NARUTO
二
ミナトが戻ってからカカシは一人ナルトが目覚めるのを待っていた。
規則正しい呼吸と、寝返りすら打たない姿にカカシはナルトの頬に優しく触れる。
「・・・ナルト」
早く目を開けて欲しい。
その綺麗な青い瞳で自分を映して欲しい。
この赤くて形のいい唇で名を呼んで欲しい。
そして、触れて欲しい。
ゆっくりと彼の指がナルトの頬から唇の端にまで下がってくると、くすぐったいのかピクリとそれが動く。
「ねえ、ナルト・・・」
柔らかな唇に触れ、そのままカカシの指は開くように下へと下げて陰影を作った。
音は無く、重なった唇。
下唇を啄み、カカシはもう一度ナルトの顔を見て微笑む。
「こういう時は好きな人の口付けで素直に起きるもんなんじゃないの?」
『・・・・・・。』
からかいの言葉と共にナルトの表情が真っ赤に変わり口許が歪んだ。
けれどナルトの瞳はまだ開かないまま。
それを良い事にカカシはにんまりと笑い、覆いかぶさると、また唇を塞ぐ。
さっきの優しい口づけとは違い、飢えていたものを満たすように甘く激しく。
『・・・っ、う、あ・・・んんっ!』
ナルトの口腔内を彼の舌が好き勝手に動いて中を犯していく。
「――起きた?」
『・・・っ』
額同士がくっつき顔を逸らすことが出来ないまま、ナルトは瞳を彷徨わせてしまうと、カカシは指先で唇に触れた。
「まだ、起きて無いの?」
どこまでも甘い声にナルトの耳の奥はぶるりと震え、身体が熱くなっていく。
『お、起きてる、から・・・』
離れてほしい。
顔なんて見れなくてナルトは目を泳がせたまま言葉を返した。
「そう、なら目覚めのキスでもする?」
『なっ、なに・・・っ!』
言ってるんだよ。言いたかった言葉はカカシの顔お見た瞬間止まってしまった。
言葉や仕草だけでは無く、いつもしているマスクが無いだけ彼の顔までも甘さが際立っていた。
『や、やだ・・・それやだ・・・っ』
震える手でカカシの顔を隠そうとするナルトのそれを掴み、彼はそのまま抱き寄せる。
「ナルト、好きだよ。ずっと好きだった・・・」
世話役から始まり、自分の教え子となり、淡い気持ちを抱くようになってしまった。
この両手に入る事を長年夢見てきた。
『だからずりぃんだよ、先生は・・・』
嬉しくて全身が震えているのを感じるナルト。
ずっと彼だけを見てきて、彼だけを思い続けてきた。
世話係りと言われても、兄のように慕い想いの変化に戸惑ったこともあった。
兄のような存在が、何時しか想い人に変わり何度となく見たくもないモノを見てきた。
諦めきれなかったのは、それほど彼の事を想い慕っていたからだろう。
駄目だと思っていても、なにかあるとそれは簡単に忘れてしまう頭にも嫌になったり、都合良く変わってしまう。
夢だと思いたくない事が今、目の前で起きている。
『俺、先生が大好きだってばよ・・・』
ナルトはカカシの首筋に唇を落とした。
喉を鳴らして笑うカカシにナルトは見上げると、瞳を細める彼の姿があった。
「これからどうしたい・・・?」
『・・・治ってから考える』
くすくす笑ってナルトはカカシの唇に口付けた。
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