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NARUTO


大きな瞳は鋭利なぎらつきをしていた。


大きな舌打ちと共にナルトの姿は一瞬に地面から空へ移動し

何かとぶつかりあった。


『観念しやがれってんだっ!』


ナルトの覇気を含ませた怒号は響き、周りの者は身体を震わせる。


素早く移動するものをナルトは追い掛け、また地に足をつけ走り出す。


「甘いよナルト!」


ヤマトの木遁がナルトを捕らえようと伸びてくる。


『甘くねぇっ!』


螺旋丸を繰り出し相殺させ、走り出した。

角を曲がったのは覚えている。

そのまま流れるよう砂埃を立ち上げ、移動しているモノを確認する鋭利な瞳。


『──・・・いない』


どこに行った。

屈んだ身体は真っ直ぐ立ち上がり空を見上げると、瞳を笑わせる。


『みーつーけーたー・・・』


徐々に口が弧を描き笑わせるナルト。


『トントン観念しろーっ!』


「ぷりゅりゅぎーっ!」

短くて可愛らしい脚を懸命に動かして移動するトントン。


今のトントンはただの豚なんかじゃない。

ピンクの閃光とも言える速さを持っていた。


綱手が出した提案は、時間内にそのトントンをヤマトの攻撃を避けながら捕まえる事。


「・・・どうしてこうなるのかなぁ」


それが出来ればヤマトの木遁で家を建ててやる。

ヤマトは溜息をこぼさずにはいられなかった。


『広い風呂ーっ!!』


ざんっ、とナルトは降り立った。


『・・・あ?トントンいねぇ』


確かに居たのに。


動きすぎてナルトは上半身の繋ぎを脱いで、袖を腰に巻いて止める。


『・・・あちぃ』


頬を肩に擦り付け辺りを見れば、背中に硬いのがあたる。


『やべ・・・っ、は?』

ヤマトだと思い焦って振り向くと、シカマルの膝の上でぷるぷる震えているトントンがいた。


「動物虐待か」


『違う。トントン寄越せ。』


また邪魔したらたまったもんじゃない。

ナルトが近付くとトントンは慌て動く。


シカマルはそれを見てトントンを護ろうと背に隠した。


『トントン、お前・・・』


「嫌がってるじゃねえか、何しやがった」


不穏な空気が流れ出し、ナルトは空を仰ぐ。


『トントン、お前最初からこうする予定だったのか・・・』

いまいましげに呟いたナルトに、トントンはびくりと大きく震える。


「理由、なんだ」


『・・・もういい。』

終いだ。


諦めたよう瞼を閉じて
シカマルに背を向けた時、地面から一気にナルトを囲む木。

強固な四柱牢の術を使われナルトは座り込む。


「すまないねシカマル。」


「いいっすけど・・・なんなんですか?」


また膝の上に座るトントンを撫でながらヤマトに尋ねた。


「ナルトの引っこ・・・」


『──・・・ぶち壊すぞ』


九尾チャクラを纏ったそれは木遁忍術で出来た木に影響を与える。


(知られたく無い訳ね。)

言葉が途中で消されたが、もう知っている者はいる。


『・・・っ、くそ』


通常の姿に戻り、悔しい顔を浮かべながら逸らして俯いた。


なぜこんなに不機嫌なのかは、間違いなくトントンが来た事だろう。


「おまえ、引っ越すって流れてるぞ。」


『・・・へぇ。』


小さな舌打ちが零れた。


「水道管全部駄目になったぐらいで引っ越しか?」


『・・・そうじゃねぇよ・・・』


そんなんで引っ越すかよ。

堪えられなかった。


自分に向ける違う視線や、探ろうとする瞳に。


「シカマル、綱手様から聞いたけど、ナルトちょっと訳ありらしいよ。」


トントンを抱え札を取ってやるヤマト。


ナルトを囲んでいた木も無くなり、シカマルは立ち上がる。


「どんな理由かは知らねぇが、それはお前一人でやれる問題なのか?」


『・・・誰かがいても、そいつが迷惑だろうよ。』


ナルトももう分からなかった。


思い出したくも無い光景が自宅にあったから。


『もうあの家、ヤなんだ・・・』


あれを見る前までは良かったのに。

顔を歪めて己の肩を強く抱いた。


「シカマル、君ならどうする?」


一度ナルトに視線を向けると、強く真摯な眼差しを彼に向けるヤマト。


「留守の間に部屋は荒らされ、異臭やらの痕跡があったら。」

「・・・・・・は?」


なんだそれ。目を瞠る彼は驚きで縮こまっているナルトの背中に視線を向けた。


「酷かったらしいよ。水道管が壊れて銭湯に行ったら襲われかけて、仲間に借りればいい話をナルトは嫌がったんだ。」


誰かが居るのが怖い。

ヤマトは綱手から聞いた話をシカマルに告げた。




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