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NARUTO


抱きしめられたはいいものの、それが強くてくぐもった声で言葉にするナルト。

『ちょ、ぐるじ・・・っ』

馬鹿力め!文句を言うと次は頭を撫でられて、ナルトは益々かれの行動が解らなかった。

『シカマルお前ちゃんと目さま、ぜふっ!』

ごろりと横に鳴られてナルトはくぐもった声を発する。

なぜ抱き合ってしまっているのかすら解らず、どちらかと言えばナルトは彼の抱き枕状態になっていた。

「すっぽりはまるんだな、お前」

『ふざっ、ふざけてないで離せっての・・・っ!』

上手く力が入らなくて無駄にりきんでしまうが、尚且つつその言葉が気に入らなかった。

「前はこんなに暴れなかっただろ」

『今は暴れんのっ!』

早く打つ胸の鼓動を知られたくなくて。

うまい具合に関節を封じられてはどうする事も出来ない。

『・・・っ!』

ナルトの動きが止まったのは、ゆっくり背中を撫でられたから。

「分かってくもんなんだな、昔の時の事ってよ・・・」


『・・・はい?』

突然話題が変わりナルトの声が裏返る。

「あの時ああしとけばだとか、こうすべきだったとか」

たらればな。シカマルは静かな口調で告げた。

「ナルトにそうしていたら、少しは違ったのかもな。」

『・・・意味が伝わってこねえ』

全く分からない言葉にただ悩む。

なぜ自分が出て来るのか、糸口が見当たらない。

「そうしといたら、少なからず俺には甘えてたんじゃねえかと」

『・・・シカマル、まだ寝ぼけてんの?』

額を叩こうとした手は掴まれて、黒い切れ長の目と重なった。

「悲しみも苦しみも、痛みや孤独を、減らす事が出来たんじゃねえかっ、てな」

『・・・っ』

瞳が揺れた。どうしてそこまで考えてくれていたのかが

「寂しそうな顔、減らせたのかもな。」

だめだ。ナルトはシカマルから顔を背くよう俯いた。

『別にそんなの・・・そんなの考えんなってばよ』

「だからよ・・・」

俯いたまま頭を抱き寄せられた。

勘弁してほしい。じわりと熱くなる目に力を込める。

「これからそれをしても充分間に合うってな。」

『・・・抱き枕にはなりません。』

どう言葉を返していいのか解らなくて、ナルトは冗談しか言えない。

もう顔が痛いくらい熱くてどうしようもなかった。

「夜は独りで泣くもんじゃねえだろ・・・」


『おま、馬鹿だ・・・っ』

そんな事を俺に言うな。

小さな呟きは彼の耳にも届き、そうだな。と返された。

「そんな馬鹿な事を考えちまうくらい、ナルトが好きだって事だろうな。」


『あほだ、お前それ損してるから!』

言葉は否定して、服を握り締める手は強くて離れない。

「思った事ねえわ・・・」

だってよ、顎を撫でられシカマルは言葉を続けた。

「俺、お前を満たす事が出来るし」

ずっと俯いたままのナルトを眺めていると、もぞりと動く。

起き上がって背を向け、ナルトは涙が零れないよう空を仰ぎ見る。

『シカマルってさ・・・そんなに自信家だった?』

「そりゃ、ナルト限定で。」

起き上がり、背後からナルトを抱きしめ同じ様に空を見上げた。

『・・・おれ馬鹿か』

腹に回った腕にふれ、涙声で返す。

「もう前からだったんだろ、頭ん中は。」

下瞼に溜まった涙を指で取られ、こっち向け、と彼の手がナルトの顎に触れた。

「泣くなら、どうせ泣くならこっち向け・・・」

嫌だと首を振るナルトに、シカマルは目を細めて笑う。

「泣いたら拭ってやる、足りないなら吸い取ってやるから」

こっち向け。今度は言葉にして伝える。

ナルトの頭の中では、馬鹿だ馬鹿だとそれがずっと繰り返されながら涙がほろほろ流れた。

『・・・っく、ばっ、かじゃねっ、の・・・っ』

喉をひくつかせ言葉にすれば、頬にされたキスがまた涙を誘う。

「言ったろ、ナルト限定で馬鹿だっ、てな」

観念しろ。首筋に手が伸びて振り向かさせた。

「・・・泣き虫」

これじゃあ足りねえよ。くすくす笑いながら涙を拭い、目尻に唇を落とす。

それがくすぐったくてナルトは肩を寄せ、瞼を閉じる。

「取り敢えず今日は・・・」

『・・・・・・っ!』

耳元で囁いた言葉に、ナルトは首までも真っ赤にした。




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あきゅろす。
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