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NARUTO


ゲームをしていた罰として居残りを言われたナルト。

テンキーを押しながらパソコン画面で本のタイトルを確認していく。

指元は一切見ずに本と画面しか見ない作業は、ペースが早かった。


『・・・おかしくね?』

やってもやっても減っていく感じがしない。

もうかなりやったと言うのに、どうして終わらないのか。

ナルトは振り返ると目を瞠る。

『・・・は?』

本の壁が出来ていた。

『なっ、こんなに沢山どうすんだよ・・・』

一冊取って見れば年期の入ったもので、新刊ではない事が分かった。

『廃棄・・・?』

そう思うと何だか物悲しい気持ちになって、本の背表紙をそっと撫でた。

沢山の人に読まれたであろう汚れや、縒り。

ブックコートフィルムも角が剥がれていたりして。

『・・・沢山の人に読んで貰ったんだな』

自分にだってある愛着本は幾つもある。

絵本だってその一つのうちに入っていて、良く読んで貰った。

何度聞いても飽きもせず、次第にページを繋げる紐が切れた。

それでも新しい糸を使って修復してもらった絵本は、今でも捨てられないもの。

ぺちん、と頬に感じた小さな痛みにはっとした。

『・・・起きてます。』

相手を確認せず、何時もの癖で言葉にしたがくすくす笑う声がした。


「それ、読みたいのか?」

シカマルだった。

じっと眺めていたのを見られていたのだろう。

『これ、廃棄しちゃうんですか?』

「しねぇよ、此処の本は第二図書室行きだから。」

移動本の入力だったらしく、ナルトはほっとした。

「かなり進んだんだな。」

『入力だけなんで、簡単です。』

本を戻してナルトはまた入力作業に取りかかりながら、皆河に聞いた言葉を思い出す。


゙性格が黒い゙

ナルトからはそうには見えなかったが、きっと徐々に見せてくるだろうと考えながら、数字を入力していった。

次の本を取ろうと手を動かすが、空を切るだけで顔を向けて納得する。


『あ・・・終わったんだ?』

随分やったな。ナルトは立ち上がって窓の方へ身体を向けて背伸びをした。

すーっと血の巡りが良くなるのを感じるが、頭がくらっとした。

『おろ・・・っ』


ぐらりと身体が傾きぶれる世界に脚がもたつき、机に倒れ込む。

『・・・これ、ほんとヤだ』

脱力感に襲われナルトは膝立ちのままうなだれた。


程なくすれば回復し、ナルトは気付く。

『・・・携帯』


まだ返して貰ってない携帯。シカマルの姿は無く待つ事しか出来ないナルトは、暇潰しとしてラベル別に仕分けをした。


『つーかもう帰っちゃった?』


現れない相手にナルトは時計を見れば、もう19時になろうとしていた。


『携帯明日でもいっか・・・』

見られて困るものは無いし、あったとしても電子マネーを使われるぐらいだろうと。


『いや待て・・・昨日チャージしたの五千円だし!!』


勢い良く立ち上がりドアへと手を伸ばし開けた。


『あべしっ!』


勢いついたままナルトは何かに当たり顔を両手で覆った。


「あべしって・・・普通出ないだろ」


『どこ行ってたんですか・・・』

見上げて尋ねれば苦笑するシカマル。

「第二だっつーの」


『知りませんから。』

一人黙々と作業をしていたナルトは、むすっとした顔で彼を見る。

それを見てシカマルはくすりと笑った。


「寂しかったか?」


『・・・それは無い』


真顔で返しナルトは手の平をシカマルに向ける。


『作業終わったから携帯、返して下さい。』


「案外早いのな、作業。」

誰もいなければ作業なんて捗るものだと、ナルトは思うが何だか面倒そうで言わなかった。


「お疲れさん」


『・・・どうも』


自分の携帯が返されバックの中へほうり込むと、軽く会釈をした。


『じゃあ俺帰ります。』


「家どっち?」


あっち。窓にの方に指を向ければシカマルはふぅん、と鼻を鳴らす。


「同じか」


『そうなんですか?』


「途中まで一緒だな。」


そんな話をしながら二人は校舎を後にした。




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