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NARUTO
二 

会議の時間になればナルトは片隅にある机に座って会議で出た議事録をパソコンに打ち込んでいく。

休憩時間には一度飲み物を下げて新しいものを淹れてまた運び始める。

ナルトは朝,奈良に言われた言葉が頭の中で木霊して、あまり屈まないように気を付けていた。


いたのにも関わらず、やはりいるのだ。

『・・・ひっ!』

そろり、とナルトの尻を一撫でする者が。

「ああ、ごめんよ、これを取りたかったんだが、触れてしまったね。」

ははは、と悪いと思っていない顔で告げる上役。

「渦巻君、きみスカート短すぎないかい?誘ってるとしかいいようがないよ?」

言葉のセクハラにもナルトは慣れてきているが、時々本性が出そうになってしまう時がある。

「もうすこし屈んだら見えちゃうんじゃないのか?」

「じゃあ試してみるかい?ちょうどペンが落ちてしまっているからねえ・・・」

いやらしい笑みを向ける上役たちに、ナルトは顔に出さないよう気を付けながら足を曲げてそれを取った。

『失礼します。』

何処に目ん玉つけてやがんだ、このブタが!と頭の中では物凄く悪態をつき、そのままトイレに向かった。

『そんなに短いかなあ・・・』

スカートの丈を気にしてナルトはトイレの鏡の前でくるりと一回りすると、視界の端に何かが映り込んだ。

『・・・は?』

なにかいた?気になって廊下のほうに顔を出したが誰もいなかった。

けれど確かに人の姿が見えたのだ。

『え・・・うそ・・・』

まさかよ。さーっと顔が青ざめていき頭を振った。

居る訳ない、今は昼間だし、夜でもない。何かの見間違えなんだ。

ナルトは心霊系が大の苦手で話を少し聞いただけでも夜は電気を付けて寝てしまうほど。

『間違え間違え、何かの見間違えだ・・・』

念仏のように唱えながらナルトは会議室に戻ると、奈良が声を掛ける。

「渦巻、今日の夜八時の予定はなんだ?」

『はい、今日の夜八時は・・・なにもございません』

手帳で確認すれば今日の奈良は余り忙しく無く自分もクリーニング店に早く行けそうだと。

「じゃあお前もその時間空けておけ。」

『はい。』

ああ、スカートが。ナルトはどうにかしなければと思うが、奈良の言葉が絶対なため自分の予定など入れておけれないのだった。

いつ呼び出しがかかるか、電話が来るのか分からない。

けれどスカートだけは譲れない。

ナルトは意を決して奈良に声を掛ける。

『社長、よろしいでしょうか?』

「・・・ん?」

頬杖を突きながら書類を眺めていた奈良に、ナルトは口ごもる。

『あの、スッ、いや、ちがう、クリーニング店に行きたいのですが・・・』

「ああ、スカートだろ、連れてってやる」

奈良の言葉が信じられずナルトは目を丸くしてしまうが、それを聞いていた社員たちも驚く。

『いえ、直ぐですのでお時間を頂きたいのですが・・・・』

「そっちに向かう用事があるからついでに寄れるだろうが」

そうだったのか。ナルトは納得して下がり、資料を眺めた。

ナルトのマンションは秘書という職業もあって会社から近いところにある。


会議が終わって片付けをしていると、一人の上役がナルトの肩に触れてきた。

「渦巻君」

『専務、お疲れ様です。』

ナルトはこの人が苦手だった。

なにかと話しかけてきてはいやらしい目でナルトをみて触れて、言葉もそうだから。

「今日は随分セクシーな格好をしているんだね、つい目がそっちにいって集中出来なかったよ」

『すみません、クリーニングに出してるので取りに行けなくて・・・』

軽く頭を下げると専務はからから笑ってまた肩に手を置く。

「関心しないなあ、若い女の子がこんな恰好をして会議にでるっていうのは・・・」

つう、と手が下がってきてナルトは後ずさると、彼は腰に手を回してきた。

『ちょ、なにするんですか・・・っ!』

「だめだよ、抑えきれなくなるから」

荒い鼻息が耳にかかって気持ち悪くて押し戻そうとするが、うまくできない。

そろりと回った手はナルトの尻に回って一撫でした。

『やだ・・・っ!』

「ほんとうにそうなのかい?」

ぎゅっと目を閉じて力を入れようとしたとき、機械の音が鳴った。

「人の秘書になにセクハラしてんだ?」

「・・・っ!」

奈良の姿があった。

ナルトは全身から力が抜けるのを感じて、テーブルに手をついた。




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