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NARUTO
ズキュンと鐘が鳴った

気になり始めたのはいつ頃だっただろうか。

たいした事じゃないのに、それがとても気になってナルトは以前尋ねた事があった。

【そのまま伸ばしてどうすんの?】

シカマルの髪の毛がどうしても気になって。

切った姿は見たことが無くて、伸びていく一方。

昔はツンツンしていた毛先が、今では長く伸びたものだとナルトは思う。


そんな事を以前話していたが、今は・・・


詰所に行くとナルトはある物を見つめて肩が震える。

『・・・どうしたってばよ、これ』

「シカマルの髪の毛ね。」

綺麗よねー。サクラが手に持っているのは、シカマルの髪の毛の束。

ナルトの腹はヒヤリと冷え、顔が青ざめる。

『なあ、シカマルはどうしたんだよ・・・』

「いま揃えてるわよ?ナルトどうしたの・・・?」

そんなに声を震わせて。

ナルトの脳裏に浮かんできたのが、この長さならもしかしてかなり短くなりすぎているんじゃないかと思って。

「なんかここ、クナイが掠れちゃって切れたみたい。」

『クナイ?怪我してないのか?』

「平気平気、ただどんな姿になるのか、楽しみよねー」

それはいえてる。ナルトとサクラが待っていると、他の仲間達も集まってシカマルが出てくるのを待った。

暫くするとドアが開いて姿が見える。

ナルトは言葉を失ってしまった。

『・・・・・・』

(なんだよこれ・・・)

頭の中で音がしてナルトは戸惑いながら頭の中で呟き、キバの明るい声が届く。

「ついにシカマルがデコ無しになっちまったなー!」

「うるせーよ・・・」

あの額が髪の毛で隠され、切れてしまったサイドを整え残っている後ろ髪は一本に結っていた。

まるっきり違う印象になったシカマルに、ナルトはどうしても別人に見えてしまう。

「違和感しかねえな・・・」

今までずっと額を出していた彼からすればそう言えるが、これは誰が見ても違和感しかない。

シカマルなのに、シカマルじゃない。

「でも似合ってるよ。」

チョウジののんびりした声が空気をほんわかと変える。

「にしたってシカマルはこの髪形でもイケてんよ!」

あはははははh、キバが笑うが、終始黙っていたナルトは身体を背け俯いていた。

「・・・ナルト?」

『・・・・・・っ!』

どうしたんだよ。シカマルが覗き込もうとすれば、ナルトの頬に熱が集まり、彼の顔を手で隠す。

『・・・もう行く』

見ていられなくてナルトは火影室に向かった。

(あんなの反則だ・・・)

たかが髪の毛を変えただけで一気に変わってしまうだなんて。

普段から顔だけはいいのに、さらによくなってどうすんだ。

ナルトの頭の中は文句しか生まれてこない。

この頬に集まって醒めない熱も

どくどく鳴り打つ胸の鼓動も

一目見た時に頭の中で鳴った音も

『・・・ズキュンってなんだってよ』

どんな音だ。

「打ち抜かれた音じゃねえの?」

『・・・・・・っ!!』

驚き過ぎてナルトは壁に頭を打ち付けた。

『いっ・・・てえー・・・』

「何やってんだ・・・」

しゃがむシカマルに、ナルトは言葉を返さない。

なんで此処にシカマルがいるんだ。

痛みで涙目になりながら彼を見上げると、また頭の中でズキュンと音がして眉根を寄せる。

『・・・全部切れば良かっただろ』

こんな中途半端な切り方しなくても。

『馬の尻尾じゃあるまいし・・・』

自分で言った言葉が思いの外的を得ていると内心で自分を褒めてしまうが、シカマルからすれば失礼としか言いようがない。

「仕方がないだろ、こうなっちまったんだから」

『すっぱり切れよ、女じゃあるまいし!!』

「そのうちな。」

今切れ!突っ込みたくなるがナルトはそれをしないで立ち上がる。

『・・・なんか、慣れねえんだよ、それ』

「だからズキュンか?」

『・・・・・・』

固まったままナルトの顔は一気に赤くなった。

シカマルは面白いものを見つけた顔をしてナルトの頬を指先で突っつく。

「どんだけお前赤いか分かってんのか?」

『・・・ズキュンなんてしてねーもんっ!!』

する訳ねえだろ!ひとり声を荒げるナルトに彼はくすくす笑うだけ。

どうしたって、したといっている事にナルトは気付いてないのだから。

「ならそれが無くなった頃に切ってやるよ」

『すんな馬鹿っ!!』

もう知らん。ずんずん歩きだしたナルトに、彼はやはり笑うだけだった。

そして慣れたころにシカマルはこの髪の毛を切り、ナルトの頭の中は鐘の音と打ち抜かれた音が木霊した。

 




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