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NARUTO
十一

廊下を慌ただしく走るのは綱手。

戻って来ないナルトが心配になり、見た世界は誰もいない資料室。

綱手は壁を力強く打ち叩き、凹みが出来た。

「・・・ナルト」

床に散らばった書類と、室内に残る香りが睡眠を促す香の物だと気付き浚われたのだと理解したら、慌ただしい音が聞こえる。

「綱手様っ!」

「シズネ、ナルトが浚われた・・・」

怒りを含ませた声はシズネを震わせたが、綱手に伝えた。

「綱手様、ナルト君の居場所が分かりました!」

その言葉に綱手はほっとしたが、不安の方が強い。

どうか無事で居て欲しい。

綱手は歩きながらシズネから話を聞き、そこへと向かった。


何もかも無くなればいい。

見たくも聞きたくもない。

感覚さえもなくなって、心さえ無くなってしまえばいいと。

痺れる身体は力が入らず、感触が気持ち悪い。

両手は男達の性器を握らせられ、もう一人は目の前で自身のを上下に扱いていた。


「はは、オレの、俺のをナルトが・・・」

「なぁ、俺ナルトの口に入れたい・・・っ」

限界が近いのか、男はナルトの顎を掴んで前を向かせる。

こんな屈辱は初めてで、ナルトは自然と言葉が出た。

『・・・カッ、シカマル・・・ッ』

わからない。

どうしてシカマルの名前が出たのかなんて。

あの時も解らなかった。

何時も思い浮かんだのはシカマルだった。

いつも思い浮かぶのは、柔らかな暖かい笑みを浮かべている彼の姿。

「あぁ、泣いてるナルトもまた・・・ッ」

「これが終わったら次はナルトを気持ち良くしてあげるよ・・・」

何処までも自分勝手な連中。

そうさせたのは、何もしなかった自分が悪いんだ。

相手がつけあがるようにしてしまった。

もっと素直に頼れば良かった。

恥ずかしがらずに伝えれば良かった。

仲間を、頼れば良かった。

後悔ばかりが押し寄せて、ナルトは涙を流した。

何も出来ない。

動く事も、上手く発する事が出来ない言葉も嫌でたまらない。

「も、出そうだ・・・っ、俺のを受け止めてくれ・・・っ!


『・・・っ、ざけ、んな・・・っ』

奥歯を強く噛み締めてナルトはオレンジ色のチャクラを纏った。

それを見て怯んだのが解ると、ナルトは足についていた高速具を引き抜き、よろりと立ち上がる。

『我慢、ならねえ・・・っ』

荒い呼吸をしながらナルトは相手を見据えると、暗がりだった室内が強い光が差し込んだ。

「なっ、なんだ!?」

「まさかバレたってのか?!」

「ここは簡単に見付かる場所じゃないはずだっ!」

狼狽える相手に静かな怒りをはらませた声がした。

「お前等の失点は、俺達の事を分かって無さ過ぎたって事だ」

『・・・シッ・・・マ・・・』

纏っていたチャクラは消え、そのまま重力に逆らわず座り込むナルト。

「ナルトには、俺の寄壊蟲を仕込ませていた。」

偵察も追尾も可能な寄壊蟲はシノの指に止まっていた。

「おまえ達がナルトに何かしようとも、俺達が居る限り無駄だ。」

シノとキバが告げると、男達は身を直してシカマル達を睨み付ける。

けれどそんなものは彼等からすれば虫に睨まれているようなもので、シカマルはナルトの方へと脚を進めた。

「ナルトは渡さない!」

「まだ終わってない!」

「ナルトにはまだやってもらうものがあるんだっ!」

行き先を阻む男達はとある方向に指を差して、周りは呆れた表情を浮かべる。

遅れてやってきたカカシが独り言のように呟いた。

「神威で飛ばして抜け忍になってもらおうかな?あ、サスケがいるから天照で燃やせば問題なさそうだね。」

笑みを絶やさず淡々とつげるが、カカシは止まらない。

「どんなに逃げようが、俺達から逃げられるだなんて、思わない方がいいよ。」

血継限界を使える、団扇と日向

秘伝忍術を使える、油女 秋道 犬塚 山中 奈良一族

暗部に体術使い、忍具使い

火影の弟子である医療使いに、コピー忍者
に木遁忍術使い。

そして五代目火影がついているとなれば、最強の仲間としか言いようがない。

「・・・大丈夫か?」

シカマルがナルトに触れようとすると、それを避けるよう身体を逸らした。

『くんな・・・きたねえ、から・・・』

両手が。と言えなかった。

「・・・・・・」

シカマルは頭を撫でると振り向きざまにクナイを男達に放つ。

それに驚き止めに入ろうとリーが素早く動いた。

「シカマル君何やってるんですか!」

「許されると思うな、ナルトを此処まで追い詰めやがって・・・」

彼の頭の中では目の前に居る者達は血まみれな姿をしていた。

憎くて殺してしまいたい。

じわりじわりと苦痛を植え付け、生きていることすら嫌だと言う程の生き地獄を味わわせてやりたい。

けれどそれをしても、この弱り切った者は喜んだりはしない。

「シカマル、落ち着け。お前の気持ちは俺達だってわかる。」

ネジがシカマルに伝えると、サクラがナルトを呼ぶ声がして地面からヤマトの木遁術で男達を拘束した。

「おい、鍵はどこだ」

サスケの低い声が恐怖心を増幅させ、机の上に視線を向けるとそれを取る。

「シカマル、手の方取れ」

鍵を投げ渡し、外すと回りが赤く腫れていた。

「ナルトーッ!!」

サクラは勢いを緩めず、邪魔だと言う鋭い視線を向けたまま男達を踏みつけ近付く。

「サクラ、お前なぁ・・・」

キバは笑いをこらえ、サイは頷き踏みつけられた男達を見下ろした。

「今は人型のゴキブリっていたんだね。」

踏みつけようと脚を動かすとキバが止めに入る。

「アホかーっ!!」

「・・・だって害虫は踏みつけていいんでしょ?」

ちげえよ。真顔で尋ねるサイにキバは頭を抱えてうなだれたが、大きな音がして見上げれば今度はサクラが脅迫するよう睨み付けていた。

「ナルトに、何の薬を使ったのよ・・・」

早く言いやがれ。瞳がそう告げていて恐怖の臨界点を超えてしまった男達は、失神してしまう。

「サクラ、問題ない。」

シノが寄壊蟲を出してナルトの両手足に集まる。


「・・・痺れ薬だろう。だが人には強力すぎる。」

良く耐えられたものだ。シノは床に伏したナルトに暖かな眼差しを向けた。

「手、洗うぞ」

『じ、ぶ・・・やる・・・っ』

触るな、言いたげに顔を俯かせ立ち上がろうとすれば、ふわりと持ち上げられる。

「お前は、汚くなんかねえだろ」

洗ってやる。逃げたいのに動く事が出来ない身体が憎たらしくて、強く瞼を閉じた。

触れて欲しくないと、おもった。

髪の毛一本すら、触れて欲しくない。

自分が汚く思えて、汚したらいけないと

消えない感触は今でも気持ちが悪くて

耳にまだ残る男達の荒い息遣いが不快で


ぐるりと見渡したキバは苦い顔を浮かべていた。

「・・・変態ばっかの集まりだったな」

なんだよこのいかがわしい服は。

「ま、ナルトに手を出したら危ないからね」

肩を叩きカカシは外へ向かった。

川辺ではシカマルに手を洗われているナルト。

「・・・手、だせ」

『・・・?』

拭いてもらった手を出すと、シカマルの手が重なり目を丸くする。

「こうしてりゃ、感覚消えるだろ」

『・・・・・・っ!』

涙がでそうになった。

同時に、胸がきゅん、として熱くなったのを感じた。




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