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NARUTO


空が薄暗くなった頃、本の整理が終わろうとしていた。


『Gだから・・・一番奥か』

周辺の本を持ってナルトは薄暗い奥へと向かった。


『ここ電気つかねぇの?』

天井を見上げれば電気は無く、解らなくなる前に終わらせようと始める。


俯けばさらり、と視界に髪の毛がはいり掻き上げる。


『・・・・・・』


先程のやり取りを思い出し、指に髪の毛を巻き付けた。


柔らかい髪質なのは知っているが、触りたくなるようなものなのだろうか、と。


わかんね。指を滑り込ませてぐしゃぐしゃ掻き回した。



空が暗くなり、ナルトの手も止まり棚を見上げる。


『・・・終わった』


ふぅ、と安堵の息を吐き出して首を左右に倒せば、骨がぽきりと鳴る。

『せんぱーい、おわりま・・・うおっ!』


がん。 空いたケースに躓いた。


『あっ、ぶねぇ・・・っ』

外が暗いだけあって、ナルトの居る所もさっきより暗さが強まっていた。


「終わったのか?」

『終わった終わった!』

ひょっこり現れたシカマルにナルトは笑顔で告げる。

「ナルト、ラスト!」

『へ?・・・よっ』

ぽん、と投げ渡された本を見てナルトは脚立に上がって本をしまった。


『先輩ほんとにもう無い?』


「ねぇよ、お疲れ」


『おわったーっ!』

嬉しくて両手をあげて喜ぶナルト。

脚立から降りて片付けを終わらせると、ナルトの腹がぐう、と音を鳴らす。


『だよなー・・・一楽いこっかなぁ。』


「一楽っつったらラーメンか?」

そう!お腹を摩りながらナルトは自分のブレザーを取る。


『作る気力無いし、ラーメン喰って風呂入って、爆睡っ!』

指を一つずつ折りながら言葉にして、最後は笑顔で告げた。


「ラーメン食いてぇな・・・食いに行くか。」

『先輩の家用意してるんじゃない?』


ないない、と手を振るシカマル。

「さっきメール来ていらねぇって入れたから。」


『じゃあ先輩いこ!早くいこ!』

シカマルの手を掴んで軽く引っ張ると、彼は眉を寄せて笑う。

「だから忙しねぇって・・・っ」


『腹減った!味噌が俺を待ってる!』

意気揚揚とした顔で歩くナルト。

良くころころ表情が変わる奴だと感じながら、シカマルもリュックを背負った。


ラーメンのいい匂いが食欲をそそり、ナルトは大盛を頼み終始笑顔を浮かべたまま平らげ

見ている方もつられて笑ってしまいそうになるぐらい、ナルトは美味しそうに食べた。


『ねーねー先輩』


ん?ナルトの方に向ける彼の顔は優しい。

『図書当番って、カカシ先生が決めたんですか?』

「部活してる奴もいるから、カカシ先生とチョウジとで決めたけど?」


それがどうかしたか。シカマルが聞き返せば首を左右に振った。

『俺先輩と一年間当番一緒?』


「何か無い限りはそうなるな。・・・なんかあったか?」


『いや、それな無いですよ。』

手を振って否定するが、これから何か問題があるとすれば、シカマルを慕う者達からの事しか思い浮かばない。


ナルトは縁石の上にのり、シカマルと同じ目線になった。


『じゃあ・・・一年間宜しくお願いします。』


「それ今いうか?」


知らなかったからね。やんわり笑うと、シカマルはナルトの頭に触れる。


「宜しくついでに一ついいか?」


『・・・なんですか?』

きょとんとした顔でシカマルを上目で見れば、口元を笑わせている彼が近付いてきた。

『・・・っ!』

唇を重ねられ、ナルトは驚きで瞳を丸くする。

優しく啄まれ、唇を吸われた。


『・・・っ、せっ、んっ!』


肩にやった手は力が入らず、戸惑うナルト。


唇が離れると至近距離で視線が重なり、ナルトは羞恥で目を伏せる。

それをさせないよう頬に手を伸ばし上げさせると、瞼にキスをされた。


『・・・っ、なんで・・・っ』

震える唇で小さくでた言葉は、彼の耳にまで届きまた口づける。


「・・・ナルトを落とすんで、宜しく。」


『・・・・・・』


シカマルに返す言葉すら思い付かなかったが、俯いて気付いた。


『・・・また段差・・・っ』

「正しい使い方じゃねえの?」


首に腕を回し引き寄せ、抱きしめる。

『うー・・・っ』


「早く落っこちて来いよ」


耳元で囁かれた甘い声に、ナルトは頭がくらりとした。


正しい段差の使い方は、こうじゃないと頭の中で呟いても

自分はどうであれ、シカマルからすれば正しい段差の使い方なのだろうと


痛いくらい頬に集まる熱や

胸を強く打つ鼓動が一体何を告げているのか気付くには、まだ先の話し。




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あきゅろす。
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