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NARUTO
忍び寄る手  R18 

朝起きて先ずする事。

それは早い朝食をすましてから、シャワーを浴びて頭からつま先まで綺麗にする事。

それから髪の毛を乾かして、鏡の前で身支度をする。

着替えてから出社し、今日の予定をパソコンで確認をして、手帳に書いていく。

派手すぎない赤い唇が緩やかに動いた。

『・・・時間、か。』

もう少しで社長がくるころだ。

デスクから立ち上がって出迎えの為にロビーへと向かった。

綺麗な金髪は短く、大きな青い瞳はいつも艶がはり、それを隠すかのようにしている黒縁メガネはどこか妖艶。

すらりとした綺麗な足を惜しみなくだし、スカートで隠れているが、ガーターベルトを付けている。

女子社員だけでは無く、男性社員からも憧れの眼差しを向けられるが、誰にも言えない秘密を持っていた。

黒い高級車が静かに停まり、ドアマンが後部座席のドアをあけると、そこから出てきたのは若い成人男性。

『おはようございます、奈良社長』

ゆっくりと彼に一礼をすれば、彼は秘書の姿をじっと眺めた。

切れ長の瞳は鋭く、けれど纏う空気はいつも穏やか。

「ああ、いくぞ渦巻」

『はい。』

低く甘みのある声は耳通りがよくて、残響する。奈良の背後に回って社長室を目指して歩いて行く。

大手ゼネコン会社で、その息子である奈良シカマルがこの会社の社長を務め、その第一秘書である渦巻ナルトは常に彼と一緒。

そしてナルトの秘密を知っているのは彼だけ。

『社長、十時からの会議ですが資料の訂正があって改訂版をデスクの上に置いておきましたのでご確認お願いいたします。』

ナルトは午前中の予定を告げ終わると同時にエレベーターが到着した。

社長室に入り、奈良の背広を取りハンガーにかけていると、太腿がさわりとする。

『・・・っ』

「今日は随分短いな」

スカートの長さが短いと指摘され、ナルトは頭を下げた。

『すみません、時間が過ぎてしまってクリーニング店に行けませんでした。』

仕事は申し分ないのだが、ナルトは少しドジな所があって、一日にスカートを何枚か汚してしまう時がある。

それが重なって取りにいく時間が無くていつもより短いスカートになってしまった。

「見えるんじゃねーの、それ」

『・・・っ!』

かあ、と顔が赤くなってナルトは俯く。

時間を貰って買いに行けれたらいいのだが、秘書は常に社長と共にいなければならない。

「そうなったら、ここやばいんじゃねーの・・・?」

『やっ!・・・社長やめてくださ・・・っ』

するりと入り込んだ手はナルトの下着に触れ、びくりと震えた。

「・・・しかも今日はこれか」

ガーターベルトをしているナルトの下着は黒とピンクをつかったティーバック。

小振りで形のいい尻は隠されることなく、屈んでしまえば見えてしまいそう。

さわりと触れる奈良の手つきが厭らしくうごき、ナルトのそこを撫でる。

ぷるぷる震えるそこに奈良はあろうことか前の方に手を回した。

『だっ、だめです・・・っ!』

つかもうとしたがそれよりも早くナルトの秘部に触れられ、背後からくすりと笑う声が耳元に届く。

「バレルかもな・・・?」

『・・・・・・。』


どうして自分がこんな恰好をして仕事をしなければならないのか。

ナルトはいつもそれを抱き、彼に聞くことは出来ない。


男だが、女顔をしているからだろうか。

それとも奈良が女性を苦手としているからなのか、どちらにせよナルトはこの格好が時々辛いと感じてしまう。

本当は大股で歩きたいし、足を広げて座りたい。

こんな窮屈なハイヒールなんて履きたくも無ければ、下着も男モノを穿きたい。

ナルトは秘書室に戻って業務を始めると、ドアがノックされた。

『・・・はい』

「失礼、渦巻いま大丈夫か?」

現れたのは営業二課の桐山。

甘いルックスに少し垂れた目が色気と幼さを出していて女子社員に人気。

『桐山さん、どうしました?』

「うん、渦巻に聞きたい事があって」

デスクに手をついてナルトを見つめる彼の瞳の奥は光っていた。

『・・・なんです?』

秘書に取り入って社長に近づこうとする社員は少なくない。

まさか桐山もその中の一人なのだろうか。ナルトはキーボードから手を離して彼を見上げる。

「渦巻さー、この映画観たいって言って無かった?」

『――あ。』

今大ヒット中のファンタジー映画のチケット。

ナルトは行きたくても中々行けず、早く終わっても席は取れなくてDVDの発売を待つしかないと諦めていた。

それが目の前にあるのだからナルトはそれに釘付けになってしまう。

『・・・他の方に渡してあげて下さい、私はいつ行けるかわかりませんので。』

すみません。頭を下げると桐山はナルトの手を取った。

「デートの誘い、なんだけど?」

『・・・あの、私は・・・っ』

同性でもどきりとしてしまった。

デートだなんて社会人になってから一度もした事が無い。

誰かを好きになることも、付き合うことも今のナルトにはタブーとされているから尚更だった。

たとえ同性でも、どきりとしてしまった。

そういうのにナルトは飢えていて、時々人が恋しくなってしまう。

『お誘いは嬉しいのですが、予定が立て込んでいますので。』

掴まれた手をゆっくりと外してナルトは再度頭を下げる。

渦巻ナルトを落とそうとするものは多く、誘いに乗らないのも有名だった。

それを落としてみせると意気込むものもいるのだが、誰も同じで誘いには乗らない。

『・・・みたかったなあ』

映画。デートなんてする気はないが、一人で見るのも虚しいものだ。

『行くなら遠くじゃないと無理だし・・・』

本来の姿で思い切り遊びたい。それがナルトの本音であり、テーマパークにも行きたい。

誰かと遊んで、呑んで笑いあいたいが、この姿で会えるわけも無く。

『あ、お茶淹れなきゃ』

もう無くなるだろう。給湯室でナルトはお茶の用意を始めた。



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あきゅろす。
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