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NARUTO
十二 

ナルトの熱はあれから二日後に完治したが、シカマルが看病をしてくれたのは当日のみで、試験のあるシカマルの代わりにシカクが薬湯を煎じてくれたりと、お世話になった。

『・・・・・・。』

ナルトは一人ソファーの上で丸まっていた。

鮮明に思い出される自分の恥ずかしい言動を。

熱の本当の怖さよりも、そっちの方が恐ろしくて、ナルトの顔は赤い。

『・・・最悪だ』

会った時どうすればいいんだよ。この前みたいに話せれないのは確かで、けれどきちんとお礼をしなければならない。

あんな子供みたいな自分をからかうでも呆れるでもなく、一つ一つ言葉を返してくれた。

返してくれて、ずっと面倒をみてくれた彼の優しさが嬉しくて、ナルトは胸をキュンとさせる。

『どうしよう・・・』

好きすぎる。

どうしたらいいのか分からない。

人を好きになるって、こんな感じだったのか。

この時初めてナルトは、勇気をもって告白してくれた女子生徒の気持ちが理解できた。

好きだけど、拒絶される怖さに。

好き、の言葉にどれほどの想いと勇気を乗せて言葉にしてくれたのか。

ナルトは一人一人返す言葉は違ったにしろ、その日は泣いてしまっていたのかな、と考えた。


ぐるぐる回るシカマルの姿や言葉に、ナルトは遂に現実逃避を決め込み、ゲーム機の蓋をあける。

『こんな時はゲームしまく・・・っ』

ずうん。ゲーム機を持ったままのナルトは項垂れた。

画面に張られたメモ用紙は、間違いなく彼の文字。

熱下がったからって、やりすぎるとまたぶり返すからな。

ぱたむ、と蓋を閉じて違うゲーム機を取り出すと、やはり彼が残したメモが貼られていて、ナルトは言葉が出なかった。


『そうだ、コンビニ行こう、そう、コンビニ!!』

勢い良く立ち上がり財布と鍵を持ってナルトは玄関に向かったが、更に追い打ちが待ち受けているとはまだ気付かない。


『・・・・・・』

ピシリと固まるナルト。

視線の先に居るのは悩みの種であるシカマル。

「そんな薄着でいいのか?」

『・・・・・・。』

言葉を返せないナルトに彼は近付き、首を傾げる。

ナルトの心臓はまさに早鐘のように、胸を打ち付け身体が震える。

「――ナルト?」

『・・・っ』

どうした?肩に触れようとした瞬間、ナルトの身体は素早く動いて自宅の中に逆戻りした。

「そうなる訳」

がりがり、と頭を掻いて玄関ドアを眺め、シカマルのくち端が笑う。

ずるずると衣擦れの音を出しながら座り込むナルトの顔は茹でた凧のように真っ赤になり、瞳が潤んだ。

『準備、ねえよ・・・っ』

何も話せれなかった。

ありがとうも言えなかった・・・

一番に言わなければならないことを、言えなかった。

こんなにも話す事が恥ずかしいと、思ってもみなくて。

『何で逃げちゃったんだよー・・・』

言ってから逃げろよ。頭を撫でくり回しながら後悔していると、風が入り込んできた。

『・・・?』

なに、とふりむくとナルトは驚き後ずさる。

『・・・っ』

「さすがに傷つくぞ」

ひくりと口端を引きつらせるシカマルは、その長い足で踏みだしてナルトの腕を掴む。

『・・・・・・』

眉を下げてシカマルを見つめる瞳は濡れていて、身体が震えていた。

「逃げたって、捕まるだけだ」

『・・・っ!』

言葉通りナルトを抱きしめるシカマルに、ナルトはどうしていいのか分からず硬直する。

言葉にしなければと思う程それは出てきてはくれない。

「お前ね、あからさま過ぎるだろうが」

『あか・・・え?』

「あんなに素直だったナルト君は何処にいった」

そんなに素直だっただろうか。数日前の記憶すら思い出せないほど動揺しているナルトは、唇を震わせながら言葉にする。

『はっ、恥ずかしいんだよ・・・っ』

掴んだシャツを強く握り、肩に額を擦り付ける。

「だから、そういうのが・・・」

『・・・う?』

ちゅ、と頬にあたる柔らかい感触に、ナルトは目を丸くして彼を見上げた。

「・・・やっと顔、あげたな」

『あ・・・う・・・っ!』

微笑むシカマルに、か、と頬が紅潮して下げようとする前に、額を抑えられる。

「下げんな。その顔、ちゃんと見せろ」

強い視線に射抜かれ、瞳が彷徨う。

こんな視線で見られた事がないナルトは、彼を怒らせたと勘違いをして、世界が滲む。

「――泣き虫」

『・・・っ!』

吸い寄せられるように端正なシカマルの顔が近付き、重なる唇。

一拍おいてナルトはキスされていることに気付き、肩を竦めるがそれごと抱きしめらたまま啄まれた。

『ん!あ・・・や・・・っ』

合わせが深くなり、そシカマルの下がナルトの中をおかしていく。

暖かい彼の下がナルトの口腔内を好きに犯し、上あごを舌先で掠めると、びくりと揺れる肩。

『んー、う・・・ふぁ・・・っ』

逃げようとすればそれより強い力でナルトを抱きしめ離さない。長い口づけの果てに、力尽きたナルトの身体はシカマルに寄りかかるだけ。


「――・・・また、にげるか?」

『・・・っ、にっ、な・・・』

満足に言葉が返せれないほどの口付けは、経験のないナルトからすれば濃厚過ぎる。

頬に触れただけでぴくりと反応するナルトの身体に、シカマルはくつりと笑った。




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