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NARUTO
八 

あの後ナルトは直ぐに解放されたが、身体の熱がどうしようもなかった。

葉山に嵌められ、専務に襲われそうになり、散々な一日だったが、もし足を捻っていなければ、こうならなかっただろう。


マンションに戻ってナルトは更に破かれて使い物にならなくなったシャツを眺めた。

『・・・買に行かなきゃ』

いつ行けるかな。

なかなか買いにいけなく、ネットで買ったりするが自分の目で確かめたい。

明日からは何かあれば奈良に告げなければならない。

どこから何処まで伝えるべきかが分からないまま、奈良の日帰り出張の日がやってきた。


当然秘書であるナルトも同行するのだが、今日はとにかく暑い。

奈良の運転で助手席に座り、ナルトはそこでもパソコンの作業をしていた。

車内はクーラーが効いているからどうでもないのだが、外に出た瞬間、蒸し暑さが纏わりつく。

取引先に着くとナルトは受付に向かい手続きをすれば、直ぐに案内人の社員が現れる。

そのまま応接室に通され、ナルトは片隅でメモをとる。

相手側の秘書もナルトと同じようにメモを取っているが、それに集中しすぎて飲み物が空になっている事に気付かない。

どうしたものか。

自分が出れば彼女のメンツを潰してしまうし、相手の社長にも失礼だ。

きにしながらもメモをとると、奈良に呼ばれる。

「渦巻、八月の週末、金曜日とかはなにか予定はあるか?」

『はい・・・八月の金曜日と週末予定はまだございません。』

接待ゴルフでも入るのだろうか。

「じゃあ週初めの金曜日にでも麻雀しますか?」

「おお!だが人数が足りなんじゃないのか?」

「渦巻ができますから、三マンが可能です」

そうかそうか!とからから笑う相手に、ナルトは週初めに麻雀と書きこんだ。

「近くになったらまた連絡します、それまで腕を磨いていて下さいね。」

「この前は負けてしまったからなあ!」

次は負けん!と意気込む相手に、お茶を入れてくれと秘書に伝えた。

「渦巻君は麻雀の腕はどうなんだね?」

『おそらくお二人には敵わないかと・・・弱いんです。』

「そうかそうか!それは楽しみだ!」

ああ、カモられる。

奈良は勝負事には兎に角つよくて、ナルトは勝った試しがない。

それが広まってか、あちこちから誘いの電話が多い時がある。それを嫌がらずに楽しんでいるのだから、ナルトは凄いと感心する。

取引先の会社から出ると、支店に立ち寄り役員達と話し合いが始まり、ナルトは冷たい飲み物を用意した。

「渦巻、これ二部ずつコピーしてくれ」

『かしこまりました。』

書類を受け取ってナルトは言われた通りに印刷をし、お客が現れれば飲み物を出したりと夕方まで続く。

「・・・あちー」

『今日は涼しくなりませんでしたね。』

ハンカチで首筋を抑えるナルト。本当はバフバフと服を仰ぎたい。

この張り付くスカートの中も気持ちが悪い。

奈良の車に乗って、彼は戻る方向にハンドルを向けず反対方向に向かった。

「わりい、服かう。お前も気持ち悪いだろ?」

『・・・よろしいのですか?』

着替えたい。奈良はそう返すと、ナルトも嬉しくなった。夏の外回りをしていると、着替えが欲しくなってしまう。

奈良の行き付けの店にはレディースものもあり、ナルトはスリットつきのタイトスカートを眺め、その近くにあった第一ボタンが無いシャツが魅力的だった。

『これにしよう』

その二つを持ってナルトはレジに向かったが、襟首を掴まれる。

『・・・っ、なに・・・あっ!』

奈良だった事に驚いたが、ナルトが持っていた服を奪われてしまう。

「これでいいのか?」

『はい、お会計をするので貰ってもよろしいですか?』

両手を出すと、奈良はそのまま従業員に手渡した。

「それもしておいてくれ」

『それは自分が・・・っ!』

煩い、と頬を奈良に抓られる。

「俺に買われるのは嫌か?」

『・・・狡いです、それ。』

眉を下げて返すナルトに奈良はふっと笑う。

「俺は狡いからな」

『社長、ありがとうございます。』

素直に頭を下げて礼を告げるナルトに、奈良は肩をポンと叩いた。

本当に、勘違いをしてしまいそうな事をする人だ。

『・・・やばい』

ときめいてしまった。

女のように扱う奈良が、最近ナルトの悩みで、頬に集まった熱を外の熱さのせいにした。



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