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NARUTO


ナルトの寝室のドアが開いた瞬間、噎せ吐くような臭いがする中でシカマルが見た光景は冷静さを失ってしまうものだった。

捕らえた者から話を聞いてあたって行くと、やっと見付けられたものがあった。

薄暗い室内には、見覚えのある物がありシカマルの目つきが鋭くなる。

「言え、ナルトを襲った奴は誰だ・・・」

言葉の重圧におされ、怯える者達。微かな光が彼を照らすがその影すら恐ろしいと感じ、恐怖に支配された。

「おっ、おれたちは・・・ただ・・・っ」

がくがく身体を大きく震わせながら言葉にしようとしても、彼から発せられる覇気にうまく出ない。

「た、ただ、ナッ、ナルトを・・・っ、ナルトを愛でていたいだけだっ!」

「・・・一本折られてえか」

ふざけやがって。シカマルは懐からクナイを取り出した。

「まて!待ってくれ・・・っ!」

「鍵が開いてて魔が差しちまったんだよ!」

次々と話し始めるが、本題がずれているのにも腹が立った。

「なら、この中にナルトの寝室で馬鹿した奴は・・・」

全員が首を振って否定したのを見て、彼は舌打ちする。

これじゃ変わらない。捕まえない限りナルトは悩み苦しみ、涙を流すのをシカマルは知っている。

独りで、独りぼっちで泣く姿が瞼の裏に浮かんでしまって。

あんな、寝る時すらクナイを持つようになってしまった事も


外に出るとネジ達がいて、話しを聞いた。

合い鍵を作られた可能性が強くて、キバはその匂いを嗅ぐと、ゆっくり頷く。

「・・・蜜蝋だ。」

ぐっ、と眉根が寄ったのは全員だった。

此処までする相手の異常さに、誰もがナルトを心配して一度向かうことにした。



身体が重い。

冷たくて、痛くて、開いた世界は絶望感しかなかった。


「・・・ナルト、ナルトはどうして逃げ出したの?」

『・・・おまえ、だれだ』

面識が無い相手。

資料室の整理をしていたのに、どうしてか急に眠たくなった所までは覚えていた。

「ナルト、どうして分かってくれないの?」

なににだよ。椅子に座っている相手を睨み付ける。

くすくす笑う男は立ち上がりナルトに近付いた。

「教えてあげようか、ナルトがどうしてこうなったのか・・・」

『・・・・・・』

つう、と指先がナルトの頬を撫でる感触が気持ち悪い。

「あの時、ナルトを襲おうとしたんじゃないんだ・・・」

ちがうんだよ。惚けた瞳で告げる相手がナルトから離れ、ドアをゆっくり開くと写った光景に愕然とした。

『・・・・・・っ』

言葉すらでず、強い吐き気がナルトを襲う。

気持ち悪くて、見たくなくてナルトは強く瞼を閉じた。

こんなのを見たら、それこそ眠る事すら恐怖に感じてしまう。

人と話す事すら躊躇ってしまう。

『お前ら・・・何がしてえんだ・・・っ』

こんな事をして、何がいいんだ。

手首に食い込む高速具が痣を作り、怒りで身体が震える。

「ねえ、見てよナルト・・・ナルトの事が好きすぎて、何時もこうなるんだ・・・」


誰が見るか。顔すら反らすとそれが気に入らなくて髪の毛を強く掴んで上げさせた。

『・・・てっ、め・・・っ!』

どうにか出来るのに出来ないのはどうしてなのか。

「ナルト・・・手紙どうして投げちゃうんだよ」

「俺さぁ、何度もナルトのベッドでお前を犯したんだぁ・・・」

「ナルト・君にはこれを・・っ」

次々に言われナルトは我慢の限界がきてしまう。


『・・・お前ら、ふざけんな・・・』

勝手な事ばかりしやがって。

大切な居場所を好き勝手に犯し、苦しめられたのが許せなくて。

「ナルト、もう我慢なんかしない、してやらない・・・」

「やっと・・・やっと出来るっ!」

「どれだけお前に触れたかったか・・・っ」

鼻息を荒くしながら近付く相手に、ナルトは怯える出もなく、涙すら浮かべずただくすくす笑った。

『・・・っ、はははははっ、お前ら馬鹿だろっ!』

勢い良く手首にされていた高速具が壁から外れた。

『こんなんで封じたつもりか!お前ら全員・・・っ!』

くらり、としたのは血圧があがったからとかじゃなく手首からする肌を刺す痛みがした。

「ナルトの事は、ちゃんと分かってるんだ・・・」

立っているのが辛くて、身体がふらつき片膝をついてしまうと、男は頭を撫でる。

振り解きたいのに出来なくて、ぐらぐらする世界に額から汗が流れた。

『・・・っ』

駄目かもしれない。

思いたくなかった言葉が頭の中で浮かんだ。

男達に取り囲まれ、伸びてくる手にナルトはじわりと涙がうかんだ。



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あきゅろす。
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