[携帯モード] [URL送信]

NARUTO


ちゃんと頭を乾かします。

パンツ一枚で寝ようとしません。

ソファーじゃなくベッドで寝るようにします。

ゲームも、夜中までやったりなんかしません。

だからどうか

『・・・壊れてんだ』

なんだよこの体温。鼻水を啜りながら出された数値に不満げなナルト。

『38℃とかあり得ねえ・・・』

ナルトは携帯を取って電話帳を開くと指の動きが止まる。

『・・・くそ』

指が震え、視界がぼやけた世界に苛立ち、ナルトは担任に電話をした。

こんな熱は寝てればいいだけだ。ソファーに寝転がろうとしたが、ナルトは留まる。

『かけ布団がねえ』

あるのはタオルケットのみで、いつも床に落ちている。

リビングカーテンを開けようと、ふらつきながら光を入れた。

動けるなら、いまのうちに動けばいい。

和室にある羽毛布団を取り出して、冷蔵庫から飲料水を出して着替えをすました。

薬を飲むなら何か食べようと、昨日買い物したヨーグルトを食べて薬を飲みソファーに寝転ぶ。

まさか熱を出すとは思わなくて、数日前に言われた言葉がぐるぐる回る。

連絡なんぞするもんか。

眉根を寄せながらナルトは布団を首までかけてねむった。


くつくつ笑う声が耳に届いた。

「連絡は来たか?」

「来ないの分かってたから言ったんだろうがよ。」

気に食わない顔を浮かべながら煙草に火をつけたのは、シカマルだった。

「ずいぶんと、やさしいお兄さんやってんじゃねえか」

からかいを含ませるアスマの言葉に、彼はどう思ったのだろう。

面倒事を嫌い、先に考え楽で最短なのを選んできた。

そんな人間が自分より年下な高校男児を気にかけ振り回されている。

アスマは面白くて仕方がない。

「ま、俺を追い払うぐらい気に入ってるって所か・・・」

「うるせえよ・・・」

顎髭が。憎まれ口をたたきながら通話を終わらせると、アスマはやはり笑った。


真っ白な世界。

見渡す限り真っ白で、それが怖いと思った。

思ったのに、それを払拭するかのように現れたのは子鹿。


可愛らしい子鹿がぴょんぴょん跳ね回り、尻尾がぷりぷり揺れている。

ぴょこん、と今度は大人の鹿が現れ、次から次へとナルトを囲んで跳ね回っていく。

『・・・・・・っ』

ひやりとしたのを感じて、ナルトの眉根が寄る。

するとさっきまで居た鹿達が、見覚えのある鹿印になって、あろう事かシカマルが出て来た。

『・・・ふは・・・ははっ、げぼげほっ』

可笑しくて、現実のナルトも笑い咳き込む。

何時ものハーフアップにされた髪型に、ジーンズとシャツを着て白衣を纏っている姿に変わり、とくり、と音が鳴る。

とくり、とくり、と鳴るその世界がまるで自分の胸の中に居るようでふにゃりと口許が笑う。

『・・・シ、カ・・・マ・・・ッ』

暖かい世界に、ナルトの表情が緩みもぞりと動く。

ひやりとしたのが頬に触れて、ナルトは擦りより口をごもごもさせる。

『シカマ・・・シカ・・・ッ、けほっ!』

「・・・最後まで呼べ」

床に座ってナルトを眺めているシカマルがいた。

もっと素直に呼べばいい。思いながらシカマルは空いている手で頭を撫でると、ナルトの口が動く。

『・・・シカ・・・まくら・・・っ』

かわいい。ぴたりと止まった手は憎しみを込めて頬を抓った。

「言えっつーの」

苦笑を浮かべると、寝返りを打ちシカマルは立ち上がる。

決して鍵が開いていた訳ではなく、両親がなにかあったらとシカクにスペアキーを預けていたから。

リビングが生活空間になっているらしく、テーブルの上には携帯電話と充電器

様々なゲーム機にソフトと充電器。

引き出しごと引き抜き中に入っているのは、自分の店の薬。

「・・・これもかよ」

見覚えのあるシールがゲーム機に貼られているのを見て、可愛らしく感じて彼はくすくす笑う。

けほけほ咳が出始めてきたナルトに視線を戻すと、身体を丸めている姿をしていて、シカマルは体温計を取り出しナルトの脇に挟む。

電子音が鳴り取り出して見ると、眉根が寄りシカマルは一度リビングから出た。

『・・・・・・さみぃ』

掠れ声で呟くと、瞼が開くが熱のせいで瞳が潤み喉がひりひりして目を細める。

熱かわ上がってるのか、もう一枚毛布でも持ってこようか考えるが、動きたくない。

薬が入っている引き出しを取ろうと腕を伸ばすと、聞き慣れた声がした。

「連絡しろって言っただろ」

『・・・へ?』

なに? 言いたげな瞳でシカマルを見上げると、伸ばしていた腕を叩かれる。

けれどナルトはまだ理解していない様子で、黙って彼を見上げていたが彼のジーンズを掴んでくいくい引っ張った。

『・・・・・・ほんもの?』

「本物だな」

引っ張る手を取ると、熱の高さが伝わってくる。

頭がやっと働いたのか瞳がきょろきょろ忙しなく動いていた。

『え、なんでいっ、はぁ!?』

熱で赤らみ驚いた顔で見上げると、夢の時とおなじようにとくり、と鳴る。

『俺かっ、鍵・・・っ、げぼげほっ!』

動揺したまま言葉にするが咳き込んでしまい、無意識にシカマルの手を強く握った。




[前へ][次へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!