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NARUTO
砂埃 シカナル

今日は朝から風が強い。

だから外を歩いて居ると軽い物は飛んでいたり、子供がきゃらきゃら笑いながら遊んでいた。

立ち止まり空を眺めるナルト。

『つえー風だ・・・なはっ!!』

ずがん。飛んできた看板が頭にあたり形を作った。

『・・・いっ、てえ・・・っ』

何で看板が飛んでくんだよ・・・

小さな呻き声で呟き頭を抱える。

こんなの仲間に見られていたら、間違い無く笑われる出来事に一人で良かったと安堵した。

ナルトは書店に立ち寄りグルメ情報誌を眺め、次の任務地に行った時の食事を何にしようか考える。

『・・・予約はむりだしなぁ』

ナルトの楽しみと言えば食べる事か、仲間内との酒しかない。

気心知れた相手だからこそ楽しい酒食が出来ていいのだが、夜の職業をしている所には頑なとして行きたがらない。

それは間違い無く亡き師匠である地来也の印象が強いのと、様々な香の薫りや雰囲気が苦手なのもあった。

『・・・地酒かあ』

お土産に買っていこう。

酒が好きな綱手と、地来也が眠る墓に持って行こうと考え本を買った。

両親が好きだった物はナルトには分からない。

解らないけれど、きっと何でも喜んでくれているだろう。

相変わらずの強風にげんなりしながらも
ナルトは帰ろうと道を歩いた。

あちこちから物が揺れたり動いたり。
それでも人は往来していて。

視界がいきなり黒くなった。

『・・・ん?』

立ち止まり顔を上へとやればシートがバサバサ飛んでいて、それを追い掛けている人。

手伝おうと一歩足を踏み出したら、腰に強い痛みを感じて前のめりになる。

『・・・またかよ・・・っ』

いてえ。そこをさすると背後からくすくす笑う声がして振り向くと、眉を顰めた。

『シーカーマールー・・・ッ』

「・・・どんくせ・・・っ」

笑いを堪えている姿にナルトは顰めっ面を浮かべ睨むが、直ぐに変わる。

『シカマル、お前もな。』

「は?何言って・・・っう!」

すがん!シカマルの後頭部に竹竿が当たり、ナルトはゲラゲラ笑う。

『いえっ、言えねーっ!シカマルもどんくさ・・・いぶふっ!』

横から店の暖簾が顔に貼りつきもがくナルト。

「俺がなんだって?」

頭をさすりながら挑発的な笑みを浮かべるシカマル。

『・・・強風相手に鈍臭いもねえな』

また飛ばされないよう電信柱に縛り付けた。

「珍しい事すっからじゃねえの?」

それ。手にしている書店の紙袋を指さすと、ナルトは膨れっ面を浮かべる。

『次の任務地でお土産買おうかとおもったんだよ。』

「・・・お前、食い気もあんだろうが」

うっせ!シカマルの脹ら脛を軽く蹴ると、また風が吹きナルトは痛みを感じて顔を逸らした。

『いって、目にはいっ・・・』

砂が目に入り擦るとそれを掴まれる。

「傷付くだろうが、洗うぞ」

『だっていてえ!』

涙目で返すとその腕を強く引かれて前のめりになった。

『うお・・・っ!』

間近にシカマルの顔があり無意識に息を止めてしまうと、下瞼を指の腹で下げられる。

「睫毛と違って見えにくいよな、砂って。」

『洗うから今すぐ離せっての!』

いくら同性でも造りが良ければ緊張して頬が熱くなる。

ナルトは気付かれたくなくて離れようとしたがそれは叶わない。

シカマルの顔が近付き目許に触れる柔らかな感触に息が止まった。

「・・・しょっぺ。」

『な、なななななっ、なにしてん・・・っ』

一気に顔が赤まり羞恥に染まった。

女にするような事を平然とやるシカマルに、ナルトはただただ言葉をどもらせるだけ。

反応が面白くて彼はくつくつ笑う。

「・・・顔真っ赤」

指摘され更に顔に熱が集注したのは力んだせいもあるが、肩を震わせた。

『・・・っ、天誅ーっ!!』

瞳を鋭くさせて足をシカマルの脇腹目掛けてやったが、ぎりぎりの所で掴まれ壁に身体を押し付けられた。


『あーもーっ!!』

当たらなくて声を荒げるが、体勢がすごい事になっているのに気付いていない。

片足を持ち上げられたまま懐に入り込まれ身体が密着していた。

「ナルト、目、いいのか?」

『・・・なおった。』

ぶすっと赤らんだ顔で返すとやっぱりシカマルは笑い、頭を撫でる。

「また、入ったらとってやるよ。」

まだある涙を唇で吸い取った。

『・・・っ、ゴーグルつけるからいいってばよーっ!!』


恥ずかしくてナルトは駆け出した。

「・・・っ、かし・・・っ!」


残されたシカマルはと言えば、やはり楽しそうに笑うだけだった。



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