NARUTO
三
誰か説明して欲しい。
ナルトは頭を抱えてうなだれた。
どうしてパンツ姿で、しかも隣にシカマルが寝ているのか。
昨日居酒屋で会った。
一緒に酒も飲んだ。
『──・・・記憶がねえ』
空白の時間に一体何をどうしてこうなってしまったのか。
越えてはいけない線を越えてしまったのだろうか・・・
ナルトは一人悶々と考えぬかるみに嵌まっていった。
「・・・何やってんだ」
『・・・あれか、俺は踏み外したのか?』
困惑顔で寝起きのシカマルに視線を向けると、ナルトはぴしりと固まった。
『・・・・・・。』
彼もまた上半身裸で、ナルトが知らないシカマルの一部を見てしまって。
寝起きだと言うのに強い色香がナルトを更に混乱させた。
「・・・覚えてねぇのか」
低い掠れた声はナルトの鼓膜を震わせ息が詰まる。
やはり何かがあったんだと思うナルトの肩は震える。
「・・・腰、大丈夫なのか?」
『こ、し・・・?』
自分の腰に触れ、強い怠さがあるのに気付く。
そうなのか。遂に青ざめるナルトにシカマルは腕を取る。
「昨日は随分頑張ったから疲れてんじゃねぇの?」
『がん・・・っ、シカマル俺・・・っ』
ついに涙目になり瞳が震えた。
『俺・・・シカマルを・・・っ、襲ったのか・・・?』
静まった室内だが、シカマルは口元に手の甲をあて肩を小さく揺らす。
その反応にナルトはいたたまれない気持ちが芽生え、後悔した。
「・・・ぷっ、はははははははははっ!」
我慢できねぇ!腹を抱えて笑う彼にナルトは驚愕の眼差しを向ける。
「襲ったって、お前に襲われるかってーの!」
腹いてぇ!一人笑うシカマル。
『え?えぇ!?』
やっと理解したナルトは交互に身体を見た。
『じゃあ何で俺が此処にいて、裸なんだってばよ?!』
「寝ちまったから。」
寝たにしてもこんな事は無かった。必ず帰宅していたのに。
「起こしたけどお前離れようとしないし、面倒だから持ち帰った。」
『弁当みたいに言うなってばよ!』
けれど抱き付く癖を持っているナルトからすれば、そこまで酷いとは思って無かった。
「寝かしたらお前は器用に脱いだって訳だ。」
俺は何時もこれだし。
それも暑いと良くやる行動で、ベッドの周りは脱いだ服が散乱している。
ナルトはやっと安堵の息を全身から吐き出した。
『なんか・・・ご迷惑おかけしました。』
ぺこりと頭を下げるとシカマルは起き上がり煙草に火をつける。
「別にどうって事ねぇよ」
ただ。シカマルは煙草の煙を吐きナルトを見詰める。
「お前が男抱けるってのが意外だったがな」
『馬鹿言うな!!』
くわっ、と涙目でシカマルを睨み付け、腹をぺちりと叩く。
『どっちもねぇよっ!』
「襲ったって言う理由は?」
ナルトは自分が手を出したんだと思っていたが、何故そう思ったのかはやはり腰が怠かったから。
「まぁ・・・そうなったとしてもお前に抱かれるってならないがな。」
『・・・その自信ってどっから来るわけ?』
落ちているズボンを拾い脚を入れるのに布団を剥いだ。
すらりとした脚が現れて、まるで女のようだった。
「ナルトは抱かれる側だろ・・・」
『・・・へ?』
なにそれ。動きを止めてシカマルに視線を向けたら、するりと伸びた手はナルトの腿に触れた。
「ほっせー脚」
『・・・うっせ。』
唇を尖らせてズボンをはいた。
触れられたとき、また胸の鼓動が変だったのは、驚いたせいにした。
シカマルとはなにも無くて安心するナルトだが、シャツを着るときに背を向けると彼はにやりと笑う。
背中に残る数カ所の赤い鬱血痕
それを付けられたのは彼だけで、ナルトに気付かれない背中にやったが人前で脱げば直ぐにばれるだろう。
「ナルト」
シカマルは煙草を消して手招きをした。
『・・・ん?』
近づくとシカマルは項に触れる。
「ここ、気をつけろよ」
『?・・・うん。』
きっと敵の攻撃からの事を言っていると思って頷く。
けれどそこにも赤い鬱血痕があるのにナルトはいつ気付くだろうか。
「また飲んでるとき寝たら、運んでやるよ」
『ならねぇようにするって』
苦笑を浮かべナルトは立ち上がって背伸びをした。
『シカマルありがとな!』
「ああ、またな。」
おう!笑ってナルトは部屋から出て行き思う。
日記なんか書かねえ。こんな恥ずかしかった事をどう書けばいいんだか。
頬に集まる熱を感じながら、朝の通りをあるいた。
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