NARUTO
三
委員会の顔合わせ当日、ナルトは図書室へと向かった。
入ると視線が集まり直ぐに消えた。
それが何の意味かはまだ良く知らなくて、のほほんとした声がかかった。
「好きな所に座っていいからねー」
『ありがとうございます。』
チョコを食べながら説明をされ、軽く会釈してから一番後ろに座り外を眺める。
人の話す声にはやはり゙奈良先輩゙の言葉が多かった。
ドアが開くと生徒の数人が騒ぎはじめる中、現れたのは顧問のカカシと以前ナルトを受け止めた先輩。
ナルトは驚いて目を丸くした。
(まさかあの人がそうなのか?)
「はーい、顧問のはたけです、宜しくね。」
ウインクをして挨拶を終わらせれば、やはり数人の生徒が熱っぽい息を零す。
ナルトはそんな空気が嫌になって、一番後ろなのをいい事に、携帯を取り出し膝の上に乗せた。
「副委員長の秋道チョウジです。みんな宜しくね。」
「委員長の奈良シカマル。」
自己紹介を上目でみて、アプリゲームを始めた。
「じゃあまず覚える為に名前呼ぶから手をあげてねー。」
チョウジがおっとりとした口調で告げ、一年生から順に始めていく。
(やべぇ、コイツ強すぎる・・・)
対戦相手が強くてナルトの意識はそっちへ向いてしまっていて、呼ばれたのに気付かなかった。
「渦巻ナルト君・・・?」
『・・・・・・』
ナルトは机に肘をつき、手の甲を口元にあてながら対戦していた。
目を開けたまま寝ているのかと感じるほど、ナルトの目は動かず瞬きすらもしていない。
「んー・・・寝ちゃったかなぁ?」
柔らかな笑みを浮かべたままチョウジは言葉にすると、シカマルが動く。
『・・・っ、いてぇ』
突然動き出したナルトは目元を覆う。
ぐにぐに瞼をこすり乾燥した目に潤みをあたえたが、するりと腿にあった重みが無くなった。
『・・・ん?』
「没収、な。」
携帯が無くなり小首を傾げれば、頭上からの声にナルトは見上げる。
『あれ・・・俺のワープして・・・あ、ちょっ、切っちゃ駄目っ!』
「残念。」
意地の悪い笑みを浮かべながらポケットにしまったシカマル。
すると今度は呑気な声がかかる。
「ナルト、またゲームしてたの?」
駄目でしょ。
カカシにも言われナルトはがくりと頭を下げた。
『俺の・・・黒炎龍王カガリが・・・っ』
「あれー、もしかしてナルトドラゴンマスターズやってるの?」
意外な問い掛けを投げられられて、ついに突っ伏した。
「カガリ持ってるなんて凄いじゃないの、後で教えてよ」
『いや、何かもうすいませんでした。』
何おしつけつる気だ。
頭の中で呟いたのは、自分のミスで何度か仕事を押し付けられた事があるから。
しかも昨日は授業中に違う教科の宿題をやっていたのを知られてしまって、このプリントを纏めさせられた。
「ナルトは体育委員やりたかったんだよね。ジャンケン弱いから、残念だったね。」
『えぐるな、ぐりっと抉り出すように言うな・・・』
厭味を今言うのか。
刺々しい視線を感じながらも、委員会は終わった。
やりたくてなった訳じゃない。
これは本音だが、ゲームをしていたのは自分で、悪いのも自分。
『この前はありがとうございました。』
シカマルに頭を下げ、ナルトはまた言葉にする。
『ゲームやってすみませんでした。』
「・・・つまらなかったか」
静かな問い掛けにナルトは迷う。
『・・・つまらないとかじゃなくて、もう何か空気が嫌でした。』
頭を下げっぱなしに告げると、チョウジがくすくす笑う。
「それは言えてるねぇ・・・」
「・・・チョウジ、お前まで言うか?」
本当だもんね。お菓子の袋を開けて食べはじめたチョウジ。
「これ、入力な。」
『・・・へ?』
どさり。カウンターに置かれた本の山を見て目を瞠る。
「大丈夫だよ、番号入力だから簡単だし。」
『入力?!だってここにピッピは飾りものですか!?』
声が裏返りながら告げてみたが、チョウジはあはは、と暢気に笑った。
「いまこれ故障中なんだ。」
『・・・・・・』
言葉は出なく、ただ積まれていく本の山を眺めた。
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