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NARUTO


冷たい空気が漂うなかで、一人にこやかな笑みを浮かべているのはサイだった。

何も言っていないのに、相手側は怯えた眼差しをネジとリーに向ける。

「ナルトの家、数日前から工事していない理由はなんですか?」


さっさと白状しやがれクズ虫共。

そう言われているような錯覚に見まわれ、担当業者は身震いする。

このまま彼に任せれば聞き出すのが難しいと感じたネジが言葉にした。


「・・・部屋が荒らされた形跡があって、鍵を掛け忘れてはしてないですか?」

「それとも荒らしたのが目の前にいるク・・・っ!」

「サイ少し待ってろ・・・」

横やりをいれたサイのつま先を強く踏みつけネジは続けようとしたが、次はリーが言葉にする。

「もし掛け忘れたとなれば貴方達の信頼関係が崩れてしまうんですよ!」

「俺達じゃねえっ!!」

だん、と力強く壁を叩いた従業員は俯いたまま奥歯を噛み締める。

「・・・俺達は、俺達の仕事は信頼されてのもんだ。だから鍵を掛け忘れるなんてしねえ!」

「・・・犯人がいるとしたら?」

この中に。サイは従業員を一人ずつ流し見ながら告げると、一人だけ俯いている者がいた。

「ねえ、あんた様子が変だけど・・・なにかし・・・っ!」

逃げるでもなく男は床に手をつき涙を流し始めて、サイはどん引きする。

「おっ、おれぁ・・・見ちまったんだ、見ちまったんだよぉぉっ!」

泣き叫ぶ男にリーが近付くと、何故か他の従業員までもが貰い泣きしていて何とも言えない不気味さが流れた。

一体どうすればいいんだ、と。




周りが動いてくれている中で、チョウジは両親と食事を作っていた。

「ナルトは野菜を避けるからすり潰した方がいいね」

「うん、ナルト・・・凄く弱っちゃってるから」

だから大好きな食べ物があれば、ナルトは食べてくれるだろう。

それに一人ではなく、皆と食べればきっと食べてくれる。

″チョウジの作った角煮ちょーうめーっ!″

あの時のような笑顔が見れるなら。チョウジはそう願いながら料理を作っていった。




暗い表情を浮かべたまま、ナルトは資料室の整理をしていた。

そうさせてしまうのは、やはり皆が大丈夫なのかが心配で。

こんな大事になるだなんて思わなくて。

最初はただの妬みや嫌がらせから来ているんだと考えていたが、自分の身体がきけんになった時にナルトは恐ろしさを感じた。

同性で、相手をそうさせてしまう何かが自分にあるのだろうか。

考えても答えなんか見つかる事なんて無くて、熱っぽい視線を感じる日々が続き

手紙が届き、自分の行動を記録されていたのには寒気がはしった。

視線すら怖いと感じ、誰かと話すのすら躊躇ってしまうほどに。

精神的に追い詰められて、出口の無い迷路を歩いている錯覚すら覚えてしまって綱手に相談を持ち掛けた。

仲間に言えばそれが伝わり被害を考えたらそれしかなかったから。

ナルトは窓から見える景色を眺めた。

『・・・なにも、なければいいけど』

どうか怪我だけはしないでほしい。

こんなにも不安になったのは何時以来だろうか。

『・・・っ、やべえ、なんか、ねみぃ・・・』

安心してしまったのか、眠気が襲ってきて目を擦った。





何かから必死になって逃げる者達。

その表情は焦りと恐怖が入り混じり、ただ必死になって脚を動かしていた。

「逃げ切れると思うな・・・っ!」

キバと赤丸が広い場所に出ると、赤丸が一気に速度をあげて男達に襲い掛かった。

捕らえられてしまった仲間を振り返ると、今度は黒い物に捕まり、先を走る者は青白く迸るものにあたり倒れ込む。

するとヤマトが現れ、男達を拘束してカカシがにこやかな笑みを浮かべみおろした。

「君達ねえ、さっさと白状しないと拷問室に連れて行っちゃうよ?」

表情は優しくても言葉は恐怖をうえつけるようなものを発する。

次から次へと現れる犯人達に、シカマルは何らかのグループがあるんじゃないかと考え付く。

ひっかかるのは、さっきの者も今捉えた者も、直接ナルトに被害を与えていない事が気になっていた。

確かにナルトは襲われそうになったと言う話を聞いた。

聞いたのにその者が誰なのかが分からないままで、尋問されている者達を見ればシカマルは耳を疑いたくなった。


業者からの話を聞いてネジは鍵を受け取り眺めていた。

「・・・この粉みたいなのはなんだ?」

「工事が始まって三日目だ、開けようとしたらそれがくっついてた。」

落ち着きを取り戻した業者達は説明をすると、サイが首を捻る。

「・・・もしかして、誰かが鍵の型を作ったんじゃない?」

「あり得ますね、溶かした蝋を流して固めれば出来ますから。」

リーが告げると業者達は困惑する。

「・・・四日目の朝には、部屋が荒らされてた。」

「俺達は必ず鍵を閉めるのを忘れないし、チェックもする。」

「鍵は保管庫に入れて、社長が持ち帰っているんだ、大切な鍵だからこそ守らなきゃならないから。」

「その社長は?」

ネジが尋ねると社員達はもう来ると伝え社長を待ちながら話を思い出していたら、サイがぼそりと呟く。

「・・・してたら簀巻きにしてやったのに」

残念。にっこり笑うと、背筋がぞくりとして社員達は頬を引き吊らせた。

社員達から聞いた話は呆れてしまうのもあったが、社長から聞いた話もやはり三人は呆れてしまった。

「・・・ネジ、ナルト君は一体なんなんでしょうか・・・」


「・・・相変わらず意外性としかいいようがないな。」

あきれてしまうが、ナルトが苦しんだのは事実であり結果追い詰められてしまった。

追い詰められ行き場を失ったナルトは、頼りたくとも自分達の事を案じていた事が嬉しくもあり、不甲斐なさを痛感した。

「シカマル達と合流しよう。」

間違い無く様々なものを掴んで動いているだろう。

動いているだろうが、ネジはただ相手がある意味しんぱいでもあった。

「・・・鼻血程度ならいいがな 」

とくに、あの面倒くさがりやが切れたら何をしでかすかが一番気掛かりで。

そのネジの心配はと言えば

どこかで男の悲痛な悲鳴が響きわたった。




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あきゅろす。
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