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NARUTO


放課後になるとまた図書室へ向かい、人数が増えている事に首を傾げる。

「ナルト、今日は第二の方やる事になったから。」

『え・・・まだ開館してないですよね?』

整理期間中なのに。普通の返答をすればチョウジが言葉にする。

「作業が進んでなくてシカマルが怒っちゃったんだよ。」

「俺とチョウジがここやっから、渦巻はシカマルと整理頑張れ!」

びしっ、と親指をたてて励まされるがナルトはシカマルを見た。

『人数増やしてやっちゃ駄目なんですか?』

尤もな事を告げるが彼は首を縦に振らず、顰めっ面を浮かべている。

「足手まといは必要ねぇ」

「出たよシカマルのそれ。」

けたけた笑う先輩に、この日初めて違う一面を見てしまったナルト。

「使えない奴呼んでもそれ止まりだろ、殆どが。」


「そりゃ言えてるな。」

二人の会話にナルトはただ黙って聞いていたが、それは言えるな、と納得している自分がいた。

第二図書室へ初めて入ったナルトは、山積みにされた本やケースを眺めると、自分が入力した本が沢山あった。


「本を入れる作業すら出来ないらしい。」

ため息混じりにシカマルは本を手に取り眺める。

ナルトは作業しようとブレザーを脱いで空いているケースを台車に乗せ、高さを揃えながら中に入れていく。


「悪いな、こっちやらしちまって。」

『役割ってあったんですか?』

作業していた手を止めてカウンターにいるシカマルに顔を向けた。

「第一と第二の当番を決めてるから、そいつらがやる作業だったんだ、これは。」

やりやがらねぇ。不快な顔を浮かべるシカマルを見て、ナルトは少しでも多く整理しようと感じた。


綺麗に並べられていく本達を眺めながらナルトは脚立に登り、跨がって座る。

膝に乗せたケースを落ちないように腹と本棚で抑えながら黙々と作業をしていき、ふう、と息をもらす。

『・・・おーわり。』

次はなんだっけ。脚立から降りて一度ぐっ、と背伸びをすればやってくる立ち眩みに足がもたついた。

『う、あらー・・・』

どさりと床に倒れ、ちかちかする感覚に突っ伏す。

『もーやだこれ・・・』

動けない。脱力感が抜けずそうしていれば、こつりと頭を叩かれる。


『背伸びしたら頭クラクラちゅー・・・』

「少し休むか?」

『あとちょっとで動けます・・・』

上腿を起こそうと肘に力を入れ片膝を曲げた。

「立てるか?」

『ん、へーきです・・・』

よいこらしょ。床に座り立ち上がろうとすれば、両腕を掴まれる。

「あんま力むなよ」

『・・・すいません』

立ち上がらせてもらうと、頭がぎゅーっとしてくらりとして瞼を強く閉じた。

『・・・あー、やだ。』

「少し休むぞ」

そのまま腕を引かれて奥の部屋に行くと、靴を脱がなければ入れなくてナルトはぴくりと眉が動く。

忌々しい段差だ。

頭の中で呟きナルトは彼と距離を置いてから上靴を脱いだ。


ナルトはテーブルの上に突っ伏し目を閉じて深呼吸する。

『量多くないですか・・・?』


「だからそれだけやってねぇんだって。」


やれや。頭の中で、当番でやらなかった者達に腹が立つ。


『人が来ないからですか?』


「それもあるが・・・まあ色々だろう。」

片膝をたて片腕を後ろにやり身体を支えながら話すシカマル。

その腕は直ぐに前へ戻りナルトの髪の毛に触れる。


『先輩、髪の毛触んの好きですね・・・』
頭を撫でられるのは日常的ではあるが、こうやって優しく触れられる事は余り無い。


「気持ちいいんだって、ナルトの髪。」


『んー・・・眠くなるから、ダメ』

突っ伏したまま手を前にぱたぱた振ってみたが、空振りする。

「眠くなるからって、もうなってんじゃねぇの?」


『・・・起きてます』


それ言うの好きだよな。

眉を軽く寄せて笑うシカマル。


『・・・駄目だ、マジで眠くなってきた!』


ばん、とテーブルに両手を付いて上体を起こした。


『先輩続きやろ、今すぐやろ!てか先やってくる!』


「忙しねぇ・・・っ!」

けたけた笑うシカマルを見てナルトは苦笑を浮かべる。


『先輩はゆっくりしててください。』

立ち上がり上靴をはいてナルトは作業に向かった。


残されたシカマルはと言えば、頬杖をついて口元を笑わせる。

「・・・久しぶりに笑ったな」


触れていた手を眺めてからシカマルも立ち上がった。




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