろう。 もし違っていたら、サスケの両親も、イタチも生きていて幸せだっただろう。 他にもいた、団扇の者たち。 一人ぼっちにはならなかった。 『――・・・眠い』 巻物を読んでいたナルトは目を擦った。 どうしてこんなに忙しいんだろう。 シカマルみたいに会議にでる事も、議案を考えたりすることも無い。ましてや大量の書類を見たり書いたりもしない。 『ちょーっと任務でヘマしたからって・・・』 なんでこんなに巻物を読まされないといけないんだ。 好きで畑を荒らした訳じゃないのに。 『普通あんなに出ないだろ、イノシシ。』 憎たらしい・・・。ぎりぎりと巻物を握り締めて眉を寄せる。 『ほんと、ねみい・・・』 とろんと目が落ちてきて、ナルトは逆らう事なく眠りの世界に入っていった。 いつになったらサスケに会えるんだろう。 言いたい事が、あるのに。 あの頃のようにはなれなくても、戻りたいと思っても 過ぎ去った時間の中で、お互い違う道を歩いていた。 守る者と、壊すものとして。 そんな遠回りをしながらも、沢山のモノを見て、知って、戻って来た。 『――・・・。』 ゆっくりと開いたナルトの瞼。 本棚に凭れ掛かって寝ていたせいで身体が痛い。 『どんだけ寝てた・・・?』 まだ読まないといけない巻物を眺めて、ナルトは溜息が出る。 本当に読んだのか、それを書き纏めなければいけなくて気分が滅入ってしまう。 途中まで読んでいた巻物を取ろうと手を伸ばして、肩に違和感を感じた。 『・・・あ?』 なんだ。それを取ると誰かが来たのか、上着が掛けられていて、ナルトはじっ、と眺める。 『・・・・・・。』 ふわりと香ったそれに、ナルトは誰が来たのかが分かった。 昔から変わらない。 『――サスケ』 サスケの匂いだ。 起こしてくれれば良かったのに。そうしたら話が出来たのに。 気付かない自分も悪いのだが、ナルトはサスケが来てくれた事が何よりも嬉しかった。 「なにニヤニヤしてんだ・・・」 ウスラトンカチ。 背後から聞こえたこえに驚いて、肩を本棚にぶつける。 『いっ・・・て』 「何やってんだ・・・」 ぐいっと腕を引かれて体勢がもとに戻った。 [前へ][次へ] [戻る] |