NARUTO
九
放課後になるとまた図書室へ向かい、人数が増えている事に首を傾げる。
「ナルト、今日は第二の方やる事になったから。」
『え・・・まだ開館してないですよね?』
整理期間中なのに。普通の返答をすればチョウジが言葉にする。
「作業が進んでなくてシカマルが怒っちゃったんだよ。」
「俺とチョウジがここやっから、渦巻はシカマルと整理頑張れ!」
びしっ、と親指をたてて励まされるがナルトはシカマルを見た。
『人数増やしてやっちゃ駄目なんですか?』
尤もな事を告げるが彼は首を縦に振らず、顰めっ面を浮かべている。
「足手まといは必要ねぇ」
「出たよシカマルのそれ。」
けたけた笑う先輩に、この日初めて違う一面を見てしまったナルト。
「使えない奴呼んでもそれ止まりだろ、殆どが。」
「そりゃ言えてるな。」
二人の会話にナルトはただ黙って聞いていたが、それは言えるな、と納得している自分がいた。
第二図書室へ初めて入ったナルトは、山積みにされた本やケースを眺めると、自分が入力した本が沢山あった。
「本を入れる作業すら出来ないらしい。」
ため息混じりにシカマルは本を手に取り眺める。
ナルトは作業しようとブレザーを脱いで空いているケースを台車に乗せ、高さを揃えながら中に入れていく。
「悪いな、こっちやらしちまって。」
『役割ってあったんですか?』
作業していた手を止めてカウンターにいるシカマルに顔を向けた。
「第一と第二の当番を決めてるから、そいつらがやる作業だったんだ、これは。」
やりやがらねぇ。不快な顔を浮かべるシカマルを見て、ナルトは少しでも多く整理しようと感じた。
綺麗に並べられていく本達を眺めながらナルトは脚立に登り、跨がって座る。
膝に乗せたケースを落ちないように腹と本棚で抑えながら黙々と作業をしていき、ふう、と息をもらす。
『・・・おーわり。』
次はなんだっけ。脚立から降りて一度ぐっ、と背伸びをすればやってくる立ち眩みに足がもたついた。
『う、あらー・・・』
どさりと床に倒れ、ちかちかする感覚に突っ伏す。
『もーやだこれ・・・』
動けない。脱力感が抜けずそうしていれば、こつりと頭を叩かれる。
『背伸びしたら頭クラクラちゅー・・・』
「少し休むか?」
『あとちょっとで動けます・・・』
上腿を起こそうと肘に力を入れ片膝を曲げた。
「立てるか?」
『ん、へーきです・・・』
よいこらしょ。床に座り立ち上がろうとすれば、両腕を掴まれる。
「あんま力むなよ」
『・・・すいません』
立ち上がらせてもらうと、頭がぎゅーっとしてくらりとして瞼を強く閉じた。
『・・・あー、やだ。』
「少し休むぞ」
そのまま腕を引かれて奥の部屋に行くと、靴を脱がなければ入れなくてナルトはぴくりと眉が動く。
忌々しい段差だ。
頭の中で呟きナルトは彼と距離を置いてから上靴を脱いだ。
ナルトはテーブルの上に突っ伏し目を閉じて深呼吸する。
『量多くないですか・・・?』
「だからそれだけやってねぇんだって。」
やれや。頭の中で、当番でやらなかった者達に腹が立つ。
『人が来ないからですか?』
「それもあるが・・・まあ色々だろう。」
片膝をたて片腕を後ろにやり身体を支えながら話すシカマル。
その腕は直ぐに前へ戻りナルトの髪の毛に触れる。
『先輩、髪の毛触んの好きですね・・・』
頭を撫でられるのは日常的ではあるが、こうやって優しく触れられる事は余り無い。
「気持ちいいんだって、ナルトの髪。」
『んー・・・眠くなるから、ダメ』
突っ伏したまま手を前にぱたぱた振ってみたが、空振りする。
「眠くなるからって、もうなってんじゃねぇの?」
『・・・起きてます』
それ言うの好きだよな。
眉を軽く寄せて笑うシカマル。
『・・・駄目だ、マジで眠くなってきた!』
ばん、とテーブルに両手を付いて上体を起こした。
『先輩続きやろ、今すぐやろ!てか先やってくる!』
「忙しねぇ・・・っ!」
けたけた笑うシカマルを見てナルトは苦笑を浮かべる。
『先輩はゆっくりしててください。』
立ち上がり上靴をはいてナルトは作業に向かった。
残されたシカマルはと言えば、頬杖をついて口元を笑わせる。
「・・・久しぶりに笑ったな」
触れていた手を眺めてからシカマルも立ち上がった。
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