[通常モード] [URL送信]

NARUTO
コレクション

シカマルは胡座をかいて文卓の上に置いた桐で作られた漆塗りの箱を眺めていた。

「・・・あいつはどうしてそう・・・」

呆れた声で呟き、鉄製の丸輪を指に引っ掛け開くと、二段になっている引き出しが現れる。

「・・・しゃあねえ」

ナルトの為だ。シカマルは何かを決めたように、ポケットから物を取り出してそこの中へと入れて外へと出掛けた。


ナルトはどんよりした空気を纏い、いつも綺麗に伸びている背中が心なしか曲げて歩いて、ため息をこぼす。

『・・・なんでかなぁ』

どうしてこうなるんだ。

悪気がある訳でもない。

わざとそうしている訳でもない。

自分なりに気をつけているのに、どうして上手くいかないのだろうか。

歩きながら考えては立ち止まり、溜め息をこぼす。

ただでさえ毎日明るい顔をしているのに、暗い空気を纏っていたら、正面から見なくても後ろ姿を見ただけで解ってしまう。

きっとまた綱手様と喧嘩でもしたのか

もしかしたら告白して振られたんじゃないのか

ナルトを暖かな眼差しで眺めながらも、出る言葉は暖かくはなかった。

『・・・・・・』

ぴたりと立ち止まり、視線の先にはシカマルの姿があった。

何時もなら抱きついたりするのだが、今のナルトはそれを躊躇った。

(まだ怒ってるだろうな・・・)

さっきの事が頭の中で蘇る。

″お前、いい加減にしろよ・・・″

不機嫌な声がナルトの頭の中で走り、頭を振ってそれを飛ばす。

折角三日ぶりに会えたと言うのに、自分の失態に嫌気がさしてくる。

まずは謝ろうと決めて、ナルトは名前を呼ぼうと口を開く。

『・・・っ、シカ・・・あ』

呼ぼうとしたら彼は舜身でいなくなってしまい、がくりと肩を落とした。

『あー・・・なんでだってよ・・・』

そうとう怒ってるんだろうか。

そうなのかも知れない。

何度も何度もやっていれば、怒りたくもなるだろう。

ナルトはポケットに手を入れて中に入っている物を握った。

『普通は、ねえよな・・・』

どうしてこんなドジばっかするのか、眉根を寄せて俯いた。

もう店に行く気力が出て来なくて、ナルトは自宅へと帰った。

たん、と降り立ちシカマルはふう、と息を零す。

「・・・もう少し我慢してもらわねえと」

ナルトが居たのに気付いていて、わざと気付かない振りをしたシカマル。

「こっちは残る一方だ・・・」

二人は喧嘩をした訳ではなく、ただナルトに呆れてしまっただけ。

このままでは何も変わらないと感じて、彼はとある物を買いに行った。

今までナルトには似たような事をしたが成果は現れず、ならこれなら多少の成果は得られるだろうと。

その作業をやってから、どれだけ時間が過ぎただろうか。

眠気や身体の疲れを感じながら、シカマルは煙草に火をつける。

「・・・あと少しか」

眠てえな。ふっ、と笑みを浮かべて窓から見える夜明け空を見上げながら残りの煙草を吸った。



[前へ][次へ]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!