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NARUTO
バレンタイン記念

数日前から女達がグループを作って楽しそうに何かを話しているのをあちこちで見かける。

仲間である女四人衆もこそこそ話しているのを見かけて、尋ねてみれば何故か誤魔化された。

女は色々な話が尽きないものなのよ。

以前サクラとイノに言われた言葉を思い出すと、ナルトはそれか、と納得する。

任務の帰りに久しぶりにスーパーへ寄ると、ナルトは気付く。

『バレンタインか・・・』

道理でそわそわしている訳だ。


「今は義理だけじゃなくて、友チョコってのがあるらしいがな」

居酒屋でキバとその話をして、彼は続ける。

「今は男も甘党が増えてるみたいだから、友チョコをあげる同性もいるみたいだしな。」

『・・・そうなのか?』

うんうん、キバは頷き気付く。

「ナルト・・・貰ったことあんのか?」

『あー・・・四人衆とシズネ姉チャンに、ばーちゃん、アヤメ姉ちゃん、照美チャンに・・・』

「誰だその照美チャンってのは!?」

聞きなれない名前にキバは反応するが、ナルトはきょとんとした顔を向ける。

『霧隠れの五代目水影様だけど?』

「はああああ!?」

何だよそれ!あのセクシーな人だろ!キバはテーブル越しからナルトの胸倉を掴んだ。

「何でそんな人がオメーにチョコなんざくれんだよ!」

『えー・・・照美ちゃんとは茶飲み友達?』

「おおおおまえ、水影様を茶飲み友達とか言うんじゃねえよ!」

この馬鹿!べしんとナルトの頭をひっぱたくキバは間違いなく動揺してしまっている。

思えば、ナルトの周りには

風影の我愛羅とは互いを尊敬しあい友として

土影のオオノキとは茶飲み友達

雷影のエーとは身体の鍛え友達でその弟であるビーとも仲が良い

つまりナルトは五影全てと親しく可愛がられている。

何とも太いパイプを持っている事が信じられないが、ナルトは誰とでも親しくなれてしまう所がある。

こいつ最強過ぎるわ。キバは呆れた顔で溜め息をこぼした。


バレンタインチョコ。ナルトはキバから聞いた友チョコを皆に渡すべきかを考える。

異性からはホワイトデーに返すが、同性にもナルトは世話になっているのを思い出し、翌日には女に変化したナルコがあちこちのスーパーでチョコと生クリームなどを買いあさっていた。

とにかく人数の多いナルトは、先に里以外の人達から作り鳥達に運んで貰い、また作り始める。

またその次の日のバレンタイン前日は朝からリビングが甘い香りに包まれながら着実に作り上げ、終わったのは夜だった。

『うー・・・部屋あまったる』

シャワーから出れば、どさりとソファーに倒れこんで身体を伸ばす。甘い香りになにか違う匂いはないかと辺りを見渡すが、何もない。

もうシャワーで動く気力すらなくて、ナルトは目蓋を閉じる。明日会った順からチョコを渡してしこうと考えながら。


時計の針が午前十二時を回った頃。

バルコニーから人影が移ったが、ナルトの姿を見てため息を零して呆れた顔で窓を開けた。

「何してるかとおも・・・っ」

眉根を寄せて鼻を手で塞ぐ。この部屋中からする甘いチョコの匂いに、シカマルは何とも言えない気持ちになってしまう。

甘いものが余り得意でない彼からすれば胸焼けもので、その中ですやすや寝ているナルトが羨ましいとさえ感じる。

「ナルト、風邪ひくぞ」

『んん・・・ん?』

ぺちぺち頬を叩かれ瞼が震え、開いた世界にはシカマルがいて驚く。

『え・・・シカマル、なんで?』

「なんでもあるかよ、電気点いてたから来てみればこんな所で寝てやがるし」

起き上がりシカマルに説明すれば、この甘ったるいいみが分かった。

「じゃあ俺のもあるんだ?」

『そりゃそうでしょ』

けたけた笑い立ち上がり、冷蔵庫からシカマルに渡すチョコを取り出す。

無難にトリュフを作ってみたが、思いのほか上手く作れた事が良かった。

『当日一番チョコだな。』

「サンキュー」

受け取り唇で挟むと、ナルトの頭を抱き寄せ重ねる。

『そおくるかよ・・・』

くすりと笑いナルトも挟んでトリュフを半分齧ると、甘い、と呟くシカマル。

「全部使ったのか?」

『シカマルには今日、甘さ控えたシフォンにしようと思ったんだよ。』

両方あってもいいと考えたナルトはシカマルに尋ねる。

『やっぱりホイップも苦手?』

「ホイップか・・・」

ホイップな。何かを考えているシカマルをナルトは見つめていると、口許が笑う。

「ナルト、シフォンは作らなくていい」

『・・・はい?』

なにを言い出すんだ。目を丸くするナルトにシカマルは気にした様子を浮かべず冷蔵庫に向かう。

『シカマル、ビールなら無いけ・・・ど』

持っていたのはビールではなく、ホイップ。分からない行動に不思議な顔を浮かべると、カーテンを閉めて隣に座る。

『カーテンありがとう』

「そりゃな、困るから?」

言葉のキャッチボールが出来ていなくて、ますます不思議がるナルト。

「どうせなら、俺はこっちがいい」

『なに、シャツめく・・・冗談だろ・・・』

信じられない顔を浮かべて聞いてみたが、シカマルの表情からして本気なのがわかった。

『うまくないうまくない!!』

「旨いのがあちこちあるだろうが!」

阻止しようとシャツを守るナルトだが、ズボンに手をかけられ守ろうとしたが、手が足りない。

『お前目が据わっててこえーからっ!!』

「あ?気にすんな」

『するわボケーッ!!』

そんな変態スイッチ何処にあったんだ。
こんなプレイの何処がいいんだ。

『あ、んぁ・・・つめて・・・っ』

胸の突起に冷たいホイップが乗せられ、熱で溶けていき肌をつたっていく。

「この甘さなら、食えそう・・・なあ、ナルト?」

『しっ、しるかあああああっ!!』

真夜中の外に、ナルトの叫び声は届くが、それを聞いた者は誰一人としていなかった。

バレンタイン。

好きな人や、お世話になっている人に贈る日。

ただ、少し間違えれば、愛しい人が豹変する日でもある。





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