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NARUTO


委員会の活動が始まり、ナルトに初めての当番がやってきた。

委員会初日に失敗したナルトは、ある意味不安を抱えながら昼休みに図書室へ向かう。


『・・・・・・ん?』


図書室ってこんなに人が来るものなのか?

ドア向こうから見える室内は、椅子は生徒で埋まっていた。

その理由は直ぐに分かり、呆れ顔を浮かべる。


本を読まずただシカマルを見ては話す生徒達に、ナルトは人気があるのも良し悪しだと気付く。


『こんにちは』


「来たか。」


隣の椅子に座ってシカマルがしていた物をのぞき見れば、刺々しい視線を受けるナルト。


『これ新刊で買うやつですか?』


「読みたいのあるか?」


新刊リストを手渡され眺めるが、どれがいいのか思い付かない。

『・・・無理。思い付かないです。』


「じゃあこれ入力しといて。」


ボールペンでさした方向を見れば、また山積みにされている本。


『まだピッピ直らないんですか?』


うなだれながらも本が入ったカートを足で寄せ、手に取った。

『これも第二?』

「それは資料室行きのだ。」

空になっているカートを取りナルトは番号入力の作業を始めた。

かしゃかしゃ鳴り始めた音に生徒は視線を向け、その姿に驚く。


普段明るく元気なナルトが、真剣な眼差しでパソコン画面を見ている姿に。


いつもと違う雰囲気が視線を集めてしまった。


『・・・あぁ?』

ピーッ、と電子音が鳴りナルトの眉が寄る。

『・・・番号合ってんじゃん』


なんで?首を傾げて本を眺めれば、すっ、とシカマルの腕が視界に入り込む。


「これあれか・・・」


肩に手を置かれ背中に身体がくっつき、羨ましい光景に視界が集まるがナルトは全く気付いていない。

ナルトからすればこの体勢は日常的であり、普通としか思って無いからだろう。


『先輩わかった?』

「これ貸し出し本じゃねえ」


弾かれる。本の裏側を見て巻末を見れば赤文字で理 と書かれていた。

『・・・理?』


なんだこれ。こてん、と倒れる頭。

「これ理化学のだろ。」



『じゃあこっちか・・・』

資料別に分けた所へ積んで新たな本を取った。

「ちょい待てナルト」

『ん?』

なんですか?見上げたナルトの額はペチリと叩かれる。

『・・・虐待だ。』


「アホか、登録しなきゃ駄目だっつーの。」

教えるからやってみ。そのままナルトはシカマルに登録方法を教わり、昼休みを終えた。


教室に戻れば感想を聞かれるも、入力作業だけだったと簡潔に告げた。


『つーか先輩性格悪くなかったけど?』


「そりゃ最初だからじゃないの?人使い荒いとか聞くし。」


皆河は聞いた話をそのままナルトに告げたが、本人は首を捻る。

『荒いってかさー、作業一杯あるからじゃね?』


「他にやっぱ人気だから煩いんじゃねぇの?やっかみがさ。」

聞いた途端ナルトは眉を顰める。

そんなのでグチグチ言われたら間違いなくキレてしまうだろうと。


刺々しい視線をナルトは感じていたが、次第に無くなったのは気付いてた。

放課後の当番が少しだけ憂鬱になってしまった。


放課後もやはり生徒が多いが、本を読んでいる生徒や宿題をしている生徒の姿。


ナルトは昼の続きをやり終えるとシカマルに声をかける。

『先輩終わりました』


「早いな。じゃあ修理やってみるか?」

『・・・不器用だから無理です。』


何度かやった事があるが上手く修理出来た事が無い。


「器用に指動くのにか?」


『・・・それとこれとじゃ違いますから。』

打ち慣れているものだが、繊細な作業は向いていない。


「フィルム貼りもか?」


『無理です。空気入りまくって針で誤魔化すくらい下手です。』


素直に告げるナルトに彼はくすくす笑う。

ナルトもまたそれを恥ずかしいと思わなかった。

出来ないものは出来ない。

「貼れるならやってみるか?」


『・・・教科書でやります』


折角の本が台なしになってしまわないように、教科書を取り出した。


「やり方は分かるか?」


『んー・・・多分?』


昔にやったっきりで記憶があやふやだった。

フィルムを出して教科書を開いて余分に切り取った。


四隅に鋏を入れ切り取るまでは順調なのだが、問題は此処から空気が入らないよう貼付けてる作業。

斜めにならないようにするのもナルトには難しく感じる。


布で擦りながらフィルムを剥がし貼付けた教科書は、綺麗に仕上がった。


「綺麗に出来たじゃん」


『・・・なんで?』


昔はあんなに空気入ってたのに。

「じゃあこれな。」

新刊本を渡されナルトはうなだれた。




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あきゅろす。
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