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NARUTO
紙飛行機 

何度も追ってとばした紙飛行機。

折り方によって飛び方も距離も変わる。

今では折る事も飛ばすことも無くなり、里の子供が飛ばしたそれを見上げる側になった。

『・・・よく飛ぶなー』

そういえばシカマルもこんなに飛ばしてたな。

昔競ってとばしてたっけ。

懐かしい思い出に、ナルトはふと感じた。

紙飛行機みたくこの秘めた思いを飛ばしてくれればいいのに。

ナルトは書店で色紙を買って火影岩に来た。

想いを伝えられないのならば、書いて飛ばしてしまえばいい。

飛ばして、無かったことにしよう。

もう十分彼を思い続け、いつかは終わらせなければならないと思っていた事。

この一文字ずつに想いを込めて、紙飛行機にして飛ばそう。

『――ありがとう』

こんな気持ちを教えてくれて。

誰かを強く想う気持ちを

誰かに嫉妬してしまう気持ちを

諦めきれないほどの、強い気持ちを。

なによりも、狡い自分を知ってしまった。

伝えられずにこのままの距離を選んだのは自分で、彼の傍に居られる事を選んだ狡い自分。

己の首を絞める事なんて分かっていながらも、その場所に居る事を決めた。


ゆっくり折った紙飛行機は、空と同じように青く、それにキスをした。

『――・・・ばいばい』

俺の長い片思い。

風に乗って青い紙飛行機は飛んでいった。

ナルトはそれが落ちて見えなくなるまで見届けると、頬についた涙を拭った。

誰かが見ても分かりはしない。

誰にも見られないで捨てられる紙飛行機。

誰にも言わずに終わらせた気持ち。

『・・・決めたのに』

諦めるって。涙が溢れその雫は地面を濡らす。

立っているのが辛くてしゃがみ込んだ。

綺麗な色紙を見て、ナルトはまた紙飛行機を折り始める。


『・・・この折り方しか覚えてねえよ』

他にもあるのに、ナルトが折れるのはシカマルに教わった、少し変わった折り方しか知らない。

だから尚更涙が出てきてしまう。




ひらひらとぶ紙飛行機をシカマルは眺め、何かに気付いてそれを取った。

「・・・・・・」

青い紙飛行機。

けれどシカマルは懐かしい気持ちになった。

よく飛ばして遊んで、不器用だったナルトに教えた折り方。

風に乗ればどこまでも飛んでいくこの紙飛行機は折り方も少し複雑だった。

「・・・ん?」

なんか見える。何か書かれているのに気付いてシカマルは解いていくと、目を瞠った。

「――馬鹿か、あいつは」

面倒ばっかかけやがって。

飛んできた方向をみてシカマルは微笑んだ。


きっと今頃泣いているんだろう。

泣いて、泣きながらこれを折っているに違いない。

ナルトの気持ちが籠った紙飛行機は、本人の元に辿り着いた事すらしらずに、今でも泣きながら折っていた。

「飛ばすぐらいなら、直接俺に言えっての・・・」

そしてさらに泣かれたのは言うまでもない。

紙飛行機

時には想いを届けてくれるのかもしれない。



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