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NARUTO


おのれ宮沢。

廊下に寝転がっていても仕方が無くて、立ち上がろうと両手をつく。


「なんで寝転んでたんだよ」

『・・・だって』

不満を含ませたふて腐れ声で唇を尖らせる。

『力入ん無くてずり落ちたら捨てられた。』

なんだそれ。くすくす笑いナルトの腕を掴んだシカマル。


『アイツ今日の部活は、バスケで顔面強打だ。』

ぐっ、と引かれナルトは立ち上がった。


『先輩って力ありますよね、細いのに。』


「そりゃあるだろ。」


いぜんも軽々と支えられ引っ張り上げられた。


「これで終わりなんだから寝るなよ」


『・・・はーい』

微妙だ。頭の中で返しナルトも移動教室の中へと向かった。

宮沢を一瞥すると、一瞬頭の中に過ぎる。

『・・・あれ』


普通だった。

気にしていたものが、普通に会話出来ていた事に驚く。


案外平気なんだと感じ取れば気持ちも晴れやかになった。


なった筈なのに

『・・・・・・。』

どうしてこうなった。

ナルトはそう思わずにはいられない。


「寝てんのか?」

『sit up!』

発音のいい英語が出てナルトは咄嗟に口元を手で隠した。

「次は英語で返すのか・・・」


『いや・・・何ででしょう・・・』

うなだれたナルトにシカマルはくつくつ笑う。


シカマルとばったり玄関口で会い、方向が一緒な二人は共に帰る事になった。

なったがさっきの余裕が出て来ないナルト。

『先輩は髪の毛しばってて痛くならないの?』


「慣れじゃねぇか?」


『・・・ハゲちゃいますよ?』


言った途端、ごすっ、と肘で背中を突かれた。

『いって!先輩痛い!』


「ハゲてねぇよバーカ」

ペチン、と額も叩かれる。

恨みがましい目で見上げれば、挑発的な目で返された。

『俺より先輩のがデコ面積あるくせにペチペチたた・・・っ、いっ!』

「どの口が言うんだ?」

ぎりぎり頬を抓られ、ナルトはその手をペチペチ叩く。

『いたいいたい!』

「デコ面積が、何だって・・・?」


なあ 目を鋭くさせるシカマルにナルトは痛みで生理的な涙が浮かんで来る。


『うー・・・いてぇ』

抓られた頬を摩ると、シカマルは楽しそうな顔で言葉にした。

「真っ赤になったな」

『加減ねぇ・・・っ』


デコ面積禁句だ。頭の中で呟き、赤くなっている頬をそのまま手で隠した。


『・・・黒かった』
「何が黒いって?」

『・・・・・・目玉』

瞳の色しか思い付かなかった。

性格が黒いと聞かされ、間違いだろうと思ったがそうでも無いような気がして。

「その間はなんだ」

疑わしい眼差しでみられるが、ナルトはもう一度彼の瞳をじっと見詰める。


『・・・真っ黒だ。』

いいなあ、羨ましそうな声が出たのにナルトは気付かない。

『黒真珠みたいで綺麗・・・』

「お前がそれを言うか?」

綺麗な青の瞳は濁りが無く強い光を持っているのを見て、シカマルの指先が目元に触れた。


「サファイアみたいだって言われるだろ」


『俺は海か空って言われるから、何か・・・恥ずかしい』


あはは、と照れ笑いをする。

自分もそうだと思っていたから尚更恥ずかしくて、頬がうっすら赤くなる。

『あれ・・・先輩何で目が本物って知ってるんです?』


「今年の一年に金髪碧眼の奴が来るって騒いでたからな。」


知らねぇの?

そうなっていた事すらナルトは知らずにのほほんとしていた。

「中三だろ、来たの。こっちに直ぐ流れて来たんだよ、部活連中から。」


『あー・・・そっか』

ぐちぐち言われたら、と言う対応を考えていたが必要は無いな、とほっとした。


「まぁ、普通はハードル倒す競技は世界中探しても無いんじゃね?」


『そんなのまで知られてんの?!』


他には何を言われているのか気にはしたが、怖くて聞かない事にした。

「授業中見てた奴笑ってたしな。」


『あーもーやだ!』

これにはナルトも頭を抱える恥ずかしさ。

「今に始まった事じゃないだろ?」

普段の学校生活は確かにそうだろう。

人に背負ってもらったり、騙されたり。

毎日げらげら笑っている。

けれどナルトは知らない。

ナルトを想う者が多い事を。

他にも弟感覚で見たり、親のような目線で見ている者がいる事も。


「ナルト何だその頭」

『あはははは、朝シャワー朝シャワー!』

首にタオルを巻いて教室に入ってくれば、続いて宮沢も朝練を終えて入ってきた。

「ナルトタオル貸して!」

彼もまた頭が濡れていて、ナルトは悪戯を思い付いた笑みを浮かべタオルを取る。

『昨日の恨み、いま晴らしてやるー!』


「いでーっ!毛根死ぬっ!」


がしがし強く頭を拭くナルトの笑みはあくどく楽しそう。

されている宮沢は痛みで逃れようと頭を引く。


「ハゲっから止めれーっ!」


『ふん、俺を捨て置くからだ。』


拭き終わればナルトも自分の頭を拭いた。


化学室へ行き窓際に座っていると、皆河がつんつん肩を突っつく。

「奈良先輩グラウンドにいるぞ」


『あー・・・ほんとだ』

だるそうに立って欠伸をし、チョウジと話していた。


じっと見ていれば、人気があって可笑しく無いな、とナルトは思う。


「ナールト、髪の毛ホワホワしてんよ?」

大橋が櫛を片手にやってきて、ナルトの髪の毛を梳かし始める。


『ワックス無い?』

「縛るか?」

いけんじゃね?大橋はナルトの髪の毛を弄り始める。


『頭痛くなりそうだからこのまんまでいい』


「ピンで留めてみっかなー」


もしもし?大橋は鼻唄を歌いながらナルトの髪の毛を弄る。


ナルトも諦めて好きなよう弄らせ、皆河が見ている雑誌を眺め、ふとグラウンドを流し見た。


『・・・・・・』

一人増えて話しているのを見たナルトは、数人の生徒もそれを眺めていた。

(人気なんだなぁ・・・)
雑誌に視線を戻して眺めてると、シカマルもナルトに気付き見ていた。




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あきゅろす。
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